TPM概論  | 機械保全、設備保全の方法 | TPM活動

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TPMの生い立ちと発展現状 | TPMの誕生と歴史  | 事後保全と予防保全

1.  1950年代から60年代にかけて米国から導入したPM(予防保全をもとにして日本独特のTPMを作り上げたのが1971年であった。

以来、1971年代から80年代にかけてTPMはその画期的な成果が認められて次第に発展しTPMによるPM賞受賞事業場数の急増あらゆる業種への広がり生産部門のTPMから全TPMへ、世界各国へのTPMの展開など、全社、全業種、全世界へと限りなく広がりをみせている。

PMとTPMはどこが違うのか | 予防保全 | 生産保全 | 機械保全

PMという言葉は最初に米国から日本に入ってきた1950年頃には、予防保全Preventive Maintenance)の意味で使われていた。

1950年代から60年代にかけてこの予防保全に続いて生産保全((PM:Productive Maintenance) 改良保全(CM:Corrective Maintenance)保全予防(MP:Maintenance Prevention)信頼性工学(Reliability Engineering) 保全工学(Maintenability Engineering)など数多くのことを米国から学んできた。そしてPMといえば設備管理の代名詞に思えるほど、米国流PMが日本に普及した。

このような米国流のPMに対して 日本流に工夫を加えて、日本式PMに仕立て直したのが TPM(Total Productive Maintenance)だということができる。TPMは日本で生み出した日本独特の全社的設備管理方式であるがもちろん、米国から学んだPMの技術手法がベースになっていることはいうまでもない。それでは伝統的な米国流PMと日本で生み出したTPMとはいったいどこが違うのか。

以下にTPMの特色をあげながら、米国流PMとの相違点を 明らかにしてみたい。(表1・1 参照)

表1・1 TPMの特色と米国流PMとの相違点

TPMと米国流PMとの相違点

TPMと米国流PMとの相違点

TPMは生産効率の総合的な極限を目標とする。

生産システムの多くはマン-マシン・システムであるが、自動化が進むに従い生産システムの設備依存度が高まり、生産効率は設備の作り方 、使い方、保全の仕方の良否に左右されることはいうまでもない。

TPMでは設備の作り方、使い方、保全の仕方を改善することによって、故障や段取り調整による停止ロス、チョコ停や速度低下による速度ロス、工程不良や立ち上がり、歩留まり低下による不良ロスなどをなくし、生産システムの効率を総合的に極限まで高めようというのが目標である。

これに対して伝統的な米国流PMでは設備の専門家中心のアプローチであるため設備の作り方、保全の仕方の改善による設備効率の極限追求をしても、設備の使い方まで踏み込んだ生産効率の総合的な極限追求はなされていない。

TPMの特色は”オペレーターの自主保全”

設備管理は設備の健康管理である。人間の身体の健康管理は予防医学によって非常によくなり寿命が伸びたが、予防保全は設備の予防医学であり設備の健康管理の基本だといえる。

身体の健康管理は身体を使う本人が病気にかからないように日頃から病気を予防することが第一である。さらに専門の医者が定期健康診断をして 異常を早期発見し、早期治療をすることによって健康が維持できる。

同様にオペレーターが自分の使う設備を自分で守る—これを自主保全という。故障や不良が出るのは設備の病気であり、設備が病気にかからないように日常の保全(清掃・給油・増締め・点検など)をしっかりやる。 さらにこれに加えて設備の専門の医者である保全マンが定期検査(診断)を行い、早期修理する。

米国では専門分業化が進んでおり、オペレーターは生産(運転)に専念し、保全は保全マンの仕事になっている。日常保全も保全マンの仕事であり、オペレーターの 仕事だとは思ってない。 このような米国流の分業は自動化・FA化の進展とともに見直しが必要だというのがTPMの主張である。

つまりものを作るのは自動化設備であり、その自動化設備の健康管理のための日常保全をオペレーターが担当するようにオペレーターと保全マンの分業の分かれ目を変えようというのである。

