イノベーションとは何か?
イノベーション、発明、アイデア、発想、Kaizen等々独創的な考え方、思考についての言葉がTV、新聞で氾濫して使用されている。しかし、その区分が明確に区分されて使用されていないように思えます。
そこでその言葉の語源を調べ結果が下記のとおりでした。
1)アイデア:(意味:思いつき、着想、考案 広辞苑から)
英語のIdeaの外来語
Ideaの語源:ギリシャ語動詞「idein」に由来していて、もともとは「見られるもの」のこと、つまりものの「姿」や「形」を意味している、プラトンの哲学では「心の目」「魂の目」によって洞察される純粋な形、つまり「ものごとの真の姿」や「ものごとの原型」に言及する。 Wikepediaより
2)発明:(意味:機械、器具類、あるいは方法、技術をはじめて考案すること。 広辞苑から)
中国語の発明が語源:发(はじめて)+明(あきらかにする)
英語ではInvention、invent はラテン語の inventus に由来し,「なにかやってくる」ということです.何かを発見する,つくりだすこと.
3)発見:(意味:まだ知られていなかったものをはじめて見いだすこと)
中国語の発見が語源:发(はじめて)+见( みつける)
*但し、現代の中国では使用されておらず、現在の該当単語は发现
英語ではDiscover、dis(打ち消しの接頭語)+cover(おおう)、おおいを取れば発見される。
4)イノベーション:(意味:①刷新、新機軸②生産技術の革新だけではなく、新商品の導入、
新市場、新資源の開拓、新しい経営組織の実施などを含む概念、シュンペーターが用いた。広辞苑から)
Innovationの語源:ラテン語の innovātus に由来しており,なにかを新しくするということです.
「いまあるもの」を使って,その組合せを変えていくことを示しているということです.
ちなみに現代の中国語では和製漢語である刷新 , 革新をそのまま使用。
5)発想:(意味:思いつくこと、思いつき 広辞苑から)
中国語が語源、发(出す)+想(おもい)」 現在の中国語では构思 主意が該当する意味
発想の言葉は現在、中国の辞書にはない、対応英語はIdea。
6)Kaizen(意味:主に製造業で工場の作業者が中心となり、知恵を出し合って行われる作業の見直し活動のこと、この概念は海外においても「kaizen」という名前で普及している。
日本語の改善が語源、改善の言葉は明治後期に一般化した漢語であるが、もともと中国で使用されていた改善の意味は生活、環境を良くする意味、しかし、Kaizenの言葉が中国に浸透してからは方法、やり方を良くする意味として使用されるように変化していった。
対応英語はImprovement語根はラテン語(L.) L.probare = to approve, to find good(認める)から
7)創造(意味:新たに造ること、新しいものを造りはじめること 広辞苑から )
語源は和製漢語 (明治のことば辞典より)
英語ではCreation、語根はラテン語(L.) L.creare = to make(作る); L.crescere = to grow(生ずる)
中国では和製漢語をそのまま使用。
貴方はどのアイデアのキーを探すか?
アイデア、発想の本等が書店に沢山、並べられているが貴方はどのようなアイデアを考え、探しそしてイノベーションとして活かしたら良いのであろう?
ストーリーとして夜間、キーを失くした場合、貴方はまず何処を探すだろう。
一番、確率が高いのは光が当たっている箇所である、目を凝らせば見える。
2番目は街灯の光が消える箇所、良くは見えないが注意すれば見つけることが可能である。
しかし、暗闇の部分はどうだろう、いくらキーが落ちていても見つけることは確率的に低いだろう。
アイデアも同じで既に理論が確立され、技術が開発された実用可能なものは世に送り出される。
これがイノベーションに相当する。
光の際の部分から見出されたアイデアは理論を立てることができるがまだ実用可能な技術がまだ開発されてない分野、これが発明に相当。
最後に暗闇の中の部分は単なる思い付き、理論も応用技術もないので現段階では世にでることはない。
ダビンチのアイデアのように。
イノベーションは螺旋状に進歩する
無から有は生じない、イノベーションも例外ではない。
天文学者そして占星術師であったティコ・ブラーエ(1546年~ 1601年)は精密で膨大な天体観測DATAを残したがイノベーションは残せなかった。
しかし、ティコ・ブラーエの弟子として天体観測をしていたヨハネス・ケプラー(1571年~1630年)はその貴重なDATAから「ケプラーの法則」を導いた。
そしてアイザック・ニュートン(1642年~ 1727年)は「ケプラーの法則」と運動の法則から「万有引力の法則」を見だした。
彼は想った、「リンゴは落下するのに、月は回り続ける」何故か?
これに疑いの目を向けたのがニュートンだ。
ニュートンは「天体も地上の物体も同一の法則に従っているのではないか?」と考えた。
「リンゴは落下させるが、月は回転させる原理」を万有引力として仮定し、それを証明した。
時代が進みニュートン力学では説明できない、実験DATAが出てくるようになった。
それでもニュートン力学を疑う人はいなかったがアルベルト・アインシュタイン(1879年~ 1955年)
だけが疑問をもち、研究した結果が相対性理論が生み出された。
顧客とは?
貴方がすばらしいアイデア、発明を考えだしても意味がない、自己満足で終わる。
外の世界、顧客に認めてもらえなければ単なるアイデアで終わる。
イノベーションに変えるためには外部、外の世界に対応しなければならない。
それでは外部、具体的に顧客とは何者であろう?
辞書では顧客の意味はおとくいの客 (広辞苑から)
英語ではCustomer、語源はcustom:習慣に由来しその意味は「自分のもの」→ 自分で身につけたものよって、おとくいの客になってもらうためには簡単ですぐに慣れ自分のものになるものでなければならない。
故に現場にいき、顧客の目で手で頭で行動しなければならない。
決して利口であってはならない、ほとんどの顧客、大衆は賢くないのだから・・・。
また、貴方の顧客は誰かも明確にしておかなければならない。
子供か、老人か、女性かはたまた、エスキモーかマサイ族か。
ここで注意しなければいけないことがある、常連客以外は捨てて、常連客に集中することである。
InnovationとKaizen
Kaizenは企業、工場内部での課題、問題点を既存の知識を元にアイデアを考え出して『早く』『安く』を制約条件として考えられた現場の手法である、戦術である、Tacticsである、TOPは介在しない。
しかるにInnovationは新らしい顧客を創造するために既存の知識、開発された新技術、新理論をアイデアの苗床にして育つ、但し、全てをそのまま育てない。
顧客の要望が何かを分析、知覚して間引き、剪定し最後はひとつに集中する。
戦略が必要である、Strategyである、優れたリーダーを必要とする。
参考文献:
イノベーションと企業家精神【エッセンシャル版】 単行本(ソフトカバー) – 2015/12/4
P.F.ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)
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