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TQCとTQMの違い【イラスト図解】

TQC TQM
TQC TQM

TQCとTQMの違い 概要解説

TQCとTQMは、どちらも品質管理に関する用語ですが、その範囲や重点が異なる。

TQC(全社的品質管理)とは

TQCは、「Total Quality Control」の略で、全社的な品質管理を指します。主に製造業において、製品の品質向上を目的とした活動であり、現場レベルでの品質管理に重点を置いています。

特徴:

製造現場における品質管理に特化している。
品質に関するデータの収集・分析、改善策の立案・実行を繰り返すPDCAサイクルを重視する。
現場の従業員一人ひとりが主体的に品質向上に取り組むことを促す。

TQM(全社的品質マネジメント)とは

TQMは、「Total Quality Management」の略で、全社的な品質マネジメントを指します。TQCをさらに発展させた概念であり、企業全体の活動に品質の考え方を浸透させ、顧客満足度の向上を目指すことを目的としています。

特徴:

製造業だけでなく、サービス業などあらゆる業種に適用できる。
品質を経営戦略の中心に据え、企業全体の目標達成に貢献する。
顧客、従業員、サプライヤーなど、企業に関わるすべての人々が品質向上に参画する。
TQCのPDCAサイクルに加え、企業全体の戦略策定や組織文化の変革なども含む。

TQCとTQMの違い

項目 TQC TQM
範囲 製造現場 全社的な活動
目的 製品品質の向上
顧客満足度の向上、企業全体の目標達成
手法 PDCAサイクル
PDCAサイクル、戦略策定、組織文化の変革など
主体 現場従業員
全従業員、経営層

QC、TQC、TQMの推移

QCからTQMは下記のように推移する。

QC:不良品を市場に流出させないように出荷前検査を導入する段階
TQC:不良品を生産させないように生産プロセスに科学的アプローチを行う段階
TQM:生産だけではなく企画から販売までマネジメントし科学的アプローチを行い付加価値を付与していく段階

QCがTQCを経てTQMへと進化することで総合的な企業力の向上を図ることができるようになる。

QC、TQC、TQMの推移

QC、TQC、TQMの推移

 

TQCとは | 全社的品質管理

日本において,1960年代前後になると統計的品質管理を導入して成功した企業では,同じ手法を社内の他の部門に活用できないか,模索する動きがでてきました。これは,製造現場でいくら努力しても,設計に問題があれば不良はなくなりません。不良の原因を追究の過程で,設計を少し変更することでたちまち不良がなくなるというケースは非常に多かったのです。つまり,品質管理では,設計は絶対切り離せない部門といえるのです。

購買についても同様で,最初から出来の悪いものが入ってきたら,製造現場ではどうしようもありません。

さらに,設備やそれを使う作業者の採用や配置といった問題も品質問題に直接関わってきます。
これらに加え,マーケティング,販売,サービスといった一見品質管理とは縁のなさそうな部門についても,実は品質管埋と密接に関係があります。

このような経緯により(全社的品質管理(TQC〕Total QualityControl)という概念が浸透してきました。

このTQCは,当初アメリカのファイゲンバウム(A.V.Feigenbaum)により提唱された言葉で,ファイゲンバウムによれば,「TQCとは顧客に十分満足してもらえるかぎりにおいて,最も経済的に品質水準の製品を生産し販売していくために,組織内のいろいろなグループが払う品質開発,品質維持,品質改良の努カな組織である」と提唱したのです。

ファイゲンバウムTQC提唱者

ファイゲンバウムTQC提唱者

 

 

ここでの組織とは,品質管理専門の部門の設置を行うのではなく,品質確保の業務をそれぞれの部門に割り振ることで,品質機能を全社的に行うことです。すなわち,従来個々別々の活動として実施されてきた購入品の管理,工程解析,工程管理,検査,保守,販売などの活動を総合的な活動として行うことです。

日本的品質管理の特徴 | QCサークル活動の展開

既述のように,日本のTQCは,当初アメリカから導入されたが,その後,日本的経営に順応したものに変容していきました。その特徴については,1969年に日本で開催された第一回品質管理国際会議( International  Conference on Quality Contorol〕1969年において,当時の日本のQC関係者らにより次の6項目が示されています。

