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標準、標準化とは 【イラスト図解】

「標準化」と「標準」、「規格」の違い
「標準化」と「標準」、「規格」の違い

標準、標準化とは わかりやすく

標準化の目的「標準化」は、製品やプロセスを統一または単純化し、製品やサービスの品質の改善、生産、使用の合理化や取引の公正化を図っています。

JISによる「標準化」の定義は下記のとおり。

「実在の問題または、おこる可能性のある問題に関して、与えられた状況において最適な秩序を得ることを目的として、共通にかつ繰り返して使用するための記述事項を確率する活動」
です。

「標準化」は製品・サービスの品質・質をばらつきがなく一定レベル以上にする方法です。

具体的に身の回りにある、標準化としては

シャープペンシルと芯

乾電池サイズ

トイレットペーパー サイズ

キーボード配列があります。

標準化 具体例

標準化 具体例

英語:standardization

中国語:标准化


 

実在の問題,又は起こる可能性のある問題に関して,与えられた状況において最適な程度の秩序を得ることを目的として,共通に,かつ繰り返して使用するための“規定”を確立する活動.」(ISO/IEC Guide 2)

引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会

 

標準と標準化の違い

「標準」とは、取り決めとして既に存在している、作成されているものですが、 一方「標準化」とは、その標準とするものや状態を意識的に作る行動を指しています。 例えば、すでにあるJIS規格は「標準」の代表例ですが、このような標準を新たに制定したり、規格に適合する製品を作ろうとしたりすることは標準化」になります。

標準と標準化の違い

標準と標準化の違い

 

ボルチモアの大火災

1904年 2月7日、アメリカ東部ボルチモアの市街地で火災が発生しワシントンやニューヨークなど近隣の大都市から消防隊が駆けつけるも消火は難航し、36時間にわたって延焼、1,500棟以上の家屋が焼失した。

何故、消火できなかった?

原因はホースの規格が都市ごとに異なり、応援に来た消防隊がホースと消火栓を接続することができなかった為

これを契機にホースと消火栓の規格が統一されることになった。製品の「標準化」の代表例として知られる。

標準化

標準化と品質管理

標準は組織においてくり返し共通に行われる仕事のやり方を規定するものである。標準を適切に定めることにより,組織活動を確実で効率のよいものとすることができる。

 

一方,改善は標準を改定することによって実現するが,これが確実に行われるには改定された標準が守られなければならない。標準と改善は相補的な関係があり,標準が徹底しない組織では改善も徹底しない。

くり返される活動について

われわれの活動は1回かぎりで終わるものは少なく,多くのものはくり返しおこなわれる、ここでいうくり返しとは必ずしも活動全体の単純なくり返しだけではない具体的な活動内容は異なっていても,同じ要素作業,同じ手順,同じ人,同じ原理が用いられている場合には,それらがくり返されていると考える。

 

たとえば家の建築では同じ家が何軒も建てられることはあまりなく,さまざまな家が建てられる.しかし「家」が建てられるのであるから,そこには多くの共通要素があり,これらについてはくり返しがある.設計の原理は共通であり使用材料,部品の多くは共通である.作業面でも配管,溶接などは物は違っていても作業方法は同じである。

 

同じ活動がくり返される場合,そのつど計画を立てたり,具体的な指示を行うことは面倒であり,非能率である。活動を行うのによい方法があれば,それを規則として定め,その規則にしたがって活動を進めることにすれば,計画を立てたり,指示をする手問を省くことができるだけでなく,作業の洩れ,手順間違いがなくなり,作業が確実になる。くり返し行われる活動について,その方法を定めたものを標準という。

ISOGUIDE2(第7版1996年)3.2において標準は次のように定義されている。

標準:
与えられた状況のもとで,最適な秩序を獲得することを目的として共通かつ、くり返し使用されるために定めた活動またはその結果の為の規則・指針または特徴を述べた文書で,合意によって確立され,認められた組織によって承認されたもの。

 

作業手順書文書化

作業手順書マニュアル化

 

 

標準化について

標準は人々の経験と知識の結晶として作られるものである.工業生産の効率はよい標準をいかに多く設定し,活用するかによって定まるといっても過言ではない。
しかし,少なからぬ人達が標準に関して誤解をしている.その誤解のおもなものは次の2つで,①標準はものごとを固定するものであり,進歩を阻害する。

