信頼性とは(Reliability) |再生不可能品と修理可能品の信頼性
JIS用語による信頼性の定義は下記のとうり
『アイテムが与えられた条件で規定に期間中、要求された機能を果たしことができる性質』
■アイテム(item 「信頼性の対象物、系、機器、部品」のこと)
信頼性には狭義の信頼性と広義の信頼性がある
狭義の信頼性は再生不可能品(使い捨て品)を対象とした信頼性のことであり、広義の信頼性は狭義の信頼性に保全性を追加したものであり修理可能品の信頼性のことである
信頼性工学の歴史 | MIT人工知能研究所での誕生
信頼性は第2次世界大戦中に米国が対日戦で使用していた航空機の真空管の故障解析から始まった。
工場で検査され良品として出荷された真空管が現場にて使用される時に何故、不良になるのか・・・MIT研究所で各種の研究、改善が行われ高信頼管(reliable tube)が製作されその呼び名からreliablity(信頼性)が生まれた。
又、ドイツではV-1ロケットの開発を担当していたR Lusserよりロケットの信頼度を上げる為の研究がなされ、それがのちに米国のアポロ計画を成功に導き、人類を月まで到達させた。
日本においても1960年代後半からJRの新幹線、電電公社の自動交換機などで導入され1970年代からは自動車、電気製品をはじめとする一般商品にまで信頼性の対象が広がり実用化されていった。
信頼性の尺度 | MTBF 平均故障間隔 | MTTF 平均故障時間 | 瞬間故障率
信頼性の尺度(メソッド)として下記のものがある
■信頼度: JIS用語による信頼度の定義は下記のとうり
『アイテムが与えられた条件で規定に期間中、要求された機能を果たしことができる確率』
■MTBF:mean time between failures
JIS用語によるMTBFの定義は下記のとうり
『修理系(修理しながら使用する系、機器、部品』などの相隣る故障間の動作時間の平均値』
■MTTF:mean time to failures
JIS用語によるMTTFの定義は下記のとうり
『修理しない系、機器、部品などの故障までの動作時間の平均値』
■故障率:(瞬間故障率)
JIS用語による故障率の定義は下記のとうり
『ある時点まで作動してきたアイテムが引き続く単位期間内に故障を起こす確率』
故障率が高くなって故障率が小さい部品の故障率の単位として
Fit(failure unitの略)=10-9/時間 が使用されます
保全性とその尺度 | 予防保全と事後保全の違い
保全と英語でmaintenanceのことJIS用語による保全の定義は下記のとうり
『アイテムを使用及び運用可能状態に維持し又は故障、欠点などを回復するためのすべての処置、活動』のこと 保全には予防保全(PM:Preventive maintenance)と事後保全(CM:Corrective Maintenace)がある。
保全の三要素とは下記のとうり
①保全しやすい設計か?
②保全を行う技術者のレベルは?
③保全をささえる工具、補修部品、設備は?
