- 在庫 inventory 【イラスト図解】
在庫 inventory 【イラスト図解】
英語:inventory 中国語:库存
在庫とは
1.将来の使用・需要に備えて意図的に保有する原材料,仕掛品,半製品及び製品.
備考:その必要理由に応じてロット サイズ在庫,安全在庫,見越在庫などの
呼称があるが,意図的でなく結果として保有せざるを得ない物も在庫という.
2. システム内のストック,原材料,仕掛品及び完成品の物理的数量.」(Z 8141)
供給側と払出要求側との間の時間遅れや,これらに存在する種々の変動を吸収する機能を有する.これを管理するには手持保有量のみならず,納入残,発注残などを考慮する必要がある.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
棚卸と在庫の違い?
「在庫」も「棚卸」も実際には同じものですがその使い方に若干の違いがあります。 在庫が世間一般で使われている言葉であるのに対し、棚卸は倉庫管理や在庫管理を行う上で、特に貸借対照表内での仕訳で使われることが多い言葉です。
どちらも企業が販売目的で倉庫に一時保管している材料・商品・製品などを指し、かつ販売目的でなくても販売収益のための事務用消耗品も在庫・棚卸資産に含まれます。
適正在庫保有の利点
在庫をもっていることの利点は
受注後すぐに納品でき、品切れ防止ができる(欠品の回避、受注機会損失の回避)
需要が急に増加しても、在庫でまかなえる(需要変動リスクへの対応)
顧客が店頭で現物を手に取ってみてから購入できる(顧客の安心度向上)
万一、流通途中での破損や不具合の発生、顧客からの交換要求やクレームなどがあっても、すぐに代品が提供できる(トラブルへの迅速な対応)
過剰在庫の欠点、悪影響、デメリット
(1)廉価販売で収益が悪化
売れ行き以上に生産してしまった製品は、過剰在庫として残ります。その場合、値下げして廉価販売するか、それでも売れなければ廃棄することになります。これでは当初見込んだ売上や利益が得られないばかりか、投入した資金の元本も回収できず、損失が発生し、収益の悪化を招いてしまいます。
(2)品質劣化で商品の価値が低下
一般的には、在庫は保有しているうちに品質が劣化し、商品価値が低下します。また、品質は変わらずとも、売れ残っている間に商品自体が時代遅れとなり(陳腐化と言います)、商品価値が低下してしまいます。これも廉価販売か廃棄することになり、損失が発生します。
(3)保管管理費用が増大
当然のことですが、在庫には保管場所が必要となります。いくら倉庫に余裕があるとは言え、在庫が増えて床や通路に置くようでは、作業性や管理精度が低下します。在庫が置ききれず、ほかの倉庫を借りるようになれば、新たに管理の人員と費用が必要となります。
また、在庫は運搬や付帯作業を伴いますが、そのための輸送費、人件費が必ずかかります。さらに最終的に廃棄すれば、廃棄のための輸送費用、処分費用もかかります。このような過剰となった在庫は、その生産に要した電力やそのほか資源、運送に要した燃料など、多くのエネルギー資源の浪費にもつながります。
(4)不付加価値作業が発生
モノには必ず運搬がともないます。工場から倉庫へ、倉庫から販売店へ、また、売れ残ったときには販売店から倉庫への返品や、倉庫間の横もちも発生します。しかし、在庫の運搬自体は付加価値のない無駄な作業です。運搬以外にも、入れる(入庫)、出す(出庫)、数える(棚卸)といった付帯作業も必要になりますが、これらもやはり付加価値を生まない作業です。必要以上の在庫をもってしまうと、これら無駄な運搬や付帯作業が雪だるま式に増えていくことになります。
(5)キャッシュフローが減少
在庫を抱えるということは、自由に使える資金が減る、つまりキャッシュフローが減少し、その企業の資金繰りを圧迫してしまうことになります。 現金としてもっていれば、流動性も高く、他分野への投資や運用のチャンスもありますが、在庫として資本を固定化してしまうと、その資本からの利益率はゼロとなり、金利の負担がより重くなります。
在庫管理 inventory management
r必要な資材を,必要なときに,必要な量を,必要な場所へ供給できるように,各種品目の在庫を好ましい水準に維持するための諸活動.
備考:在庫管理の方式として,定量発注方式と定期発注方式に大別される.」(Z 8141)
現在の在庫量,需要予測量,安全在庫量,調達期間などに応じ,発注量,発注時期を決める.部品,仕掛品の在庫に対しては,個々に発注量を決める場合と,最終製品の需要予測量に基づき,部品展開を行い,その必要量を求める場合とがある.
