批判的思考とは、人の意見を傾聴し、なぜなぜを繰り返して、真の原因を追究し、共同してよい社会を築いていくうえでも大切な思考です。
しかし、現代は、何か分からないことに直面した場合、スマホのインターネット検索などで簡単に答えを見つけられる便利で効率的な社会になってきており、自分で考えない大人、子供が増えていると言われています。
ネット、学校の先生から一方的に知識を学ぶだけではなく、周りの人たちとの対話を通じて、自分で「考える力」が今後の社会では必須です。
関連記事:図解 なぜなぜ分析:5Whys ~現場の問題解決手法~
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中学、高校。そして大学、社会人になっても求められる論理的思考力(クリティカル・シンキング)を養う番組です。
ドラマ形式で「三段論法」「水かけ論」「見せかけの説得力」「横ならび論法」など、ニセモノの論理を見破る方法をわかりやすく動画で紹介しております、GOOD!!
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参考サイト:ロンリのちから
物事の本質を見極めるクリティカル・シンキング(批判的思考)重要性と実践事例【音声解説】
クリティカル・シンキング(批判的思考)の解説動画です。
3分で分かる! クリティカル・シンキング(批判的思考)概要
クリティカル・シンキングとは、単に情報を鵜呑みにするのではなく、多角的な視点から深く考え、論理的に判断する思考法のことです。
なぜクリティカル・シンキングが重要なのか?
現代社会は情報過多の時代です。私たちは日々、様々な情報に接します。その中で、どれが正しい情報なのか、どの情報が自分に必要なのかを判断するためには、クリティカル・シンキングの力が不可欠です。
- フェイクニュースを見抜く: 誤った情報やデマを鵜呑みにせず、真偽を確かめることができます。
- 問題解決能力の向上: 問題の本質を見極め、効果的な解決策を導き出すことができます。
- より良い意思決定: 様々な選択肢を比較検討し、最適な判断を下すことができます。
- 創造性の向上: 新しいアイデアを生み出し、革新的な思考を促します。
クリティカル・シンキングを鍛えるには?
クリティカル・シンキングは、一朝一夕に身につくものではありません。日々の生活の中で意識的に鍛えることが大切です。
- 疑問を持つ: 何事に対しても「なぜ?」「本当にそうだろうか?」と疑問を持つ習慣をつけましょう。
- 根拠を求める: 情報の真偽を確かめるために、根拠を要求し、複数の情報源から情報を収集しましょう。
- 仮説を立てる: 問題に対して様々な仮説を立て、検証してみましょう。
- 論理的な思考を身につける: 論理的な思考を身につけることで、より客観的な判断ができるようになります。
- 多様な意見に耳を傾ける: 自分の意見とは異なる意見にも耳を傾け、多角的な視点を持つようにしましょう。
クリティカル・シンキングの具体的なステップ
- 問題の定義: 問題を明確に定義し、何が問題なのかを特定します。
- 情報収集: 問題に関する情報を集め、分析します。
- 仮説の構築: 問題の解決策となる可能性のある仮説を立てます。
- 評価: 各仮説を評価し、最も可能性の高いものを選びます。
- 結論: 結論を導き出し、その根拠を説明します。
クリティカル・シンキング(批判的思考)とは?