①全社的品質管理の実施

②QCサークル活動の展開

③QC診断

④統計的手法の活用

⑤品質管理教育及び訓練

⑥全国的品質管理推進運動

また同時に,それまでアメリカで用いられてきたTQCとは異なるという意味で,全社的品質管理(Company-Wide Quality control   :CWQC)という呼び名を与えました。ところで,このCWQCという言葉は,現在においてはあまり一般的に使われておらず,日本的TQCもしくはただ単にTQCという言葉が用いられています。その後,1987年に開催された第44回日科技連品質管理シンポジウムにおいて討議の結果,上記の6項目に対して,さらに4項目を追加し,これをもって次表に示すように日本的TQC(以下TQC)の特徴としました。

 

●日本的TQCの特徴

①経営者主導における全部門,全員参加のQC活動

②経営における品質優先の徹底

③方針の展開とその管理

④QCの診断とその活用

⑤企画・開発から販売・サービスに至る品質保証活動

⑥QCサークル活動

⑦QCの教育・訓練

⑧QC手法の開発・活用

⑨製造業から他の業種への拡大

⑩QCの全国的推進

方針管理 | 企業経営の理念

日本的TQCの特徴としてあげられた,品質管埋における経営者・管理者の役割の重要性があります。この役割の中で最も重要なものの1つが,方針管理です。

方針管理とは,企業経営の方向性,目標,方策,理念等をトップから末端の現場作業者に至るまで,伝達・展開を行い各職位が計画に基づいて活動を行います。その実施結果を.評価,検討をして,検討結果の次期方針へのフイードバックを行うことで管理のサイクルを継続的に回し,持続的な改善を目指すことなのです。

日常管理 | デミングサイクル

日常管理とは,各部門がその目的を果たすために定められた業務についてPDCA(Plan Do Check Action)の管理のサイクル(=デミングサイクル)を回して行くことです。このことから日常管理は部門別管理ともいうことができます。

日常管理の基本は,日常業務の維持と現状での改善を確実に行うことにあります。個人個人が自分の行うべき業務とその管理を確実に行っている状態が理想的といえます。日常管理を確実に行うことで,方針管理のより有効な実効が期待できます。

機能別管理 | 品質,コスト,納期

機能別管理とは,全社的な立場に立って品質,コスト,納期といった各経営要素について機能別に計画を立案します。
そして,各実施部門の日常管理・方針管理を通して実施するとともに,実施結果を全社的立場から評価を行って必要な対策を行うことです。言い換えると,全社的な立場に立って,維常目的達成のための部門間の連携に対応した管理活動ということができます。

 

デミング賞 | 事業所表彰

日本において,全員参加型の日本的品質管理を推進するうえで重要な役割を果たしたものに,デミング賞があります。
デミング賞は,1950年に日科技連の招聘により来日し,日本の品質管理の発展に寄与したアメリカの統計学者(デミング博士(w.E.Deming)の業績と友情を記念すると供に品質管理活動に顕著な効果を上げたと、認められた企業、事業所に与えられる賞です。デミング賞の種類は次のとうりです。

①デミング賞本賞

②デミング賞実施賞

③デミング賞事業所表彰

本賞は,品質管理,統計方法に関して大きな貢献をした個人に与えられるものです。これは,自薦他薦を問わずに応募することができ,デミング賞委員会において審査の上,受賞を決めます。

実施賞は,統計的品質管理を実施し顕著な効果を上げたと認められた企業または事業所へ与えられます。この実施賞には,実施賞,実施賞中小企業賞,実施賞事業部賞の3つがあります。実施賞と実施賞中小企業賞に関しては,どちらに応募するかは応募者の判断により選択できます。実施賞事業部賞は,企業の事業本部または事業所を対象とします。デミング賞委員会は,事前に提出した実情説明を参考に実地調査を行い,審査を行うことになります。

 

事業所表彰は,統計的品質符理を実施して顕著な効果を上げたと認められる企業の事業所に対して行われ方法に関しては実施賞に準じて行われます。

 

QCサークル活動とは | 品質管理の小集団活動

TQC活動を進める上で,欠かすことができないのがQCサークル活動です。これは,現場の管理者や監督者と作業者の品質意識の高揚と,品質管理活動の推進を目指すための小集団活動のことです。

