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サーミスタの選び方、使い方、不良モード、用途、応用製品

サーミスタの使い方

 以前のサーミスタを使った温度信号・取り出し方

サーミスタを温度の計測や制御に利用するとき,温度の変化を抵抗の変化として検知することになる。抵抗を測定するにはサーミスタに一定の電流を流してその端子電圧を測定する方法がまず考えられる。

近年,抵抗測定に多く用いられているディジタルボルトメータ(DVM)の抵抗測定レンジを利用した抵抗測定はこの方法によるものである。

しかし,サーミスタの場合は,サーミスタの抵抗と温度の関係が式(1)に示されるように指数関数の関係にあり,非直線の特性を示すため,求まった抵抗値を温度の信号に変換するためには何らかの変換回路を使う必要があり,さまざまな方法が工夫されているが,精度を要求する場合価格的に安いものとはならないし,多くの回路部品が必要である。

ホイトストンブリッジによる零位法を使った抵抗測定は,抵抗値の測定としては精密ではあるが,温度の連続的測定の場合には自動平衡式の電子回路を組み合わせて温度目盛をするなどの工夫が必要である。下図はサーミスタを使った自動平衡式の温度計の概念図である。

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サーミスタを使った自動平衡式の温度計

つぎに,ホイトストソブリッジを用いたごく一般的な不平衡電圧検出による方法である。通常のアナログ式のマイクロアンペアメータ(マイクロアンメータ)を用いたサーミスタ温度計は,つぎの下図に示すような構成になっている。

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アナログ式サーミスタ温度計

最近のサーミスタを使った温度信号・取り出し方

最近のように電子部品,特にICやマイクロプロセッサが発達し,デジタル化か進んでくると,いままで述べたような方法でなく,別の簡単な方法がサーミスタの信号を取り出すために用いられるようになった。下図にその回路を示す。この方法は回路部品も少なく,得られる結果はブリッジ回路の場合と同等であり,それに加えて,そのあとに続く増幅回路への接続が容易なことから,家庭電化製品やOA機器などを中心として非常に多く使われるようになっている。

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サーミスタを使って温度信号を取るための回路

図の回路では電源電圧Einと出力電圧Eoutの間には式(14)の関係がある。
Eout=Ein×R/r+R               (式14)

使用したい温度範囲をt1°Cからt3°Cまでとし,その中央の温度をt2℃として

t1<t2<t3,t2-t1=t3-t2

の条件を考え,それらの3温度点でのサーミスタの抵抗値をそれぞれr1,r2,r3,r4とし,それら3温度点における出力Eout1,Eout2 ,Eout3が一直線上にあるような関係を求めてみる。すなわち

Eout1=Ein×R/r1+R

Eout2=Ein×R/r2+R

Eout3=Ein×R/r3+R

の関係があるから,Eoutのグラフが横軸に温度(℃),縦軸にEout ボルトをとったときの位置関係を下図のようにしたい。

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これから,そのための条件を計算してみる。

(Ein×R/r3+R)-(Ein×R/r2+R)=(Ein×R/r2+R)-(Ein×R/r1+R)

分子が共通だから左辺,右辺とも(Ein×R)で割ると式(15)が得られる。

1/(r3+R)-1/(r2+R)=1/(r2+R)-1/(r1+R)

両辺に(r1十R・(r2十R)・(r3十R)を掛けると
(r1十R)((r2十R)-(r1十R) (r3十R)=(r1十R)(r3十R)-(r2十R)(r3十R)
を得る。これを整理してRを計算すると

  R=r1×r2+r2×r3-2r1×r3÷r1+r3-2×r2   (式15)

が得られる。この式(15)の結果の式は実用上非常に大切な関係である。すなわち,間隔が等しい3温度点でのサーミスタの抵抗r1, r2, r3から,式(15)を満足する抵抗Rを計算し,図のように回路を構成すれば,そのときの温度と出力電圧の関係は最も直線性がよいものとなる。

