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不安全行動

労働安全衛生用語
この記事は約4分で読めます。

不安全行動

法律・規則,あるいは社会的・慣習的ルールに反する行動のうち,本人または他人の安全を阻害する可能性のある行動を意図的に行うこと。すなわち、あえて危険性のある行動をおこなう、リスクテイキング行動(危険を負担する)に含まれる。

何故ルール違反をするのか?

①ルールを知らない。忘れている。

②ルールの理由を理解していない。

③ルールに納得していない。

④皆も守っていない(皆で渡れば恐くない・つられて)。

⑤守らなくても注意を受けたり、罰せられたりしない。

⑥監視体制・方法がない。

 

不安全行動

1 概要

不安全行動とは、労働者本人または関係者の安全を阻害する可能性のある行動を意図的に行う行為をいいます。

手間や労力、時間やコストを省くことを優先し、つい「これくらいは大丈夫だろう」、「面倒くさい」、「皆がやっているから」、「(作業を早く進めるためには)仕方がない」などと考えたり、「長年経験しているから大丈夫」、「自分が事故を起こすはずはない」など慣れや過信から、「あるべき姿」を逸脱する安易な行動がとられた結果、労働災害に発展するケースが少なくありません。

なお、自らとった行動が、意図しない結果をもたらすことは「ヒューマンエラー」といいます。

2 労働災害発生の原因

労働災害が発生する原因は、労働者の不安全行動の他、機械や物の不安全状態(事故が発生しうる状態、また、事故の発生原因を作り出されている状態)があると考えられています。厚生労働省では、不安全行動の類型として以下の12項目を、不安全状態として以下の8項目を挙げています。

 

ダウンロード (11)

 

【労働者の不安全行動】

  1. [1]防護・安全装置を無効にする
  2. [2]安全措置の不履行
  3. [3]不安全な状態を放置
  4. [4]危険な状態を作る
  5. [5]機械・装置等の指定外の使用
  6. [6]運転中の機械・装置等の掃除、注油、修理、点検等
  7. [7]保護具、服装の欠陥
  8. [8]危険場所への接近
  9. [9]その他の不安全な行為
  10. [10]運転の失敗(乗物)
  11. [11]誤った動作
  12. [12]その他

【機械や物の不安全状態】

  1. [1]物自体の欠陥
  2. [2]防護措置・安全装置の欠陥
  3. [3]物の置き方、作業場所の欠陥
  4. [4]保護具・服装等の欠陥
  5. [5]作業環境の欠陥
  6. [6]部外的・自然的不安全な状態
  7. [7]作業方法の欠陥
  8. [8]その他

厚生労働省による「労働災害原因要素の分析(平成22年)」によれば、労働災害発生の原因は、① 不安全な行動及び不安全な状態に起因する労働災害:94.7%、② 不安全な行動のみに起因する労働災害:1.7%、③ 不安全な状態のみに起因する労働災害:2.9%、④ 不安全な行動もなく、不安全な状態でもなかった労働災害:0.6%、となっています。①と②を加えると、実に労働災害発生原因全体のうち97.6%が、労働者の不安全な行動に起因する労働災害なのです。

3 不安全な行動による労働災害を防ぐために

不安全行動を誘発する要因としては、①労働者の要因、②作業の要因、③作業環境の要因、④安全管理の要因、⑤組織の要因等があり、不安全行動は、これらのうち一つの要因に起因するばかりでなく、複数の要因が絡み合って発生すると考えられています。

また、不安全行動によって発生する労働災害を、労働者の心構え、意識だけで防止することはできません。その不安全行動が管理・監督の不徹底や、設備・環境面の欠陥によってもたらされることも少なくないからです。

不安全行動は、作業行動の「あるべき姿」からの逸脱ですが、この「あるべき姿」たる作業標準(作業手順)が明確に定められていなかったり、定められていても、十分な安全教育が行われていなかったりしたため、労働者が不安全行動をしてしまい、労働災害が発生した事例もあります。

安全教育は、教えたつもりでいても、教えた内容が労働者に十分伝わっていなければ意味がありません。教えた内容を日常の作業過程において実践させ、不安全行動をとったらすぐに是正させながら、「あるべき姿」を身に付けることが必要です。

不安全行動を防止するには、上述12の項目のそれぞれについて、個別にその対策を考える必要があります。例えば、上述1)や2)は、教育、指導や監督の徹底によって防止することが可能である一方、3)や4)は、設備や作業環境の改善、さらには人間工学的な観点からの配慮が必要です。また、職場におけるよき人間関係の醸成、労働時間、休日、休憩といった労働条件の適正化など、労務管理の観点からも考えなければなりません。

 

 

 

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