「批判的思考(クリティカル・シンキング)」とは、健全な批判精神を持ちながら、物事を論理的に考える思考法です。
論理的思考は「結論」と「根拠」を筋道立てて考えるものでした。それは問題解決の場面で必須ですが、前提を誤って設定したり、解釈を間違えたりすると効果を発揮しません。
当たり前ですがスタート時の問題設定、テーマを間違えていると、いくら論理的に考えたところで正しいアクション、解決策には至りません。
批判的思考には、このような論理的思考の注意点を補う機能があります。前提は正しいのか、
結論と前提は本当につながっているかなど、客観的かつ批判的な目線で思考を行います。なお、 ここでいう「批判」は単に否定するだけのネガティブなものではなく、より客観的に、創造的に物事を考えていこうとするためのポジティブなアプローチです。
ちなみにcriticalの意味は「①批判的 ②危機的、重大な」で、語源はkrinein(判断する)に由来します、critical thinkingの日本語での翻訳での「批判的思考」だが本来の意味があまり反映されてないまずい翻訳、「危機的な重大局面における思考法」のほうが原文の意味に適合していると思われます。
中国語では 批判性思维。
ルネ・デカルトの方法的懐疑手法
客観的に考える事 が クリティカル・シンキング であり、いまから350年以上も前に客観的に考える事を通じて真理を発見しようとした人物がルネ・デカルトです。
デカルトが1637年に『方法序説』という本を書きその中で疑いようのない真理を発見するために、あらゆるものを疑う「方法的懐疑手法」を述べています。
デカルトはまず、外部世界の教えてくれること、つまりこの世界が存在していることを疑い、そして内部世界の教えてくれること、つまり自分自身の肉体、心も疑います。
世の中の存在を疑えば疑うほど、それを疑う自分自身の存在が確実なものとなるからです。ゆえに、デカルトは方法序説のなかで「我思う、ゆえに我あり」と結論づけました。
デカルト、自身が用いた思索の方法 四箇条は下記のとおりです。
①明証的に真であると認めることなしには、いかなることも真とは認めない。
②対象とする問題をより容易に解決するために、できる限り分割し、分析する。
③思索の順序は、最も単純なものから複雑なものへという考えに従う。
④何1つとり落とさなかったか、全般にわたって再確認する。
クリティカル・シンキングは、基本的にこの4つの手順すべてを網羅しています。が、その中でも特に重要なのが、「①明証的に真であると認めることなしには、いかなることも真とは認めない」というです。
デカルトは、次のように言っています。
『いささかでも疑わしいところがあると思われそうなものはすべて絶対的に虚偽なものとしてこれを斥けてゆき、かくて結局において疑うべからざるものが私の苦心のうちに残らぬであろうか』
これは、世の中の常識や習慣など、あらゆるものを客観感的な目で見て、そして思索を通じて本当に正しいと認めたものだけを受け入れるという事です。
クリティカル・シンキングとロジカルシンキングの違い
クリティカルーシンキングと類似した言葉にロジカル・シンキングがあります。一般にロジカルーシンキングは、論理思考と訳されます。
論理思考とは、「①ある主張について理由から結論に至る筋道が適切になるように考える
こと」同時に、「②ある主張について理由から結論に至る筋道が適切かどうか考えること」を指します。
ここで注目すべきは、「②ある主張について理由から結論に至る筋道が適切かどうか考えること」です。これは、主張を鵜呑みにするのではなくその内容が適切かどうか検証し判断することを意味します。
そして 疑うという行為こそ が クリティカル・シンキングの本質でした。 つまり論理的 思考 の 一 側面である、 ある主張 について 理由 から 結論 に 至る 筋道 が 適切 かどうかを 考えることとは クリティカル・シンキング に相当します。
このように考えると、ロジカルーシンキングとクリティカルシンキングは、いずれも同じ対象について述べたものだということがわかると思います。
ただし、両者には対象に対するアプローチの違いがあります。
ロジカルーシンキングはどちらかというと「①ある主張について理由から結論に至る筋道が適切になるように考えること」に重きを置いています。
それに対してクリティカルーシンキングは「②ある主張について理由から結論に至る筋道が適切かどうか考えること」に重心を置きます。
言い換えると、ロジカルーシンキングが論理の組み立てにより注意を払うのに対して、クリティカルーシンキングはどちらかというと論理の分析と評価を重要視します。
又、英語辞書に、logical thinkingという語彙を持つものは少なく、ロジカルシンキングの英語訳として、critical thinking(批判的思考)が選択されることも多い。
日本で言われるロジカルシンキングは日本で育まれており、特にベストセラーとなった書籍『ロジカルシンキング』によってMECEなどのテクニックが広く知られるようになり、ロジカルシンキングに関するビジネス書のブームが起きました。