TPMは全員参加の小集団活動

日本的マネジメントは現在、小集団を抜きにしては考えられない。日本の小集団活動を大別すると、職制主導型とボランタリー型に分けられる。

TPMの小集団活動は職制主導型である。ボランタリー型の代表例はQCサークル活動である。ボランタリー型というのはやりたい人がやる—つまり、QCサークル活動はやりたい人が自分の時間で自由にやるのが原則だといわれる。

これに対してTPMの小集団活動は職制と一体となって、仕事そのものを従業員が自律的に行う活動なのである。前項で述べた自主保全を小集団活動によって行う。 自主保全、すなわち清掃、給油、増締め、点検などの日常保全をオペレーターが自分で行うがこのような自主保全はオペレーターの仕事そのものである。

やりたい人がやるボランタリー型とは全然違うのである。TPMでは職制と一体の小集団活動を行うがこれを”重複小集団活動”と呼んでいる。各階層ごとに、たとえば工場長をリーダーに各課長をメンバーをメンバーとする管理者層の小集団、課長をリーダーに係長、班長などの監督者層をメンバーとする小集団、係長、班長などの監督者層をリーダーに係員、班員など第一線従業員をメンバーとする第一線の小集団がそれぞれテーマや目標を決めて小集団活動を行う。このような、とくに職制主導型の重複小集団活動はTPMの大きな特色であり、これに対して伝統的な米国流PMではこのような活動はこれまで行われていない。

 日本電装で生まれたTPM | PM優秀事業賞

TPMが初めて誕生したのは自動車部品の総合メーカーとして有名な日本電装においてであった。

同社が生産保全を導入したのが1961年のことだったが、その後トランスファー化などのオートメーションの進展に対応して、1969年から”全員参加のPM(略称TPM)を旗印にして素晴らしい成果を上げ、1971年度PM優秀事業賞(略称PM賞)を受賞した。

1964年から続けられている、このPM賞の審査表彰の中で日本電装のTPMが抜群であるとして、審査委員の全員 から絶賛された。

この日本電装のTPM展開にあたっては、現在の社会法人日本プラントメンテナンス協会(略称 JIPの前身である当時の日本プラントエンジニア協会(略称 JIPE)が前面協力したのであるが、このTPMこそこれからのオートメーション時代、人間尊重時代にふさわしいものいであるとの認識にもとづき、以来、TPMの普及推進に全力をあげてきた。

 生産部門のTPMから全社的なTPMへ

TPMでは生産部門における活動が中心であり、現在もそうであるが、最近ではこれが生産部門以外の部門広がりをみせている。

たとえば事務部門のTMP、技術部門のTPM、営業部門のTMPなどがそれであり、TPMはいまや全社各部門へとその活動を拡大している。

TPMがその活動を生産部門にとどめているより、これが全社に展開されれば、もちろん巨大な社内パワーの結集と なり、それだけおおきな成果をあげることができる。

こうなると文字とおり、トップマネジメントから第一線の従業員、事務員、技術員全体が含まれた、全員参加活動となる。

 TPMの定義とその成果 | TPM活動事例

 T P Mの定義

日本電装が初めて実施したTPMを産業界に普及していくために,JIPE (JIPMの前身)が1971年に定めたTPMの定義を表1・3に示す。当時は,生産部門を対象としたTPMであったから,この定義は門のTPMの定義”だということができる。

ところが,TPMの普及発展とともに,生産システム効率化の極限追求のためには,生産部門のみでは不十分であることがわかり,開発,営業,管理などのあらゆる部門にわたって,TPMを全社展開するようになってきた。つまり,今日すでに全社的なTPMが展開されており,この実態を表した定義を,新たに定めることが必要になった。

そこで1989年になって定めた新定義,すなわぢ全社的TPMの定義”が表1・4である。

最初の定義,つまり”生産部門のTPMの定義”と,新定義(全社的TPM)

が比較対照しやすいように,新定義も5項目で定義づけられてる。

表1・3 TPMの定義(生産部門のTPM)