サーミスタの標準化

サーミスタを応用する分野が広がって,数量的にも莫大な数になってくるにしたがって,サーミスタの特性に対する要求は当然のことながら次第に厳しくなってきた。

機器の製造業者の立場になって考えればすぐ理解できることであるが,温度を一定に保つ必要がある機器を組み立てる場合,一定の特性のサーミスタを安定に購入できるのであれば,サーミスタが接続される回路の側では,常に一定の回路に調整し仕上げすればよいから,サーミスタ1本ごとに,そのサーミスタの特性に合わせて精密な調整するなどのことは必要がない。

このために量産される製品では,工数の低減,製品の品質の確保と向上を目的として,サーミ
スタに対する要求を厳しくするのである。

工業計測の分野では,白金測温体や熱電対が以前から多く使われ,しかもセンサメーカーと測定・制御用の機器メーカーとは独立した別個の会社である場合が多い。またこれらの装置では精度に対する要求も厳しいので,日本工業規格(JIS)に規定されているとおり,計器側とセンサ側とは独立して規定されているのが実情である。以下にJISのいくつかの番号を紹介しておく。
JIS C 1601  指示熱電温度計
JIS C 1602  熱電対       JIS C 1605 シース熱電対
JIS C 1610  熱電対用補償導線
JIS C 1603  指示抵抗温度計   JIS C 1604 測温抵抗体
JIS C 1611  サーミスタ測温体

しかし,工業計器分野以外の家庭電気機器,空調,0A機器などの分野での温度センサへの要求がサーミスタを中心に広がるのに伴って,互換性の問題が取り上げられるようになった。

[互換]とは広辞苑によれば「互いにとりかえることまた,とりかえがきくこと」と説明されている。前にも述べたように,回路側とセンサ側がそれぞれ別々に製造され,ユーザーがそれらを別々に買い求めたときにも,十分にその性能を発揮し,よい精度の測定ができるためには,回路側,センサ側それぞれに互換性があることが求められる。

しかしながら,測温抵抗体や熱電対の場合と比較すると,何種類かの原料を調合し成型したのも焼結して作られた酸化物半導体であるサーミスタの場合には,要求する精度によっては,他のセンサの場合と違って互換性を得るのが困難なことが多い。そのために,サーミスタの場合にはいろいろの工夫がされており,一般につぎの3通りの互換方式が考えられている。 JIS C 1611の中の言葉を借りれば以下のとおりである。

a) 素子互換       (THE)
b) 合成抵抗式互換  (THR)
c) 比率式互換    (THP)

素子互換サーミスタ

素子互換サーミスタはサーミスタの抵抗RとBの許容偏差の幅を小さくとって,サーミスタ素子の各温度での抵抗値がほぼ規定値に近く,要求精度を満足できるようにしたものである。したがって広い温度幅の全範囲にわたって適合できる素子互換サーミスタを得ることは,Bのばらつきを極端に小さくとらなければならないので,非常にむずかしい。

ごく狭い温度範囲で使う場合や,特定の温度点でだけ使うような場合に適している。家庭電化機器などのように計測器ほどの精度を要求しないようなときには,抵抗値のランク分けによる納入などの手段と組み合わせることもあるが,非常によく使われる方法である。

合成抵抗式互換サーミスタ

ある特定の温度で,定められた抵抗値をもったサーミスタが求められているとき,たとえば50℃で7kΩ±0.01kΩというようなサーミスタが必要なとき,このようなサーミスタを素子互換方式で選別するとすれば,抵抗値は7kΩ±0.143%とサーミスタにとっては非常に厳しいものとなる。

このようなときに,もしサーミスタを-10%のところから7kΩちょうどまでの範囲で選別し,下図のように抵抗の不足分は直列に金属皮膜抵抗を接続して,その合計が7kΩに等しく合わせてもよいものとすれば,6.3kΩから7.0kΩまでの広い範囲のサーミスタを使うことができるようになる。

サーミスタの規定された温度での抵抗値をrkΩ,求められている合成抵抗値をXkΩとしたときに,固定抵抗RsにはRs=(X-r)kΩを使用する。このように,サーミスタと固定抵抗あるいは半固定抵抗との組み合わせによって必要な抵抗値を作り,サーミスタの選別範囲を広くして,メーカーからの供給を容易にし,ユーザーにとっては精度の高い互換性があるサーミスタの供給が受けられるようにしようというのが,合成抵抗式互換という方法である。