②人問の活動は自由であるべきであり,標準によって制約すべきでない。というものである.しかし,以下にのべるように標準化が適切に行われれば標準によって進歩が促進し,大勢の人が関与する活動では標準によってそれらの人たちの活動の自由度が拡大するのである。

 

二つの標準

標準には自然に定まるものと,定めなければならないものがある。前者は自然科学法則にもとづくもので,後者は社会的あるいは経営的約束にもとづくものである。

工業生産の基本的要請は,顧客の要求に合致する製品をできるだけ廉価に生産することである。コストを下げる手段として材料を安く購入すること,安い人件費を利用することなどがあるが,これらは経営的な手段ではあっても技術的な手段ではない。

技術的には材料原単位を向上すること,1人あたりの付加価値生産性を上げることでなくてはならない。技術的に生産性を向上することは根本的には生産過程で自然科学法則を利用することである.近代工業は科学の進歩をべ一スに発展した.科学法則を生産に積極的に利用することによってそれまでには考えられなかったの製品が大量に生産されるようになったのである。

力学、熱力学、材料力学、電磁気学・金属学・化学・生物など,いろいろな方面で発見された自然科学法則を縦横に組み合わせて工業生産が営まれている。ある目的に対していかにこれらの法則をうまく組み合わせて用いるかによって生産の効率が定まる.現在可能ないくつかの方法の中でもっとも効率的な方法を選び出して定めたものが技術標準である。

我々がくり返し行う活動の例として通学を考えてみよう、道順,利用する交通機関(徒歩,バス,電車,場合によっては車)には多くの組合わせがある。しかし,現在の時点でもっとも適当な方法が,学生には標準として意識されていないかもしれないが実質的に標準とて通学に利用されているのである。これは自然に定まる標準の例である。

技術標準管理と運用

技術標準管理と運用

 

 

技術標準はより効率的な新しい方法が見出されればそれにとって替わられるがそれまでは現在知られている多くの方法の中で一番良い方法が標準として定められている。

標準どうり行わなくても作業ができないわけではない。
しかし,標準以外の作業では効率が低下するか,効率を維持しようとすれば品質に悪い影響が出てくる.要求品質を最高の能率で達成する方法として標準は定められなければならず,作業はそれに従って行われなければならない。

人間は自然科学法則を利用することはできても,それを創造したり,変更しすることはできない。したがって,法則を利用することは,別の見方に立てば法則に合わせて生産することである。法則を無視した作業は必ず弊害をもたらすのである。どのように偉大な建築家でも重力の法則を無視して建築を建てることはできない。所与の商品の生産方法はよりよい品質とよりよい効率を追及する過程を通じて必然的に定まってくる.その定まった到着点が標準であり,設計,生産技術,製造に関する標準の多くはこれである。

自然科学法則にもとづく技術的標準は品質と効率を追究する過程を経て自然に定まってくるのに対し,人間が積極的に約束ごととして定める標準がある。

これはそう決めなければならないという必然性はないのであるが,決めておくことが社会的、経営的に便利であるからである。たとえば,車での通行において右側通行にするか左側通行にするかといった問題はどちらでもよさそうである。

実際、右側通行を行っている国もあるし,左側通行を行っている国もある。

 

しかし,どちらでもよいというのでは困る.右か左かいずれか一方に決めなけれぱならない。大事なことは右か左かではなく,どちらかに決めることである。

 

精密測定用マイクロメーター

精密測定用マイクロメーター

 

度量衡の単位についてもメートル法,ヤード・ポンド法,尺貫法などがあるが,これも世界が1つの方式でまとまっている方が便利であり,最近はほとんどの国がメートル法を採用するようになった.電力について電圧,周波数なども世界的に統一されている方が便利である.ソケットの形状・寸法も統一されることが望ましい。

社会的あるいは経営的規約として標準が定められるのは,その標準が存在する方が便利,安全であるからである.この標準はその内容に応じて国家、業界企業,部門などで設定されるが,自然科学法則にもとづく標準のような必然性はなく,何をどう定めるかについて恣意性がある.その標準の妥当性は,もしその標準がなければ杜会的にどのような不都合が発生するかで検証される。
もしその標準が存在しなくても問題が何も起こらないのであれば,その標準は、意味のない拘束にすぎず,廃止するのがよい。

標準化による現場管理

標準化による現場管理

 

 