資金の有効活用,製品の陳腐化に対処するために在庫量を必要最小限に抑える管理方式が研究課題となっている.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
在庫管理の5要素
在庫管理を理解するうえで非常に大切な考え方となる「在庫回転率」「在庫回転期間」「リードタイム」「交差比率」「棚卸し」の5つを順番に解説。
1.在庫回転率
「在庫回転率」とは自社の在庫が一年を通じてどれだけ入れ替わっているかを示したものです。具体的な会計用語を使って説明すると、会計年度期間中の売り上げ(販売)金額が、同期末の棚卸資産(在庫)の何倍になったかを表します。この数字が大きいほど自社の販売業務は利益率は高いということが分かるなど、販売サイクルが健全に機能していることを確認するための重要な指標の1つになります。
辞書では下記のように解説されている。
在庫回転率 turn-over of inventories
「一定期間における在庫の回転回数.
備考1.在庫回転率は,次式で表される.
在庫回転率=一定期間の所要量/平均在庫量備考2.在庫回転日数の逆数であり,これが高いほど運転資本の回収が速くなることから経営上望ましい.」(Z 8141)
また,金額で表示して,払い出した在庫金額を平均在庫金額で除して求めることもある.在庫期間(在庫回転率の逆数で手持日数,在庫日数,在庫月数ともいう.)とともに在庫量の管理尺度として用いる.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
2.在庫回転期間
在庫回転期間とは在庫が多いのかどうかを判断する為の指標の一つです、別名”在庫水準”ともいいます。
自社がその在庫をどれだけの期間保有したか、または在庫を全て販売するためにどれだけの期間がかかったかを示します。当然、この期間は短いほど在庫の回転が効率的であることを表し、特定の商品がどれだけの需要を持っているか、あるいは自社の販売戦略がどれだけの効果があげているかを確認するための指標となります。
3.リードタイム
在庫管理のプロセスにおいて、必要になる所要時間を「リードタイム」と呼びます。また、このリードタイムは商品や素材を扱う立場により、大きく分けて3つの要素に分解して考えられるので、それらも見ていきましょう。
・「発注リードタイム」:商品や素材を発注してから納品されるまでの時間
・「製造リードタイム」:製品の生産を開始してから完成するまでの期間
・「納品リードタイム」:商品を受注し、取引先へ納品するまでにかかる時間
4.交差比率
交差比率は、実際に販売した商品がどれだけの利益を生み出したかを知るための数値です。これは交差比率=商品回転率×粗利益率という式を用いることで簡単に求めることができます。商品の回転そのものは健康でも、利益がなければビジネスとして健全だとはいえません。在庫管理においては、商品が生み出す利益も当然重要です。
5.棚卸し
棚卸しは、期末に在庫の数量を確認することで、期末棚卸資産の金額を求めることを目的とした作業を指します。企業は期末ごとにどれだけの成果が出たのかを数値化する必要があり、その最も重要な指標はやはり利益だといえます。そして、それを求めるためにはこの棚卸し作業を経て、棚卸資産にかかる決算整理仕訳を期末に切る必要があります。
在庫水準 inventory level
「ある時点あるいは一定期間の在庫量.一定期間の在庫量の平均を平均在庫量という.」(Z 8121)
これは在庫保有量を示す総称であり,最大在庫水準,最小在庫水準,基準在庫水準,適正在庫水準などという.
具体的に在庫状態を示すには,手持在庫,発注残,納入残,正味在庫,有効在庫といった具体的な表現を必要とする.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
適正在庫 在庫水準の適正量は?
「適正在庫」とは、多すぎず少なすぎず、その店舗にとってちょうどよい量の在庫を保っていることを指します。原材料や販売商品などの在庫を効率的に管理するために必要となる概念のひとつで、「利益機会」と「商機損失」のバランスを取る場面で欠かせないポイントとなります。
適正在庫は、多くの業界で「サイクル在庫」と「安全在庫」を足し合わせた量とされています。
・サイクル在庫
在庫の発注から次の発注までに確実に消費される在庫量の半分を指します。たとえば、毎週月曜に飲料を発注する飲食店であれば、次の月曜までの半分にあたる水曜・木曜までに消費される飲料の数量が、サイクル在庫に当たります。
・安全在庫
突然来店数が増えたり急な発注が入ったりするなどして、顧客需要やリードタイムに多少の変動があっても対応できるよう、予備的に持つ在庫のことです。安全在庫の量は「万が一サイクル在庫がゼロになってしまった場合でも、3日間は営業できる分」といったように、日数ベースで考えることもあります。
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