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合成抵抗式互換サーミスタ

比率式互換サーミスタ

比率式サーミスタ(THP)は下図のように構成された互換サーミスタである。すなわち, A, B, Cの3端子構造になっており, A-B間の合成抵抗XとAC間の対辺の抵抗Qとの比X/Qが温度によってそれぞれ定められた値となるよう調整されたものである。

いま, X/Qの値が温度範囲の最低温度でa,中央の温度でb,最高温度でcであるとすれば,それぞれの温度でのサーミスタの抵抗をr1,r2,r3としたとき,つぎの式が成り立つ。

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比率式互換サーミスタ

ここにP//rは抵抗Pとrが並列に接続されていることを示し,Pr/(P+r)のことである。

 自己加熱サーミスタ(ホットサーミスタ)

サーミスタの使い方の1つとして,サーミスタに大きい電流を流してジュール熱を発生させ,その温度を高めて使う(自己加熱という)使い方がある。初期には下図のようにサーミスタのビートをガラスで絶縁した上に細いヒータ線を巻き付けて,ピークに通電してサーミスタの温度を上げる傍熱サーミスタが使われていたが,現在ではサーミスタに直接大きい電流を流す直熱サーミスタがほとんどである。

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傍熱サーミスタの原理

サーミスタが自己加熱して,その温度が雰囲気温度(ambient temperature, atmospheric temperature)より高くなっているとき,周囲の気体が移動すればそれによって熱を奪われて冷却するので風速センサとなり,周囲が液体であれば流速計となる。

また,周囲の気体の熱伝導率が変化すればサーミスタの温度が変化することを利用して,ガス分析計,メタンガス計,ガスクロマトグラフ装置のセンサ,あるいは湿度センサとして使われる。また,サーミスタの周囲の媒体の熱伝導率や比熱によって,熱の放散が変化し,サーミスタが安定する温度に変化があることを利用して液面センサとして利用することができる。

一般に自己加熱させた状態でサーミスタを使用するときには,図下に示したようなI-V特性のカーブの山を越えた右側の,いわゆる負性抵抗領域で使う場合がほとんどである。

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サーミスタ負性抵抗領域

 直熱サーミスタを使った風速計

傍熱サーミスタは形状が大きく,応答が遅いので,風の微妙な変化には追従できない。また,傍熱サーミスタの生産にはガラス細工の職人的技術が必要で,大量生産を必要とする現代の要求に合わない、一方,従来から多く使われている熱線風速計のセンサには感度はよいが機械的強度がなく,また指向性があるという重大な欠点がある。

また,一般に使われている回転部分の回転数から風速を読みとるプロペラ式や杯形の風速計では,回転軸の摩擦のためピラム微風計の場合でも1 m/s 以下,その他のものでは2 m/s 以下では使用できないという重大な欠点がある。

圧力を利用して風速を計測するピトー管のようなものでは,低風速のときには特に感度が低く微風速の測定には向いていない。それに対して熱を使った風速の測定では微風のときに特に感度がよいという特長をもっている。

では熱線風速計のセンサについて説明します。下図は熱線風速計のセンサーの構造で,2本の細い電極の柱の先端に数マイタロメータの太さの白金線か,タングステン線を張ったものである。いま,その長さがLであるとき,下図ように,熱線に対して直角の方向から風が吹く場合には,熱線の長さLに等しい幅の風が冷却に有効に作用する。(B)のように熱線の法線に対してθの方向から風が吹く場合にはL’=L×cosθの幅1の風だけが冷却に作用することになる。

このように風の方向のcos θに比例した指向特性をもつため,風の方向が安定しないようなときには,熱線風速計で正しく風速を計測することはできない。そのために,応答が比較的に速くほとんど無指向の特性をもった直熱サーミスタを使った風速計に対する要求が強くなっている。特に建物の風への影響(ビル風の影響)を大型の風洞と市街地の模型を使ってシミュレーション実験で調査するようなときには,風の方向が定まらないので,サーミスタ風速計を使う場合が多く, 1/1000程度に縮尺された模型を使うため,風感部のサーミスタの寸法も,直径1mm以下の小さなものが要求される。