標準・規格・規程の例 | IEC規格 JIS規格 ASTM規格

標準が適用される範囲による区分

国際規格(ISO規格,IEC規格)
国際的な条約・協定にもとづいて加盟各国の協力・同意のもとに制定されるも、.国際規格は国際標準化機構(Intemational rganizationfor Standardization,略称ISO)および国際電気標準会議(IntemationalElectrotechnical Commission,略 IEC)
によって制定される。.IECはその名前の示すとおり,電子電機分野の事項を取扱い,ISOはその他の分野を広く所掌している。

いずれも専門別に設置された数多くの専門委員会(Technical Committee,略TC)その下部機構の分科会(Sub committee,略称SC)で構成されている。

国際的標準化は,物・サービスの国際的交換を容易にし,技術的・経済的活動おける各国相互の協力を発展させるためのものであるが,規格の各国間での不一致にもとづく貿易障害(非関税障壁の1つ)を取り除くため,国際的標準化の活動は活発になってきている。

地域規格

ヨーロッパは経済統合を進めるために,多くの努力を行っているが,その1つがヨーロッパ各国の規格を統合し,ヨーロッパ規格(EN規格)を制定する活動である.現在多くの分野でEN規格が制定されてきているが,ここで制定された規格はISO規格,IEC規格になるケースが多い。

団体規格

一つの学会・協会・業界団体などで,それらの団体に属する会員の協力と同意のもとに定められた規格.国際規格がないものについては団体規格,たとえばアメリカ材料試験協会(ASTM)の規格などがある。
団体規格として定められた規格が,国際規格や各国の規格の原案になっていのも多数ある。

国家規格(JIS;日本,ANSI;アメリカ,BS;イギリス,DIN;ドイツなど)

一国のなかの,生産者・販売者・購入者・使用者・研究者・行政官など関係者の協力・同意のもとに制定される.わが国は1921年に工業品質規格統一調査会が政府に設置され,日本標準規格(JES)が制定されるようになった。現在は純然たる国家規格と称せられるものとして,工業標準化法による日本工業規格(Japanese Industrial Standard,略称JIS)と農林物資の標準化品質表示の合理化に関する法律にもとづく目本農林規格(Japanese Agricultural Standard,略称JAS)とがある。

JISは,通商産業大臣・運輸大臣・厚生大臣・建設大臣など各所管大臣(主務大臣という)によって制定されるが,主務大臣がJISを制定しようとする場合には,あらかじめ日本工業標準調査会の議を経ることが必要である.技術し進歩や経済事情の変化に即応させるため,少なくとも3年ごとに見直すことになっている。

官公庁規格(MIL規格;米軍,防衛庁規格)

官公庁が物・サービスの調達に関連して定めている規格.これは官公庁が防衛,公共事業など自らの目的を達成するために定めているもので,一国の産業界全体または国民全体を相手にしている国家標準とはおもむきを異にしている。

規格文書の作成

規格文書の作成

 

社内規格

1つの企業の内部で定められる規格.企業がその製品やサービスを設計,製造,販売する際にその品質および活動の基準となる規格。

その他(UL観格,ロイド規格)

UL(Underwriters’ Laboratories Inc.)はアメリカの非営利民間の機関で,安全に関する調査,規格の開発を行っている.ULは1894年に火災保険社への情報提供を目的として設立されたが,その事業は大きく発展し,電気製品,電機設備,火災予防,化学的な危険防止,その他の広い分野で安全に関する規格を開発し,ここで開発された規格の多くはアメリカの代表的な安全規格になっている.

 

アメリカ国内で保険会社が保険を引受ける場合,保険対象物がこの規格を満たすことを要求する.わが国からアメリカに製品を輸出する場合,UL規格を満たしていないと保険がかけられないために,事実上輸出ができないことがある。船舶保険で用いられるロイド規格もこれと同じで,イギリスの保険会杜であるロイド(Lloyd)社の開発した規格である.ロイド社が船舶の保険を引受ける場合は,前もってその船舶がロイド規格を満たしているかどうかの審査を行う。

製造業において用いられる社内標準の例

わが国においてStandardsに対応する用語として標準、規格、規定あるいは規程などの言葉が用いられている.これらの用語の使い分けは必ずしも一意的でないが,標準のうち品物.サービスに直接関係する技術事項こついて定めものを規格、作業方法に関する事項については標準,組織の業務の内容・手順・手続き・方法に関する事項について定めたものを規程または規定という用語がもちいられることが多いようである.これらの一例を以下に示す。

①技術規格(technical standards)

製品規格,材料規格,部品規格,荷造・包装規格

②品質管理に関係のある規程・管理標準(managerial standards)

1.新製品開発規程、研究・開発規程,発明・考案処理規程,設計標準・設計事例集・設計マニュアル、,生産管理規程,購買規程,試験標準,製造標準(技術標順作業標準,QC工程表,設備運転標準),検査標準(受入検査規程,工程検査規程、出荷検査規程),計測管理規程,設備管理規程,クレーム処理規程.