関連記事:ロジカルシンキング(論理的思考)とは?【イラスト図解】
創造的批判思考
批判的には、対象を否定的に評価するというニュアンスがつきまといます。
したがって、批判思考と表現した場合、重箱の隅をつつくような、些末な粗探し思考をイメージしかねません。
しかし、否定的に検証する、つまり疑うということと、粗探しは全く別物です。徹底的に疑って、これ以上疑いのないものを真として認めるのが批判思考です。これを徹底したのがデカルトです。
そして、仮に徹底的に疑った結果、その主張が問違いだと判明したら、たんに問違いを指摘するだけではなく、その主張の改善案や代替案を提案すべきです。つまり批判思考は、対象とする主張を破壊するのが目的ではなく、あくまでも 建設的、 創造的である べき もの です。
「 クリティカル・シンキング = 批判 思考」という言葉には否定的語感が強いものです。そのため クリエイティブ・シンキング を あえて クリティコ・クリエイティブ・シンキングと呼ぶことが あります。いうならば 創造的批判思考 です。
貴方の職場にも批判するだけでそこで終わってしまう方がおられるでしょう、必要なのは次の新たなステップを展開する為の客観的指摘です。
不具合の真の原因を明らかにして共有化して別の改善案や代替案を全員で検討する事が必要です。
多面的思考
クリティカル・シンキングの特徴である客観的 且つ 創造的に考えるということは常識や教条を盲目的に受け入れる立場を否定し、ものごとを多面的に考えることに他なりません。
習慣化した考え方のパターンをスキーマ((schema)と呼びます、スキーマは効率的です。
繰り返し起こる出来事については、スキーマで対処することで思考を省力化できるからです。常識や教条はスキーマの言い換えに他なりません。
仕事のなかで日常的にいつも行なう定型的な業務のことをルーチンワークと呼びますがこれもスキーマーの活用した業務効率化の一つです。
会社、工場で良く使用されています、マニュアルもスキーマーの活用した業務効率化です。
しかし常にスキーマに頼っていると、そこから得られる答えは決まり切ったものになります。いわゆるステレオタイプ(紋切り型)と呼ばれるものです。こうした状況はある意味で、思考が停滞しているといえます。少なくとも批判思考は働いていません。
つまり、ものごとを紋切り型ではなく多面的に考えるようにすることが、批判思考のもう1つの特徴になるわけです。
群盲(ぐんもう)象を評すというインドの寓話があります、意味は
「多角的に見ないと、物事の真実の姿を知ることはできない!」ということです。
批判思考でも一つだけの見方だけでなく、多角的な見方をして真実を把握することが大切です。
パラダイムとイッシュー(論点)
論理的思考する時はイッシュー(論点)を明確にする必要があるがイッシュー(論点)はパラダイムによって変わります。
パラダイムは「思考の枠組み」とか、「ものの見方、考え方」と訳される。歴史観や世界観といった、より大きな思考の枠組みについて使われることも多い。
何か合理的か、合理的でないかの判断は、パラダイムによって変わってくるのである、そして、パラダイムは人の過ごしてきた経験、環境等によって変わり、決して同一ではありません。
経済学的な思考のパラダイムでは効率的であること合理的であると考える、パラダイムを明確に定義しないと論理的な推考することは困難であり、不毛な水掛け論になり、ムダな時間を費やすことになる。
ここで混同しやすいのは多面的思考です、パラダイムが定義され論点が決まり分析、評価する際には多面的思考の物の見方、考え方が必要です。
一方、論点を選択する時に色々なパラダイムで論点を選び、分析、評価するすることはできない、何故ならば個々のパラダイムで論点は違うし、その分析、評価も違うからです。
生きている上で毎日さまざまなことが起こる。
これをどのように理解し、どのようにアクションに移すかで、あなたの人生の成功が決まっていく、したがって、人生を成功するためのパラダイムを身につけることが、きわめて重要になる。
論理的な思考力を持っていても、パラダイムが間違っていれば人生の成功は難しい、南へ行きたいのに、南とは逆の北方向に歩き出せば、進めば進むほど遠ざかることになってしまうのである。正しいパラダイムにより論理の方向性を間違えないことが重要である。
世の中には複数のパラダイムが存在しており人によってどのようなパラダイムでものを見て
いるかは異なる。
普段 我々は、自分のパラダイムを意識することがないため複数のパラダイムが存在することや、他人が自分と異なるパラダイムでものを見ている可能性があることに気づかない。
どのようなパラダイムでものを見るかによって何が正しいかが決まる。パラダイムを定義せずに何が合理的か、何が論理的かを言うことはできないのである。
究極な話、論理的であることにあまりこだわる必要はなく、「ほどほどに論理的であれば十分」というのが、真実である。
ほどほど論理的になったら、人生で成功するパラダイムを身につけることにエネルギーを集中したほうが得策である。
