品質機能展開 |QFD

QFD

品質機能展開とは?

品質機能展開は日本で開発された管理技法で、顧客のニーズや期待を整理し、技術的にどうすれば、顧客の要望する品質を確保でき、顧客に喜んでもらえるかを明確にする方法です。

新製品の開発段階から確実な品質保証を可能にする方法であるとともに、「売れる商品創り」という経営の根幹となる活動の全体を、漏れなく視覚化しながら組織的に進める方法でもあります。

また、この方法は、企業経営に限らず、日常生活の身近な課題も含めた様々な使い方が可能な方法論ともいえます。

品質機能展開の歴史

品質機能展開は、顧客のニーズや期待を整理し、技術的にどうすれば、顧客の要望する品質を確保でき、顧客に喜んでもらえるかを明確にする方法です。また「売れる商品創り」という経営の根幹となる活動の全体を、漏れなく視覚化しながら組織的に進める方法でもあります。

また、この方法は、企業経営に限らず、日常生活の身近な課題も含めた様々な使い方が可能な方法論ともいえます。
品質機能展開は水野滋、赤尾洋二両博士が1960年代後半にブリジストンの工場でタイヤの品質保証体制構築を指導した際に初めて応用され、1970年代に入って三菱重工神戸造船所、トヨタグループの工場他を指導する中で洗練され確立されました。

その後、80年代に入り米国の自動車業界でも活発に導入され、応用、進化発展されながら世界的に広まっています。英語ではQFD(quality function deployment)と呼ばれています。

品質機能展開の核心部分

品質機能展開の根幹をなすのが、図表6-1の品質表です。この表はきわめて簡単な2元表であり、次のように整理され展開構成されます。

①まず顧客はどのような品質を欲しているのか(要求品質)を拾い上げ階層構造にまとめ上げる。

②次に顧客要求に対応して技術的にはどのような特性(品質特性)を考慮すべきかを、まとめ上げる。

③①と②の組み合わせの中で、競合他社の製品のレベル等も考慮しながら、どの点に重点を置くかを絞込む。

④製品の品質をどのように企画するのか(企画品質)を設定する。

⑤その企画品質を実現するためにどのような仕様に設計(設計品質)すればよいか、または不足している技術力は何かを明確にしていく。

品質機能展開 品質表の流れ

品質機能展開 品質表の流れ

品質機能展開の構成

はじめは品質保証のために使われていたQFD(品質機能展開)。この品質機能展開には

下記の5つの種類があります。

品質展開、技術展開、コスト展開、信頼性展開、業務機能展開

品質機能展開  QFD

品質機能展開  QFD

注(1)三角形は項目が展開されており、系統図のように階層化されていることを示している。
(2)矢印は変換の方向を示し、品質要求が品質特|住へと変換されていることを示している。
(3)四角形は2元表の周辺に付属する表で、企画品質設定表や各種ウェイト表などを示している。
(4)この2元表の表側は機能展開表であるが、表頭は品質特|生展開表であることを示している。
(5)この2元表の表頭は機構展開表であるが、、表側は要求品質展開表であることを示している。
(出典:JIS Q 9025)

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QFDの推移

当初、QFDは製造される製品の品質を設計品質に適合させるための活動(品質保証)に使われました。しかし、これらの活動が定着し、適合品質が「当たり前品質」と認識されるようになるにつれ、新製品・サービスの開発における技術・コスト・信頼性面の情報を含めて検討することの重要性が認識されるようになっていきました。

そしてこれに応える手法として進化を遂げ発展したのがQFDです。つまり、当初は確実な品質保証を目的として製品・サービスの品質に着目した品質展開が中心をなしていたが、その後、技術展開、コスト展開、信頼性展開が付加されていったわけです。
さらに、これらの一連の活動を実現するため、どのように業務を進めると効率的かを明確にする必要性も認識され、業務機能展開が追加されました。

品質機能展開の定義

JIS Q 9025(2003)「マネジメントシステムのパフォーマンス改善一品質機能展開の指針」では、品質機能展開を「製品に対する品質目標を実現するために様々な変換及び展開を用いる方法論」と定義され、品質展開、技術展開、コスト展開、信頼性展開、業務機能展開の総称であるとしています。