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直熱サーミスタ風速計の原理

直熱サーミスタを使った風速計は定温度方式で構成される場合が多いのでその動作原理を説明します、下図にその基本的構成を説明するための回路を示した。

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定温度方式によるサーミスタ風速計の原理

いま,サーミスタの動作温度を150℃にとったと仮定しよう。ブリッジ回路の, R1, R2, R3,R4の関係は,サーミスタの温度が150℃になったときの抵抗値がR4であるとする。はじめにTr(トランジスタ)を通して電流が供給され,サーミスタが自己加熱し, 150 ℃で回路が安定するように調整されていると考える。

サーミスタに風が当たって冷やされ,R4の抵抗が高くなるとトランジスタTrを介してブリッジ回路に流れる電流が増え,サーミスタR4はすぐに150℃に戻って安定するようになる。そのとき,まだ同じ風速の風がサーミスタに当たり続けていると考えると,サーミスタに流れる電流が大きくなった分だけ出力電圧V1が高くなっているので,この電圧V1は風速の影響を受けていることになる。ところがR4の値は風温によっても変化する(風温か下がるとR4の値は高くなる)ので電流が変化し,R4の値をもとの150℃での抵抗値に戻そうとする。そのため出力V1には温度の信号も含まれていることとなり

V1 =f(v, ta) 

のように,その出力電圧は風速v(m/s),風温ta(℃)の関数と考えられる。この回路を風速の検知に使うためには,この出力からの風温の影響を取り除く温度補償回路を付加する必要がある。

直熱定温度方式のサーミスタ風速計はセンサの形状が小さくできるので次のような特徴がある。

a)センサが小型なので応答が速い。
センサだけの応答について見ると,風速は50 Hz で振動している場合でも変動していることが判断できる程度のものを製作できる。

b)無指向性のセンサができる。
サーミスタセソサの軸の方向に対してサーミス夕を含む垂直な平面の全方向に対して,ほとんど感度が等しく無指向性のものができる

白金線などを使った熱線風速計のセンサには指向性があるのに対して,サーミスタ風速計の大きい特長である。

c)低風速の領域で風速に対する出力感度がよい。

これらの特長をもったサーミスタ風速計は,ビル風の風洞実験には欠かせないものであるだけでなく,微風速の検知が必要なクリーンルームやクリーンベンチでの風速の測定や, HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)の目詰まりの検知などに非常に有効である。

エアフローセンサ、メーター

エンジンへ送る空気の量を測定するセンサです。

エンジンには吸入空気量に見合った燃料を供給する必要があり、またこの要求する燃料の量はエンジンの運転状態によって異なります。このため、吸入空気量検出装置により、このときのエンジン運転状態に見合った空燃比になるように吸入空気量を検出しています。この吸入空気量を検出する部品が「エアフローセンサ」です。

ついている場所はエンジンの吸気管であり、ボンネットを開けると、エンジンの吸気管に導線が何本か付いたコネクタが見えます。その部分がエアフローセンサです。

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熱線式エアーフローセンサー、メーター

最近のサーミスタ風速計は定温度方式で作られいますがそれほど安い価格のものではないので,回路をHIC (Hybrid Integrated Circuit)化したモジュール(module)とサーミスタを組み合わせ簡単に風速の検知ができるようにしたのがエアフローセンサーユニットです。

その風速検知部分の基本構成は下図で囲まれた部分が風速検知用サーミスタと温度補償用サーミスタです。この回路は直流12ボルトの電源につなげば動作します。電源の安定度を含めた電
圧は12±0.5 Vです。

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エアーフローセンサーの風速検知部分

このエアフローセソサユニットでは,サーミスタの温度が150℃に設計されているので,可燃ガスの雰囲気では使用しないよう注意が必要です。

サーミスタ湿度センサ

サーミスタ湿度センサは水蒸気という気体の濃度を測定するガス濃度計のひとつです。特性がよく揃った2個のサーミスタを用いて、気体の熱伝導率の相違を利用したセンサです。

