サプライチェーンマネジメント 【イラスト図解】
英語:supply chain management 中国語:供应链管理
サプライチェーンマネジメントとは
「資材供給から生産,流通,販売に至る物又はサービスの供給連鎖をネットワークで結び,販売情報,需要情報などを部門間又は企業間でリアルタイムに共有することによって,経営業務全体のスピード及び効率を高めながら顧客満足を実現する経営コンセプト.」(Z 8141)
資材調達から製造,販売,物流といったバリューチェーンの最適化を図り,スループットタイムの短期化,在庫の削減,更にはキャッシュフローの改善を目的として,アメリカで構築されたマネジメントシステムをいう.ただし,その原型は我が国のJITシステムといわれている.
SCMは1社だけで実践できるものではない.サプライヤーとメーカー,あるいはメーカーと販売店との間で通信ネットワークを構築して一致協力して臨むことにより,販売,在庫状況に関する情報を共有し,最適なロジスティックスシステムを構築することができる.
そのためには,販売動向をリアルタイムでキャッチし,生産,材料購入,配送など各プロセスを統合的に展望した最適計画を策定することが求められる.こうして,販売の動きと生産を同期化させることができれば,ロジスティックスコストを最小化し,利益業績の改善につなげることができる.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
サプライチェーンマネジメント 簡単に
サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは、原材料の調達から製造、販売までを一元管理し、全工程を最適化するための経営管理手法の事。製造業や食品業界、アパレル業界など、商品を製造・販売する多くの業界で活用されています。
サプライチェーンとは日本語で「供給連鎖」を意味し、原材料の調達から消費者に販売するまでの一連の生産プロセスを示します。サプライチェーンを統合的に最適化するのが、SCMです。
商品のサプライチェーンには、メーカー・卸売業者・物流業者・小売業者などさまざまな企業が関わります。自社内でも部門を横断し、生産に関わる多くの業務プロセスが発生します。
SCMは、各企業・各部門の垣根を越えて情報をリアルタイムでやり取りし、利益の拡大を図ります。
サプライチェーン・マネジメント(SCM)の歴史
SCMのルーツは、1980年初頭のアメリカです。低迷していたアパレル業界を立て直すために生産プロセスの見直しを行い、大幅なコストカットや在庫削減によるキャッシュフローの改善に成功しました。この取り組みは他業界にも広がり、1990年代半ばにSCMと呼ばれるようになりました。
日本でSCMの導入が活発化したのは、2000年代初頭。インターネットや産業技術の発展にともない、大企業を中心に導入が活性化。なお、世界でSCMの構築が進んでいる背景として、以下の3つが挙げられます。
■企業のグローバル化
各国の企業が世界中に生産・販売拠点を築くようになったため、流通プロセスの見直しが求められた。
■人材不足
少子高齢化による労働人口の減少や、労働条件などの問題から物流ドライバーの不足が深刻化している。多くの業界で人材・人手不足が進むなか、業務の自動化・標準化の推進が求められるようになった。
■ECサービスの発展
ネットショップやフードデリバリーなどの発展により、在庫管理の多様化や物流の急増が顕著になった。流通の統合的な管理がより必要とされている。
サプライチェーン・マネジメント(SCM)の利点
SCMの導入によって、3つの利点があります。
①リードタイムを短く
調達・製造・在庫管理などの各プロセスには、それぞれに必要なリードタイム(所要時間)があります。SCMによって、需要予測をあらかじめ各プロセスの生産計画に活かせれば、各プロセスの効率化やリードタイムの短縮が可能です。
また、SCMによる情報共有によって、すべての関連企業が商品の販売状況をリアルタイムに把握できます。例えば、メーカーや小売店の商品不足を迅速に把握できれば、物流現場における発送準備のリードタイムを短縮できるでしょう。
①最適在庫量
商品の欠品や納期遅延は、メーカーや小売業者にとって大きな機会損失です。また、需要を大きく超えた商品の供給は無駄を生み出し、コストが増大します。
SCMを導入すると、メーカーから小売業者に至るまで、必要な情報が迅速かつ正確に伝達されます。そのため、過少在庫や過剰在庫といった需要と供給のミスマッチにより発生するリスクを最小化し、適正在庫の保持が可能です。
③お客様との絆
企業が利益を生むためには、顧客ロイヤリティを高めることが重要です。顧客の希望する日時に商品を配送することはもちろん、商品の配送前から配送中、配送後のすべてのタイミングで、顧客のニーズに迅速かつ正確に応えられなければなりません。そのために企業は、顧客の観点からサプライチェーンを考える必要があります。
またSCMの実現には、企業間での良好なコミュニケーションや信頼関係も不可欠です。SCMによる情報のデジタル化や前述したブロックチェーン技術などによって、企業間の信頼性が向上し、サプライチェーン全体の最適化を実現しやすくなるでしょう。
SCMシステムの導入メリットについて、以下の記事でも紹介しています。企業の課題に対して、SCMがどのように貢献するのかがわかります。
サプライチェーンマネジメント 事例
花王 サプライチェーンマネジメント事例
花王の成功要因に経営破綻のリスクのある投資を行なったことです。全国に八個の工場を持ち、物流の拠点を21箇所持ち、大量の配送車とトレーラーを所有していることです。これにより、花王は8万の店舗に1500のアイテムを1日以内に納品することが可能です。
また、日次での販売実績を元に先の需要を予測しています。また、品目別に季節での変動性、価格の弾力性なども考慮しています。今では、新商品であったとしても一週間ほどあれば予測が出来るようになっています。
トヨタ サプライチェーンマネジメント事例
トヨタではジャスト・イン・タイム(JIT)方式と言う製造方法をとっていて、これは組み立てを行うときに組み立て工場から部品がなくなりそうになったらすぐに発注をかけると言うものです。
通常の組み立て工場では先に部品などを発注して、組み立て工場から離れた倉庫に保管するので、その倉庫内での在庫確認や使用数の管理が必要となる上に、実際に組み立てを行う時は倉庫から輸送しなくてはならないので、かなり手間がかかってしまいます。
ただし、この生産方式には欠点もあり、災害時に一つでも部品工場が被害を受けてしまうと組み立てが止まってしまうことです。
一応この問題に対しては部品や原材料の企業と密な連携をとり、それぞれの工場を近くに建設することによって仮に一つの工場が被災したとしてもお互いの工場が連携をとって復旧作業を行うことで解決しました。また、近くに工場があるので輸送の距離も短くて済むので時間的にもコスト的にも最適化されています。
セブン-イレブン・ジャパン サプライチェーンマネジメント事例
大手コンビニチェーンでお馴染みの『株式会社 セブン-イレブン・ジャパン』は、持続可能なサプライチェーンを目指して食品ロスに取り組んでいます。具体的には「製造・配送・販売」に分けてサプライチェーンを改善し、消費期限の延長や在庫の削減を実現しました。
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