要求品質展開表

顧客ニーズの明確化

品質機能展開において基本となるのが、顧客のニーズを明確化していく要求品質展開表と、その要求品質を実現していくために具体的な品質特性へ変換していくための品質表です。
要求品質展開は、顧客の製品・サービスに対するニーズを原始データから把握することから開始されます。製品・サービスの関する顧客の声は多種多様であり、潜在化していたり、クレームの形をとる場合もあります。

これら、言語情報を含む幅広い情報を拾い集め、類似度によって集約しながら、要求品質を階層構造に整理したのが要求品質展開表です。
JIS09025には、ゲーム機の開発で活用された要求品質展開表の事例が紹介されています。

この事例は、ゲーム機に関して収集した顧客・市場の原始情報から顕在的又は潜在的ニーズを拾上げ、それらの要求品質を親和図法でグルーピンクし、2次レベルまで展開しています。
1次レベルの「使いたくなる」という要求品質が、2次レベルでは「面白い」「会話できる」「体感できる」「デザインがよい」というように抽象度の高い要求品質が具体的な要求品質へ展開されています。何次レベルまで展開して階層化するかは目的によりますが、3次レベルまでの展開が一般的です。

要求品質展開

要求品質展開は、顧客の製品・サービスに対する顕在的・潜在的ニーズを原始データとして拾い集めることが第一のステップです。
アンケートの原始データを要求項目へ変換します。この際に、原始データの言語情報を要求項目に変換するわけですが、その製品が使用される状況や条件を5WIHで想定すると要求項目への変換がスムーズに進めることができます。

要求項目から要求品質へ変換

要求項目から要求品質へ変換します。要求項目の言語表現に含まれる真の要求はなにかを考察する、具体的には、要求項目から2つ以上の意味を含まない簡潔な言語表現を抽出し要求品質とする。

一つの要求項目から複数の品質要素が抽出されても良く、また、他の項目から導出される要求品質との重複を気にせずにできるだけ多くの要求品質を抽出します。

ゲーム機の要求品質展開表の例

要求品質展開表

品質表とは

品質表は,整理された顧客ニーズと,このニーズを実現するため必要な品質特性を明確にするために使われます。

品質機能展開の核心部分「品質表」

品質表は品質機能展開の中でも最も重要な役割を担う部分です。
品質表は、基本的には、
a)顧客のニーズを展開した要求品質展開表
b)要求品質の実現に関わる品質特性を展開した品質特性展開表
c)両者の関係を表した2元表
以上の3つの表から構成されます。
これに、
d)要求品質ごとの重要度・目標値を定めた企画品質設定表
e)品質特性毎の重要度・目標値を定めた設計品質設定表
加えて構成されます。
下図に、先にも取上げたJISのゲーム機の事例を示しています。
左辺の要求品質展開表と上辺の品質特注展開表との二元表であり、要求品質と品質特性との対応関係を示しています。

左辺の要求品質展開表では、1次レベルの「使いたくなる」という要求品質が、2次レベルでは「面白い」「会話できる」「体感できる」「デザインがよい」というより具体的な要求品質に展開されています。

上辺の品質特性展開表では、1次レベルの「操作性」という品質特性が、2次レベルでは「接続時間」「メモリ容量」「CPU速度」「携帯性」というより具体的な品質特性へ展開されています。要求品質展開表と品質特|生展開表との2元表の交点に、関係のあるものを○、より強いものを◎で表示し、要求品質と品質特性の対応関係を明確化しています。

ゲーム機の品質表の事例

ゲーム機 品質表

ゲーム機 品質表 事例1

ゲーム機 品質表 事例2

ゲーム機 品質表 事例2

注   (1)各要求品質に対する重要度を5段階評価などによって市場調査し、要求品質重要度とする。
(2)各要求品質に対する自社・他社の充足度についても市場調査し比較分析を行う
(3)要求品質重要度と自社・他社の充足度を勘案して企画品質を5段階評価などで設定
する。
(4)企画品質のレベルを現状の自社の充足レベルで除してレベルアップ率とする。
(5)企画品質が充足できたときにセールスポイントとなると考えられる要求品質に印を
付ける。
(6)(絶対ウェイト)=(要求品質重要度)×(レベルアップ率)×(セールスポイント)
ここでセールスポイントは0:1.5、0:1.2とする。
(7)絶対ウェイトの百分率を品質要求ウェイトとする。
なお、要求品質ウェイトは設定した企画品質を加味した要求品質の重要度である。
(出典:JIS Q 9025)