同じ現象を見ても、人生で成功する人はそれがチャンスであるか否かを鋭く見分ける。それは、人生に対する見方、考え方、すなわちパラダイムがしっかりしているからである。
碁や将棋で、下手な者の長考をからかって言うことばとして『下手な考え休みに似たり』があるがパラダイムが不明確な論理の展開、主張は逆方向に論理が展開してしまい、休み以上に時間のムダとなるのでパラダイムを明確にすることが非常に重要である。
クリティカル・シンキングの基本の進め方
批判思考には、基本となる進め方があります。
①パラダイムを定義する。
②イッシュー(論点)を決める。
③分析し、理解する
④評価する
⑤意思決定し主張する
という過程を経ます。
以下、それぞれの段階の概略です。
①パラダイムを定義
よく『日本の常識は海外の非常識』と言われ、日本人はごく当たり前のことを言っていると思っていても、世界から見ると非常識である行動、考え方があることが多くある。
人は自分の思考の枠組みの中でものを考えるため、枠組み自体が違えば、話がかみ合わない。
この思考の枠組みのことを「パラダイム」と呼ぶ。どのようにものを考えるかということは、
どのようなパラダイムでものを見ているかということに大きく依存する。
「パラダイム」は育ってきた環境、教育、信条よって形成されるが一定ではなく、その時の年齢、社会環境によって変化するがこれを「パラダイムシフト」と呼ぶ。
米国のようにさまざまな文化的背景を持つ移民が集まってできた国では、人々はパラダイムに敏感である。同じ山来事に対してまったく違った反応を示す人が多くいる。
一方、日本のようにほぼ単一民族で、歴史的にも文化的にも同じ背景を持った人間が集まって生活している場で、パラダイムが意識されることはまれである。とくに、終身雇用制度の下、1つの企業文化の中でしか働いたことのない人は、特定のパラダイムに強烈に染まっている。
会社でチームとしてプロジェクトとして活動する場合、チームメンバーとの「パラダイム」が合わないと論議が展開しない。
『船頭多くして船山に登る』となる。
よって現実的な話、チームのリーダーつまり、貴方の上司の「パラダイム」にあわせた論点に論理の方向性を決めることが得策となる。
いくら貴方の『パラダイム』で思考した論点を事細かく説明しても「パラダイム」が異なる上司に納得させることは困難である。
保守的な上司に対しては保守的な論点(イッシュー)を、革新的な上司に対しては革新的な論点(イッシュー)をテーマとして決めるのが現実的となる。
極論、論点をミスしても責任を取るのは最終判断した上司なのだから・・・・
よって「長い物には巻かれろ」が上策である。
「長い物には巻かれろ」の語源:
ある猟師が象の鼻に巻かれたが今度は獅子に出会う。猟師は弓を使い獅子を追い払い、お礼に象が仲間の墓場に連れいき、象牙を見つけ、猟師は金持ちになったというものです。
長い物とは象の鼻を指していて、逆らわなければ得をするという中国の伝説が由来。
②論点を設定する
思考する前には、「考えるターゲットは何か」を特定しなければならない。
「そもそも問題は何か?」「イシュー(論点)は何か?」と、考える対象を特定していくことが必要だ。
「思考」の開始地点である。
イシュー(論点)とは?
問題とは何だろう?
問題とは、現状とあるべき姿の間のギャップである。
新人、若者は会社や仕事、キャリアなどの理想の姿がイメージできていないので、問題を発見できない。
あるべき姿、理想の姿が具体的にイメージできるほど、その問題点が明確になり、分析、評価が容易になる。
例えば太り過ぎで悩んでいる女性の論点(イッシュー)はダイエットであり、その問題の程度によって対処方法が異なる。
5㎏程度の太り過ぎの場合は食事制限、運動で対処可能であるが20㎏以上の太り過ぎの場合は専門家のアドバイスが必要となる。
又、自分の妻と実母が仲が悪い場合は問題だろうか?
日本人の『パラダイム』とし自分の妻と実母が良しとする風潮があり、あるべき姿と考えられている。
よって現実と理想の間で差が発生し、問題と勘違いしてそれを解消する手段を求めて悩み、苦しむ。
自分の妻と実母が毎日 同じ家で暮らしている場合は喧嘩が絶えず、自分にとって問題になると思えるが別々に暮らしていれば喧嘩する事がないので問題は発生しない。
自分の妻と実母が仲が良い事はあるべき姿と既成概念に縛られないであってほしい姿、希望としてとらえておけば差が生じないので問題が発生せず、悩み、苦しむこともない。
すべての問題は自分のあるべき姿から発生する。
自分だけ問題の場合は他の人は関係ないので自分が頑張ればどうにかなるが多くの問題のは自分以外の人との関連性があるので悩み、苦しむ、『他人と過去は変えられないのである』
自分の考え方、思考の視点を変えてあるべき姿から希望する姿に変えるだけで多くの問題は解決できる。
論点(イッシュー)の設定
論点(イッシュー)を正しく設定することは『思考する事』の品質を左右する。
逆に論点(イッシュー)が正しくなければ後で論理的に分析、評価してもムダである。
イシューの設定にあたっては、次の3つに注意する必要がある。
①ポイントがずれた論点(イッシュー)を設定していないか?