規格文書の制定、運用

規格文書の制定、運用

 

 標準の効用   | 互換性,共用化、信頼性

標準の技術的効用

互換性
標準化のメリットのもっとも大きなものは互換性にある.システムの一部が欠けた時,システム全体を取り替えずに欠けた部分のみ補充すればすむということはきわめて経済的なことである.標準化することによって分業が可能になる。

はめ合いの寸法が定まっているので電球メー力一は電球だけを,ソケットメーカーはソケットだけを独立に製造することができる.互換性のメリットはたんに物の互換性だけではない.設計標準,作業標準などにしたがって作業われる場合,誰がやっても結果は同じということになるので,人が変わっても組織としてはその影響を受けにくい.強烈な個性の発露としての芸術的創造と経済済的工業生産とでは生産の目的が異なっており,工業生産においては個人的に標準を破ることは許されない.鉄道車両のメー力一はレール幅の規格の研究をしなければならないし,CDプレーヤはコンパクト・ディスクの規格を無視して生産はできないのである。

情報伝達

数学,物理で用いる公式は標準の一種である.力学の公式を知っておれば,それがもたらされた力学の原理を知らなくても答えを求めることができる。

標準製図法が決められておれぱ,どのように図を書くかを考えなくてよい.標準部品を使用すれぱ,部品の信頼性はテストを行わずに知ることができる.多くの設計開発の仕事が省略でき,設計者は従来使用されなかった新部品およひ新部品と標準品のインターフェイスに注意を払うだけで信頼度の高い製品を生み出すことができる。さらに標準部品に関しては,それを図に書き表す必要はなく,部品番号を指定するだけでよい。

設計マニュアルは先輩の残した技術のエッセンスであり,個々には個人では一生かかっても尽くせない技術的経験が含まれている。

設計ノウハウ

設計ノウハウ

 

 信頼性

高信頼性という見地からみれぱ新製品,新方法に多くの問題が発生する.頭の中で万全をつくしても,1回の実験に及ばないことがある.標準化された部品,方法はそれなりに過去の実績を積んでおり,旧態依然としているようでも間違いは少ないのである.標準化された部品,方法の採用が多ければ新しい部分がそれだけ少なくなり,信頼性テストはその部分を中心に克明に実施でき,全体として信頼性の高い製品を開発することができる。

標準の経営的効用

組織活動では標準を制定し,作業担当者にそれを守ることを要求する。その目的は標準作業によって作業の品質と効率を獲得することにある.標準によって一般的に以下にのべる3つの活動が行われる。

①組織活動の構築
組織活動は仕事の手順,各手順を構成する要素作業を定め,文書化し,各人の果たすべき役割を明確にすることにより構築される。
組織で行う活動、プロセスの目的,方法を定め,これを文書に記述することは人々がどこにいて,何を行っているかを客観的に明らかにする、各作業と組織全体の関係が明確になり,それぞれの活動の目的が全体的な観点から把握される。複雑な組織の運営においては仕事の遂行に必要な手順や作業を標準として定め,それによって組織の運営を行うことは不可欠の事柄である。

②組織活動の管理
組織の管理には
・組織が達成すべき成果の目標・規準とそれを評価する方法が定められていること

・組織を運営する標準があり,それが組織の構造に合わせて展開されていること

・展開された個々の任務の達成状況を測定することができること

・現在の達成状況が規準と比較され,規準からの逸脱が大きい場合にそれを是正する処置がとられること.
が必要である。

組織管理の管理が効果的に行われるためには,活動の状態が目に見える(visible))ものになっていなければならない。「目に見える」とはもたらされた結果と、それをもたらした過程(プロセス)が把握されている状態である.プロセスはそれが標準化され,運営がその標準に従って行われている場合に目に見える。

 

組織活動の管理

組織活動の管理

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