■保全性:
JIS用語による保全性の定義は下記のとうり
『アイテムの保全が与えられた条件において規定に期間に終了できる性質』のこと
■保全度:
JIS用語による保全度の定義は下記のとうり
『アイテムの保全が与えられた条件において規定に期間に終了できる確率』のこと
■平均修復時間
MTTR(mean time to repair)
JIS用語による平均修復時間の定義は下記のとうり
『修復時間の平均値』のこと
アベイラビリティとは | 可用性|ハイアベイラビリティ
広義の信頼度をはかる尺度、英語ではavailability,『有効、役に立つこと』の意味
そしてハイアベイラビリティは可用性が高い状態や高可用性システムを指す。
JIS用語による平均修復時間の定義は下記のとうり
『修理系が規定の時点で機能を維持している確率』
■運用アベイラビリィ:(Ao)
■固有アベイラビリィ:(A1)
故障とは?(Failure) | 故障の分類 断線、短絡、折損、磨耗、特性の劣化
故障とは「物が壊れて使えなくなること」を言う
JIS用語による故障の定義は下記のとうり
『アイテムが規定の機能を失うこと』
①故障の形態(failure mode)
JIS用語による故障モードの定義は下記のとうり
『故障状態の形式による分類 たとえば、断線、短絡、折損、磨耗、特性の劣化など』
②故障の程度
・破局故障(catastorophic failure)・・・突然、生じてかつその機能が失われること
・劣化故障(degradation failure)・・・特性が次第に劣化し事前の検査によって予知できない故障
③故障の時期
故障は初期故障、偶然故障、磨耗故障の3時期に分けられ縦軸に故障率、横軸に時間を設定してグラフで 表すと下記のグラフのようになる。この曲線はバスタブ曲線(bathtub curve)と呼ばれている故障率曲線である
【初期故障】 early failure 新製品を初めて市場に出しお客さんが使用開始するとすぐに発生する故障を初期不良という。
原因としては設計、製造上の欠点、使用環境との不適合である。
初期不良を低減する方法としてはデバギングがある(debugging :虫を追い出す意味)これは製品を使用開始前又は使用開始後の初期に動作させて欠点を除去する方法である。また、スクリーング(選別:screening)も初期不良を低減するための有効な方法です。
スクリーニングは製品をつくっている工程及び完成品について目視、漏れ、高温保存などの非破壊試験を全数に対して行い欠陥のある品物を取り除きます。
【偶発故障】 random failure
初期故障期間を過ぎ磨耗故障期間に至る以前の時期に偶発的に起こる故障人間でいえば青年期に当たり、製品の故障が少ないのが特徴です。
この期間の長さを「耐用寿命」と言います
【磨耗故障】 wear out failure
品物を長い間使用すると疲労、磨耗、老化などによって品物のいたみが激しく一斉に故障が続発する状態になります
この期間を「磨耗故障」と呼びます。
予防策としては予防保全:PMがあります、PMによって磨耗故障に入る前に不具合と思われる部品を交換すればよいのです
信頼性設計とは? | 信頼性設計の五原則
信頼性設計は「設計品質のひとつである信頼性を実現するための設計」のことであり「使用中に故障しないような品物を設計する手法、技術」のこと。
■信頼性設計の五原則
1)過去の経験を活かす・・・・・経験、改善を標準化する
2)部品点数は少なく・・・シンプル イズ ベスト
3)標準品を使用する・・・標準品は高信頼性品
4)点検、調整、交換はしやすく・・・使用者の保全を考慮
5)部品に互換性を・・・互換性があると部品の補給が容易
■冗長設計 redundancy design
規定の機能を遂行するための構成要素または手段を余分に付加しその一部が故障しても上位アイテムは故障にならないし性質
■フェール・セーフ設計 fail safe design
故障安全
故障が発生しても装置が安全側に作動して事故につながらない設計方式
例:鉄道の信号機は故障した際は必ず赤に表示するように設計されている
■フール・プルーフ設計 fool proof design
愚か者防止
素人でも操作ミスをしないようなメカニズム、あるいは不安全行為のできないような機構にする設計方式
■ディレーティング derating 負荷軽減
信頼性を改善する為に計画的に負荷を定格値から軽減すること
信頼性試験とは | 信頼性試験の分類
信頼性試験とは製品を市場に出荷する前に信頼性試験をして信頼度を確認し不具合を直し、信頼性を高める為の試験
■信頼性試験の分類
信頼性試験は実使用条件が最も好ましいが時間と検査数の問題があるために下記のような方法が考えだされた
①抜き取り検査 全数検査するのではなく抜き取りを行い検査する
②試験の中途打ち切り・・・定数、定時打ち切りによって検査を行う
③加速試験・・ 試験時間を短くする為に厳しい条件で試験をおこなう
■環境試験:恒温槽、サーマル試験機、振動試験機、塩水墳霧機
環境試験とはアイテム(系、製品、部品)に対する環境の影響を調べる試験であり環境の因子(ストレス)としては温度、湿度、圧力、衝撃、振動、有機ガス、日射、砂塵、塩水墳霧、カビ等がある
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