ポイントがずれたイシューの設定とは、本来考えるべぎイシュー、あるいは他の人が考えているイシューからずれたところに、自分のイシューを設定している場合を言う。これではいくら深く考え、分析しても役に立たない。
例えば日本の少子化を論議する時に各人のパラダイムによって主張(意見)は異なる。
労働人口が減少し、地方の町などで高齢者の割合が増え、過疎化すすみ、社会保障体制の維持が困難なりと問題として捉えている人もいれば逆に日本の人口が減れば、その割合の応じて食料、エネルギー等は不要となり、一人当たりの面積も増加し、日本が住みやすくなると捉えている人もいます。
日本の少子化とはひとつの『現象』です。
良いとか、悪いとかは判断するのは各人の考え方です、パラダイムが異なれば論点(イッシュー)は異なり、良いと考えれば利点となり、悪いと考えれば問題となります。
例えば「少子化」という現象に対する論点は下記のようになります。
「少子化」という現象に対する論点(イシュー)
【論点1】
少子化になると、労働人口が減少し、日本のGDPが低下。
【論点2】
少子化になると、生産年齢人口に対する老年人口の比率が上昇し、社会保障体制の維持が困難。
【論点3】
少子化になると、地方の町などで高齢者の割合が増え、過疎化が進行。
3つの論点はそれぞれの論点によって解決策は異なります。労働人口減が問題であれば、移民を増やす等の解決策となり、過疎化が問題であれば、自治体が企業などを誘致しをうながす等の解決策となります。
論点のずれた論議をいくら時間をかけて話あっても論点にマッチした解決策を出すことは不可能です。
②狭すぎるイシューを設定していないか?
日常よく起こしがちなのが、狭すぎるイシューを設定してしまうことです。さまざまな論点(イッシュー)の設定が可能なのに、視野が狭かったり、固定概念にとらわれたりして、無意識のうちにイシューを絞り込んでしまう。
例として人工透析は患者にとって時間的な負担が大きい。毎同最低でも4時間はかかる。
患者の負担を減らす方法として、透析時問を短くすることが考えられる。しかし、イシューを透析時間に限定してしまうと、よい解決策はなかなか出てこない。透析時間を短くするためには、いくつもの技術的な困難が伴い、費用にかかり、開発に長期時間もかかる。
そこで視点を変えて透析時間自体は短縮できなくても、その時間を有効に使えるようにすることを考える。
たとえば、透析を受けながらビデオを見られるようにしたり、透析の方法を変えて自宅で行えるようにする、さらには睡眠中に透析を行えるようにする、といった提案である。
正しいイシューの設定は、「患者の時問的拘束に対する苦痛の軽減」である。
「透析時間の短縮」ではその一部である。
③漠然としたイシューを設定していないか?
漠然としたイシューの設定とは、論点を大きくしすぎるために、何を考えてよいのか絞りきれなくなることを言う。
例えば学生から[これからどのようなキャリアを積んでいったらよいでしょうか?]との質問である、これではあまりに漠然として、考える糸口が発見できない。
[将来独立したいする為のキャリアを学びたい]とか、[環境分野の仕事をしたいとか]等 対象(ターゲット)を明確に絞り込んだ論点(イシュー)にした方は正しい解決策が提起可能となる。
③分析し、理解する
まず、何らかの主張に対して、その意味するところを正確に理解する必要があります。これが批判思考の第一歩である「①理解する」です。主張を「分析する」とも言い換えられる段階です。
複雑な主張に対してはいくつかの要素に分け、その要素・成分・構成などを細かい点まではっきりさせ、つまり分析して統合し理解します。
ものを考えるとは、考えている対象をバラバラに分解することであり、さらにそれらを組み立
て直して統合していくことである。
これを要素還元主義という。
要素還元主義とは?
