品質コスト cost of quality
品質管理活動や品質保証業務の遂行に付随して発生するコスト(予防コスト,評価コスト)と,これらの活動ないし業務が不完全であったためにメーカーが支払う損失(内部失敗コスト,外部失敗コスト)の総称をいう.
品質コストあるいは品質のコスト(cost of quality)という概念は,アメリカでは1950年代の始めごろから既に用いられていた.一般にPAF法として知られる上述の品質コストの分類法も,既にそのころから提唱されていた.品質コストは,コストという貨幣的なスケールを用いることによって,ビジネスの共通目標である利益数値に関連付けて品質を認識する.
とはいえ,それは個々の製品やサービスの品質をダイレクトに評価するものではなく,むしろこれらの品質を維持・向上させるために企業が推進する品質管理活動や経営そのものの質を費用対効果という側面から判定しようとするものである.
すなわち,経営管理者の多くは,経験的かつ直感的に品質管理活動の重要性を
認識しつつも,当該活動の成果を明示的に説明し得る指標をもち合わせてはこな
かった.そのことが,しばしば欠陥予防への対応を遅らせ,ひいては重大な品質
トラブルを招く誘因の一つとなってきたことは否めない.品質コストというスケ
ールを用いれば,コストといういわば経営者にとって日常的なスケールを通じて,ゆえに彼らにとって理解が容易であり,かつ説得力ある形で,不良品質の発生を防止することがいかに企業の利益の増大に直結するかを明らかにすることができるのである.
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