TPMの定義(生産部門のTPM)

TPMの定義(生産部門のTPM)

表1・4 TPMの新定義(全社的TPM)

TPMの新定義(全社的TPM)

TPMの新定義(全社的TPM)

 JITとTPMに共通した基本理念 | トヨタ式生産方式とTPM活動

JITとTPMは密接不可分の関係にある。自動化・FA化の進んだ今日,『必要なものを,必要なときに,必要なだけ』生産するという,いわゆるJIT生産を実施するためには,突発故障やチョコ停や不良をゼロにし,また多品種少量生産のための段取り調整時間を極小化しなければならない。それらを可能にするのがTPMであり,JITの完全実施を支えるのがTPMであるといえる,これをTPMの例からみると,JIT生産をしている工場ほど,TPMによる成果が大きく上がるのである。

ここでさらに強調しておきたいことは,JITとTPMには共通した基本理念があるということである。

表1・5に示すとおり,JITとTPMに共通した基本理念として,

(1) 経営に直結する全社的な製造技術

(2)徹底したムグの排除

(3)未然防止

(4) 現場(または現地)現物主義

(5)参画経営・人間尊重

の5項目をあげることができる(JITの基本理念は,大野耐一等(トヨタ生産方式)による)。

表1・5 JITとTPMに共通した基本理念

 JITとTPMに共通した基本理念

JITとTPMに共通した基本理念

 T Q C とTPMの特色比較

TPMが全社的な展開になるに従い,すでに産業界に広く普及しているTQCと,いったいどこが違うのかという質問がよく出る,

表D6は,TQCとTPMの特色比較をしたものである。TQCとTPMに共通しているのは,その目的が「企業の体質改善(業績向上と明るい職場づくり)」にあるという点である。ところが,この目的を達成するための手段・方法に,両者それぞれの特色がある。

表 1・6 T Q C とTPMの特色比較

T Q C とTPMの特色比較

T Q C とTPMの特色比較

まず管理の対象であるが, TQCは「品質(アウトブット側,結果)」を対象とするのに対して, TPMはF設備(インブット側,原因)」を対象とするこが特色である。

次に目的達成の手段として, TQCは「管理の体系化(システム化・標準化)」で強調されるが, TPMでは「現場現物のあるべき姿の実現」に重点を置く。

つまり,クリーンな職場づくり,”災害ゼロ,不良ゼロ,故障ゼロ”の設備そこものを実現することである。

人づくりでは, TQCが管理技術(QC手法)中心であるのに対して, TPMでは固有技術(設備技術,保全技能)が中心で,”設備に強い人づくり”を行う。

小集団活動では, TOCが「ボランタリー型のサークル活動」であるのに対して, TPMでは「職制活動と小集団活動のー体化」,換言すればトッブから 第一線までが全員参加して,仕事として行う職制主導型の重複小集団活動なのである。 目標については, TQCで「PPMオーダーの品質(100万個あたりの不良個数)」などといわれるが, TPMではロス・ムダの徹底排除,すなわちゼロ指向である。

 TPMの効果事例

TPMを導入してから,PM賞を受賞するまで3年以上はかかる。したがって,このような効果が出るまでには,やはり3年以上かかるということである。

まず,有形の効果であるが,生産システムのアウトプットとして生産性(P : Productivity),品質ぐQ : Quality),コスト(C : Cost),納期(D:Delivery),安全・衛生・環境(S : Safetyで代表させる),作業意欲(M:Morale)の6つを取り上げる。

そして, TPM導入時点をベンチマークとして,それらがどんなに良くなったかをを相対的に評価してみると,表1・7に示すとおり,付加価値生産性1.5~2倍、工程不良率1/10,製造原価30%減,製品・仕掛り品在庫半減などのほか,災害ゼロ,公害ゼロ,改善提案件数5~10倍といった画期的な効果が出ている。

表1・7 TPMの効果事例

 TPMの効果事例

TPMの効果事例

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