ものごとを要素に分解したり、統合したりすることを[要素還元法]と言い、また、要素還元法によりものごとを理解しようとする姿勢を「要素還元主義」と言う。
17世紀以降、人類は還元主義により、自然科学や社会科学の発達を通して今日まで進歩してき
たといっても過言ではない。別の言い方をするとどれほど人間が優秀でも、どれほど文明が進化しようとも、現状では要素還元主義しか考える方法を我々は知らないのである。
もちろん要素に分解するのではなく、全体をそのまま理解しようという試み(ホーリズム)もある。
システム・シンキング」「複雑系」だとか「フラクタル」とか呼ばれる研究が盛んに行われているが、還元主義ほどの成果を出すには至っていない。
要素還元法の統合の仕方はいくつかある。
(1)要素間の関係性を見る方法(因果関係)
(2) 要素の共通性を見いだしてカテゴリー化する方法(分類一体系化)
(3) 要素のフローを見る方法(プロセス分解)などである。
因果関係
夏が暑いとアイスの売上げが増えるという関係がある。「夏の暑さ」が原因で「アイスの売上げ増」が結果である。この原因と結果の関係のことを「因果関係」という。
分解された要素は、要素間の因果関係に着目して統合できる。
昔は結果はすべて神が決めていると人々は信じていたのだが、17世紀になってようやく原因と結果の関係性でものごとをとらえるようになった。
因果関係で要素を統合する方法は、他の方法に比べてずばぬけて強力なツールを人類にもたらした。
原因と結果について述べた主張は、原因が理由にあたり、結果は結論にあたります。また、因果関係を理由にして、結論を導き出す主張もあります。
心理学各ユージン・ゼックミスタとジェームズ・ジョンソンは因果関係を立証する基準として次の3つを上げています。
①時間的順序は適切か?
Aが原因でBが結果の場合、時間的にAが必ず先行して発生しなければなりません。この点が適切かどうかを検証します。
②共変関係が存在するか?
同様にAが原因でBが結果だとすると、Aが発生したら、必ずBも発生するという関係が成立します、これが「共変関係が存在するか」です。
③第三要因は存在しないか?
次にAが発生したら、必ずBも発生するからといって、AがBの原因と決められない場合もあります、つまり、第三の要因があって、これがAとB双力に影響を及ぼして、双方に見かけ上の因果関係があるように見えるのかもしれないからです。
よって、疑わしい第一要因をすべて排除しているから、検証する必要があります。これが「③第三要因は存在しないか」です。
例えば、灯油の使用量と手袋の販売数量の場合です。灯油の使用量が増加すると、手袋の販売数量も増加する現象があります、正の相関関係です。
これを根拠に「灯油の使用量が増えると手袋の販売数量が伸びる」と結論付けるのは適切ではありません。
両者に影響を及ぼす第三要因が考えられるかです。この場合、第三要因として気温の低下をが考えられます。
第三要因があるにも関わらず、相関関係があることを理由に、因果関係があると判断すると、大きな誤りを犯してしまいます。
この3つの基準をすべて満たした場合、ゼックミスタとジョンソンは、因果関係が成立すると述べています。
J.S.ミルの因果関係の手法
因果関係を特定する技術についてはイギリスの哲学者 ジョン・スチュアート・ミル が 提唱 し た「実験研究の四方法」が 有名です。
亅.S.ミルが19世紀にまとめた因果関係を見いだす手法は下記のとおり。
一致法(method of agreement)
ある現象が複数の事例で発生しており、ただ1つの要素だけが共通ならば、それがある現象の原因になっている可能性がある。
たとえば、3人とも同じ弁当を食べていたとします。3人ともにで腹痛を起こしました。お腹が壊れた原因は、弁当だと推測できます、これが一致法です。
差異法(method of difference)
現象が発生している事例と発生していない事例で、ただ1つの要素だけが異なっていれば、その要素が現象の原因である可能性がある。
たとえば、3人とも同じ弁当を食べていたとします。ただし二人だけ食後にアイスクリームを食べており、その二人があとで腹痛を起こしました。お腹が壊れた原因は食べたアイスクリームだと推測できます、これが差異法です。
共変法(method of concomitant variations)
ある現象が他の現象に伴って変化するとき、その現象は他の現象の結果であるか、2つの現象が同じ原因によって起きている可能性がある。
共変関係とは、ある出来事Aが変化すると、これに対応して別の出来事Bも変化する関係です、このような場合、AとBには相関関係があるといいます。
相関関係には正の相関関係と負の相関関係があります。出来事Aが増加すれば、出来事Bも増加するという関係が正の相関関係です。逆に出来事Aが増加すると出来事Bが減少する関係を負の相関関係と呼びます。
例としては先程、述べた「気温が下がると灯油の使用量が増えると手袋の販売数量が伸びる」事例です。
一致差異併用法(joint method of agreement and difference)
一致法と差異法の併用した方法を一致差異併用法と呼びます。
これは一致法や差異法を用いるよりも、より強固な因果関係を見付け出せます。
現象が発生している事例にはあり、発生していない事例にはない要素は、その現象の原因である可能性がある。
例えばグループAには新型コロナウィルスのワクチンを接種し、Bにはワクチンを接種しない。(差異法)
次にグループA、Bそれぞれに新型コロナウィルスに感染させる。(一致法)
結果、グループAには異常はみられず、グループBは高熱を出した。
よってワクチンは新型コロナウィルス防止に効果ありとの推定。
剰余法(method of residues)
ある現象ABでBの要素(b)を取り除いたとき、残った要素(a)は残った現象Aの原因である可能性がある。