色々な品質機能展開

品質展開以外の他4つの品質機能展開を紹介。

技術展開

技術展開は品質表で求めた設計品質を保有技術で実現できるかを検討し、実現できないとすれば、何がボトルネック技術であるかを特定する方法です。
技術展開は、下図のように、機構展開表、機能展開表、部品展開表などとの一連の2元表によって構成される場合が多くなります。これらの2元表によって、設計品質が、個別の機構や部品の、重要度を加味しながら展開されていきます。
ボトルネックの解決プロセス(botte neck engineering)では、レビュード・デンドログラムが使われることもあります。同法は、開発する製品・サービスの実現するために、質問と回答を系統的に繰返しながら樹形状に技術要素を展開し評価する方法です。

技術展開の構成図

技術展開の構成図

 コスト展開

コスト展開は、目標コストを要求品質又は機能に応じて配分することによって、コスト低減又はコスト上の問題点を抽出する方法です。
コスト展開は、下図のように、コスト展開表と要求品質展開表の組み合わせから、目標コスト(原価)が企画され、機能コスト表、部品のコスト表などにより、この目標コストが配分されてゆく過程からなります。
この、機能及び部品レベルで配分された目標コストで製品・サービスが実現可能か、また、実現が困難な場合は、目標コストを見直すか、或いは、目標コストはそのままで、代替の解決策が存在するかを検討します。

コスト展開

コスト展開

信頼性展開

信頼性展開は、要求品質に対し、信頼性の観点から、保証すべき項目とその程度を明確にする方法です。
信頼性展開では、故障に着目し、各サブシステムや部品に対してFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)FTA(Fault Tree Analysis)などによって信頼性の検討が行われます。
信頼性展開は、下図に示すように、要求品質展開表FT展開表部品展開表と部品FM表(部品の故障モードー覧表)などによって構成されます。

信頼性展開

信頼性展開

業務機能展開

業務機能展開は、これら一連の設計と製造の業務を効率的に実施するための業務の詳細を明確にする方法です。特に、新製品・サービスの開発業務を成功裏に遂行するために使用されることが多くなります。
業務機能展開は、下図に示すように、業務機能展開表、保証項目展開表、品質保証活動一覧表、品質保証体系図などによって構成されます。
業務機能の抽出は、業務を機能表現(「~を~する」というように「名詞十動詞」で表現する)によって記述することで、目的と手段の関係を明確にしながら業務の詳細を設定していきます。
また、業務遂行上、保証すべき項目の評価ポイント、評価者、評価尺度、及びその限界値を明確にします。これらを品質保証活動一覧表や品質保証体系図にまとめ上げます。以上により、品質保証活動のどのプロセスで、どの部門が品質保証のためのどのような業務を行うかが明確になるわけです。

業務展開表

業務機能展開

品質機能展開QFDと新QC七つ道具

QFDが品質保証から新製品開発のツールに進化する過程と、OC七つ道具から新QC7つ道具が開発される過程が類似している点に気付かれたと思います。

事実、下図に示すように、QFDの各段階で新OC7つ道具の手法が有効に活用可能であり、また、QFDの発展が新OC7つ道具の開発を促した側面もあります。

QFD 新QC七つ道具

以上のような経緯で発展してきたQFDですが、その全体構造が確立された後も、多方面で研究され、現在も進化形の手法であるといえます。特に、実験計画法の発展形である「タグチメソッド」や、ナレジマネジメントツール「TRIZ」との組合せ、前段の自然言語処理へのテキストマイニングの利用など興味深い話題も多く、今後の発展を期待したいと思います。

参考文献:

品質管理の基本と仕組みがよくわかる本

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