イノベーションのための組織と戦略Ⅲ
いよいよ激変の時代
これまでイノベーションがなおざりされ、管理機能的ばかりが重視されてきたことには
それだけの理由があった。
20世紀初頭、マネジネントがはじめて関心の的に頃には突然誕生した大規模な人間組織をいかにまとめ、マネジネントするかが最大の問題だった。
しかし、われわれは今、19世紀後半に似た激動の時代に入った。
現代というイノベーションの時代においてイノベーションを行えない組織はたとえ今,確立されてる地位を誇っていたとしてもやがて衰退し消滅するべく運命づけられる。
だがその起業家精神は日常のマネジネントが行われている既存の組織しかも複雑な大組織にて発揮されなければならない。
第一にイノベーションの意味を知っている。
第二にイノベーションの力学を理解している。
第三にイノベーションの戦略を持っている。
第四にイノベーションの基準を持っている。
第五にトップマネジネントの姿勢が違う。
第六にイノベーションの為の活動を独立させて組織する。
イノベーションの意味
イノベーションを行う組織はイノベーションが科学や技術でなく価値の創造であることを知っている。
組織の内部でなく外部にもたらす変化であることを知っている。
いかに顧客に貢献すべきかを知っている。
イノベーションの力学
第二にイノベーションを行う組織はイノベーションの力学の存在の認識している。
それが確率分布に従うことを知っている。
<確率分布にしたがう体系的なイノベーションと非体系イノベーション>
<体系的イノベーションの機会>
①人口構造の変化
高齢者が増加、若年層が減る。
②認識の変化 日本は世界TOPの高齢者国家 →高齢者対応TOP国家
③ビジョンの変化 若者消費文化→ シルバー消費文化
④期待の変化 市場性予測、技術動向予測が変化した際がイノベーション機会
イノベーションの戦略
1.古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的且つ、体系的に廃棄することから始まる。
イノベーションを行う組織は昨日を守るために時間と資源を浪費しない。
昨日を捨ててこそ資源、人材を新しいものの為に解放できることを知っている。
2.目標を高く設定する。
イノベーションの成功率は10%である、よって一つの成功が九つの失敗の穴埋めをしなければならない。
<創造へのプロセス>
イノベーションの基準
イノベーションに為の活動に対して既存の事業のための尺度、特に会計上の
慣行を適用することは誤りである。
それは六歳に子供に五十キロのリックを背負わせるようなものである。
イノベーションの為の活動を直ちに歪める。
重要なことは変化が例外でなく規範であり、脅威でなく機会であると
いう真に革新的な風土を醸成することである。
変化への抵抗の底にあるものは無知である、未知への不安である。
変化を機会として捉えた時、不安が消える。
<組織的イノベーションの風土づくり>
TOPの姿勢
TOPの地位にある者がアイデアを正面から取り上げることをみずからの職務とせよ。優れたアイデアは非現実的に見える。
優れたアイデアを手にするには多くの馬鹿げたアイデアが必要であり両者を簡単に見分ける手段はないことを知らなければならない。
したがってアイデアを奨励するのに止まらず出てきたアイデアを実際的、現実的、効果的なものにするにはいかなる形のものにしなければならないかを問い続けなければならない。
イノベーションのための組織
1.新しいものを創造する取組と既存のものの面倒をみることを同時に行うことはできない。いずれも必要であるが別種の仕事である。
イノベーションのための仕事は独立した部門にまかせなければならない。
2.既存の事業においては今いる場所から行こうとする場所へと仕事を組織する。
これに対してイノベーションは行こうとする場所から今しなければならないことへと遡って仕事を組織する。
事例:ロボット産業のトップの地位を失った工作機械メーカー
そのメーカーはオートメ用工作機械を担当する部門を組織構造上、上から3,4下のレベルに配置し在来型の工作機械の担当する人のもとにおいた、彼らは協力的であった。
しかし、現実的には彼らは既存の製品ラインを競争相手の日本企業から守るために忙殺されていた。
ロボットは期待にすぎなかったが在来型の工作機械は毎年、数百万ドルの利益をもたらした。
<既存事業と新規事業の分離>
P.F.ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)
ドラッカー テクノロイジストの条件、イノベーションと企業家精神より
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