スループット thoughput
「単位時間に処理される仕事量を測る尺度.」(Z 8141)
もともとはあるシステムが一定時間内に処理する実質的な仕事量のことだが,近年ではTOC(制約理論)の基本的概念として注目されている.TOCは,あらゆる システムは少なくとも一つの制約をもっており,そうした制約の中からボトルネックとなっているものを発見し,これを改善することによって利益の最大化を達成しようという考え方をいう.そこでは,スループットの増大こそが利益を決定する最大のファクターと位置付けられているのである.
ただし,そこでいうスループットとは,売上高から直接材料費を引いた金額を意味し,一般に付加価値と呼ばれるものに相当する概念である.また,それは直接原価計算における限界利益にも近似した概念ともいえる.実際,製造間接費や固定費の配賦を否定している点や売上数量に直結した形で企業の成果を斟酌しようとしている点などに直接原価計算との共通点が認められる.
ただし,限界利益は売上高から直接材料費だけでなく,直接労務費や変動製造間接費を控除した額であるから,スループットの方がより広義の概念ということができよう.
また,スループットは売上を通じて企業がどれだけのキャッシュフローを生み
出したかを表す.そこで,スループットを増やすためには売上を増やすよう努め
るとともに,棚卸資産の削減や製造活動の効率化などを図ってスループットに含
まれる「在庫」及び「業務費用」の比率を低減させなければならない.そして,
これを実現するための障害となっている問題点を探り出して管理していこうと主
張するのがTOCなのである.
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