TQCの特徴の1つがみんなでやる品質管理ということができます。このため従業員一人一人の資質を向上させることで,より良い品質管理が可能となるのです。そこで,作業現場で小さな集団を作り,どうすればより良い製品を作ることができるかという意識のもとに,そのメンバーがお互いに意見を出し合ってQCの手法を活用して改善していくことにより,従業員が意欲を持って働く楽しみを味わいながら作業を行う小集団活動,すなわちQCサークル活動が盛んに行われています。

関連記事:小集団活動|QCサークル

QCサークル活動の誕生 | 現場とQC

QCサークル活動は,全社的な品質管理活動を進めていくうちに,第一線の現場における品質管理の重要性の認識が高まる中で生まれました。

従来は,品質管理のスタッフ向けに発行されていた『品質管理』の姉妹誌として,現場の監督者向けに品質管理の雑誌を発行することでした。これが『現場とQC』誌で,1962年に創刊されました。

QCサークル雑誌

QCサークル雑誌

この雑誌のねらいは,第一線の現場の入が自費で購入して勉強できるように,低い価格で,平易にかかれているものです。そして,この雑誌は次の3つの方針のもとに編集されていました。
1)現場監督者の管理改善能力向上のための手法の教育・訓練,普及に役立つ内容とする。

2)なるべく多くの職組長,作業者の読んでもらうために,個人で買えるように低い価格で設定する。

3)現場の職組長を長とし,部下の作業員までを含めたグループを作り,これをQCサークルと呼ぴ,雑誌を中心に勉強していくとともに,これを第一線の現場での品質管理活動の核として働くものとする。

これらの方針に基づき,初代編集委員長であった石川馨が『現場とQC』誌面によりQCサークルの結成を呼びかけことがはじまりです。

 

QCサークルの発展 | QCサークル活動の普及

1962年に誕生したQCサークル沽動はその後、活動の普及と推進のための組織化が進められました、,その中心的な役割を果たしたのが,QCサークル本部です。QCサークル本部は,日科技連内に設立され,QCサークル本部世話人(1993年よりQCサークル本部指導員へ改名)を派遣して,QCサークル本部大会やシンポジウムの開催を通じ,全国的なQCサークル活動の普及・推進活動を行ってきました。また,結成したQCサークルの登録も行っています。

 

QCサークル活動が全国各地で活発化してくると,QCサークル本部だけでは,十分な対応ができなくなってきました、、そこで,各地域で核となる組織が必要となり,まず1964年に関東,東海,北陸,近畿にQCサークル支部が設置されました。その1年後の1965年に中国・四国,1968年に九州,1971年に北海道,1974年に東北,そして1984年に沖縄にそれぞれ支部が開設され,全国的にカバーする組織網が完成しました。

全国各地でのQCサークル活動の活発化とともに,各地でQCサークル活動の発表の要望がでてきました。それを受けて,1963年に第1回QCサークル大会が仙台で開催されました、、その後,1964年には大阪で,第3回大会は金沢,第4回大会は名古屋で開催され,年を追う毎に急速に拡大していきました。

QCサークル大会は,国内だけではなく国際的な大会も開かれるようになりました。それは,日本主催で1978年に29カ国,419人の参加による第1回国際QCサークル大会が東京で開催されました。
また,日本製品の優秀性が評価されるにつれて,海外でも日本製品の優秀さを生み出す根幹のひとつとして日本的品質管理,中でもQCサークル活動に注目して,各国から多くの調査団の派遣が行われました。その対応として,日科技連を中心にQCサークル活動のノウハウを積極的に公開した結果,現在では62カ国/地域の国でQCサークル活動が行われています。

更に,QCサークル活動の活動領域も拡入してきました。もともと,QCサークル活動が発足した当時は製造業が中心であったため,品質向上というと「製品の質」が対象でした。しかし,QCサークル活動がさまざまな産業で行われるようになり,1990年の『QCサークル綱領』第一次改訂にて製品やサービスを供給することを意識して,「製品及び仕事の品質」の意味合いが強調され,更に今日では「製品・サービス・仕事の質」へと活動領域が拡大しています。これは,「QCサークル活動とは職場を良くする活動」であるという認識からであり,QCサークルによる職場の様々な問題の解決にまで用いられるようになるまでに発展してきました。

コメント

  1. […] アマンド・ファイゲンバウム(Armand V. Feigenbaum: 1922 – 2014)全社的品質管理(TQC: Total Quality Control)を提唱する。 […]

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