つまり要素bが現象Bを引き起こすことが明確な場合Bという現象を取り除いた結果(Aとする)とb以外の要素(aとする)が残り、Aという結果を引き起こすうえで、aという要素が関連していると推定される。
例として冷蔵庫Aのクレームには冷えない不良と電源が入らない不良があり、冷えない不良の原因は冷却ガスの漏れであり、電源が入らない不良の原因は電源トランスの不良である。
よって、冷蔵庫Aのクレームから冷えない不良を取り除くと残りは電源が入らない不良であり、原因は電源トランスの不良と推定される。
④評価する
主張を正確に理解できたら、次にその内容を検証します。そして、その主張の基礎となる理由や結論が適切なのかを検証します。その上で、その主張の適切性を評価します。これが「②評価する」のステージです。
⑤意思決定し主張する
②を前提にして、その主張に対して賛成か、反対かを明確にし、賛成の場合はその主張を行動に移します、反対の場合は代替案という行動を提起します。
これが「③意思決定し主張する」です。
どちらにしても行動という行為をして「うやむや」にしない事が大切です。
ここで大事なことは批判的な意見ばかりを言うのではなく、建設的な意見を言うことです。
人を攻めるのではなく、論理の誤っている点をわかりやすく説明し、次の代替え案へのヒントを全員に伝え、創造的な代替え案を産むことです。
クリティカル・シンキングを鍛えるための具体的な方法
-
疑問を持つ習慣を身につける:
- 何事に対しても「なぜ?」「本当にそうか?」と疑問を持つことを心がけましょう。
- 情報を鵜呑みにせず、常に根拠を求める姿勢が大切です。
-
情報源を批判的に評価する:
- 情報の信憑性や偏りを疑い、複数の情報源から情報を収集しましょう。
- 情報の意図や目的を考え、客観的に評価することが重要です。
-
論理的な思考を心がける:
- 根拠に基づいて考え、感情的な判断を避けましょう。
- 論理的な思考を助けるツールとして、ロジックツリーやマインドマップなどを活用することも有効です。
-
多角的な視点を持つ:
- 異なる視点から物事を捉え、多様な意見に耳を傾けましょう。
- 自分の意見だけでなく、相手の意見も尊重し、対話を通じて理解を深めることが大切です。
-
積極的に議論する:
- 自分の考えを相手に伝え、フィードバックを受けることで、思考力を磨きましょう。
- 議論を通じて、自分の考えを整理し、より深い理解へとつながります。
-
読書習慣をつける:
- 様々なジャンルの本を読むことで、知識を広げ、思考力を刺激することができます。
- 特に、ノンフィクションや哲学書は、クリティカル・シンキングを鍛える上で役立ちます。
-
質の高い情報に触れる:
- ニュースや論文など、質の高い情報に触れることで、思考の幅を広げることができます。
- 情報を選別する能力も養われます。
-
自己学習をする:
- オンライン講座やワークショップなど、クリティカル・シンキングに関する学習機会を積極的に活用しましょう。
- 専門家から直接指導を受けることで、より効率的にスキルアップできます。
-
フレームワークを活用する:
- SWOT分析、ロジックツリーなど、様々なフレームワークを活用することで、複雑な問題を構造的に捉え、分析することができます。
-
日頃から実践する:
- 上記の方法を日常生活の中で意識的に実践することで、自然とクリティカル・シンキング力が身につきます。
思考力を鍛えるクリティカル・シンキングの本
クリティカル・シンキング、つまり批判的思考は、単に物事に対して批判的な目を向けるだけでなく、与えられた情報に対して深く考え、多角的な視点から評価し、より良い判断を下すための能力です。
ビジネスシーンはもちろん、日常生活においても、複雑化する問題に対して効果的に対処するために、クリティカル・シンキング力は不可欠です。
ここでは、クリティカル・シンキングを深めるための本をいくつかご紹介します。
初心者におすすめ!基礎を固める本
1. 「入門 考える技術・書く技術 ―― 日本人のロジロジカルシンキング実践法」
2. 「ロジカル・シンキング」
ビジネスパーソン向けの定番書。論理的な思考のフレームワークを体系的に学び、実践的なスキルを習得できます。
3. 「ビジュアル ロジカル・シンキング」
図やイラストを多用しており、視覚的にロジカルシンキングを学べる点が特徴です。複雑な概念も分かりやすく理解できます。
中級者におすすめのロジカルシンキング本
1. 「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」
ビジネスコンサルティングファームBCGのメソッドに基づいた、問題解決のための思考法を解説しています。
2. 「新版 考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則」
「入門 考える技術・書く技術」の続編で、より高度なロジカルシンキングのテクニックを学ぶことができます。
3.図解入門ビジネス 最新ロジカル・シンキングがよくわかる本
ビジネスに役立つ論理的思考法「ロジカル・シンキング」が図解でよくわかる入門書です。
4.こどもロジカル思考 なぜ論理的に考えることが大切なのかがわかる本
初心者向け こどもロジカル思考 なぜ論理的に考えることが大切なのかがわかる本
より深く学びたい方へ
「ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」
ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣、データに基づいて物事を考えることの重要性を説き、誤った情報に惑わされないための思考法を提示しています。
これらの本を参考に、クリティカル・シンキングのスキルを磨き、より豊かな思考を手に入れましょう!
クリティカル・シンキング トレーニング アプリ3選
論理的思考力を訓練、トレーニングする為のアプリを紹介、日常的に論理的思考力をトレーニングできるアプリを使っていれば、論理的思考力が身につきます。
考える力を考えよう【思考体力】
思考体力とは「長時間考え続けられるパワー」、簡単な問題であれば思考体力は必要ないですが、仕事や日常生活で直面する複雑な問題に対しては、根気強く考え抜く体力が求められます。
またクリティカルシンキングでよく語られる「なぜ?」「本当にそうだろうか?」など、批判的思考にも思考体力は役立ちます。
このアプリは「考える力を考える」をテーマに、絵本のような「ゲーム感覚で思考力を鍛える」ことのできるゲームアプリです。
グロービス学び放題【知識・フレームワーク】
知識・フレームワークというのは、いわゆる「考え方」、頭の回転がいくら速くても、思考体力が無限にあったとしても、正しい考え方(知識・フレームワーク)を知らなければ、考えが間違った方向に行ったり、共有化ができません。
グロービス学び放題はビジネスで役立つビジネス知識動画が2,500以上公開されており、すべてのコンテンツを月額1,634円で視聴することでき、又 ロジカルシンキング講座も準備されており、「論理的に考える力」という題目の動画もあります。
DNB【IQ・情報処理能力】
情報処理能力は「頭の回転の速さ」です。
物事を考えるのが速い人は、普通の人が1つ考える間に、3つも4つも考えてしまいます。
DNBは「脳トレアプリ」です。
人間の脳を鍛えるために、科学的根拠に基づいて設計されており、毎日少しずつアプリ内のゲームに取り組むだけで脳の情報処理能力が向上します。
まとめ
クリティカル・シンキングで議論する上で最も大切なのは「異なる意見を尊重する」こと。たとえ自分とは意見が違っても、相手の意見を尊重する姿勢の大切さを学びます。
しかし、人は感情の動物です。嫌いな人の意見は聞きたくない!好きな人の意見の批判検証は甘くなりがちですが決して人物評価でなく論理評価を行うことが必要です。
クリティカル・シンキングを身に着けて生活、社会および会社で発生する課題(金銭トラブル、品質トラブル等)を効率的に改善し、人生をエンジョイしましょう。
時は金、一瞬の時間のムダは人生のムダです。
但し、100%完璧な結論など、世の中にありませんがそこで立ち止まっては元の木阿弥です。
クリティカル・シンキングでよい結論がでたら即時、実行することが大切です。
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最後に面白い 論理的思考クイズを紹介します。
貴方は正しく、回答できますか?
『正直村と嘘つき村』 “論理的思考力”を問うクイズムービー
批判的思考(クリティカル・シンキング)資料 無料ダウンロード
グーグルスライド版 ロジカルシンキング(論理的思考)とは?
グーグルスライドから批判的思考(クリティカル・シンキング)(パワポイント版)が無料でダウンロードできます。
スライドシェアー版 批判的思考(クリティカル・シンキング)とは?
スライドシェアー(Slideshare)から批判的思考(クリティカル・シンキング)(PDF版)が無料でダウンロードできます。
参考文献:
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