そこでまず、ガス濃度計について説明します。
加熱された物体を気体中におくと,その熱は気体への熱の伝達,気体中の伝導,対流および輻射によって次第に周辺に放散され,物体の温度が低下する。その温度の低下は,物体とそれを取り巻く周辺の気体や構造物の物理的性質,なかでも特に気体の熱伝導率に依存する。

物質中を移動する熱エネルギーは物質の熱伝導率と温度差に比例して変化する。気体はそれぞれ種類によって異なる熱伝導率をもっている。代表的な気体の熱伝導率を下表に示す。

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表1 気体の熱伝導率

2種類の気体が混合した場合の混合気体の熱伝導率は,気体の混合比率,すなわちその濃度によって式(16)のようになる。

λc=λa×pa十λb×pb                   (式16)
ここに
λc:混合気体の熱伝導率
λa:気体Aの熱伝導率
λb:気体Bの熱伝導率
pa:気体Aの分圧
pb:気体Bの分圧

したがって,気体Aと気体Bが混合している場合,2種類の気体の熱伝導率が異なっていれば,それぞれの濃度で決まる熱伝導率にしたがってセンサが冷却されることになる。この関係を利用してガス濃度計を構成できる。

直熱式サーミスタを使った気体検出回路の例を下図にしめす。

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直熱式 気体検知回路

本題のサーミスタ湿度センサに戻りますが湿り空気を乾燥空気と水蒸気の二成分気体と考えると,表1にあるように空気と水蒸気はその熱伝導率に差がある。その混合気体の熱伝導率が式16に従うものと考えれば,湿り空気の熱伝導率を測定することによって水蒸気の量を知ることができます、 このような考えに基づいて研究したサーミスタ絶対湿度センサの回路が下図です。

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サーミスタ湿度センサー回路

熱伝導を利用して湿度を検知したいというアイデアは1930年頃からあって,白金測温体を使っ色々研究した人があったようだが,センサをどのように作ればよいのか,当時の技術では解決できず,製品として完成させることができなかった。この方法による湿度センサを製品化し,世に送り出しだのは芝浦電子が世界で始めてです。

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サーミスタ湿度センサー

サーミスタ湿度センサの特長

a)相対湿度ではなく,水蒸気量(圧)に対応した湿度の信号が得られる。
b)高い雰囲気温度でも劣化することなく使用できる。
c)油煙,たばこの煙などの汚れた雰囲気での長期使用に耐える。
d)センサの寿命が長い。

サーミスタ湿度センサの用途

絶対湿度や混合比を求める計測器,あるいは制御機器のセンサとして使用するのは当然であるが,このセンサが非常に多く使われている。
a)電子レンジへの応用ーレンジ内の湿度測定

b)  工場内乾燥工程の湿度管理用

c)炭酸ガスインキュベータの湿度制御用

サーミスタの使用上の注意事項

サーミスタが使われるのは多くの場合温度の計測と制御が目的である。この目的を十分に果たさせるには,常に目的を明確に意識して対応しなければならない。今まで述べた立場と観点を変えて,以下では主としてサーミスタを使う立場からみた使用上の注意事項について説明する。

保護管、リード線の熱伝導による誤差に注意

温度の正しいデー夕を求め,科学の研究に用いたり,プロセスでの状態を正確に把捉し,改善か検討するような場合の精度の計測では,できるだけ精度高く,その温度の絶対測定をする必要がある,一方,作業の現場では,ある場所では温度の絶対値が必要なことがあり,また,別のある場所では絶対値よりむしろ変化をみるために相対値がわかればその程度でよいということもある。 したがって一概にこうでなければいけないと決め付ける訳にはゆかないことに留意して,以下のことを見てもらいたい。

挿入長の観点から

保護管使用の有無にかかわらず,温度センサを使用するときには,被測温物体の温度と雰囲気の温度の差,被測温物体の比熱,被測温物が気体や液体である場合には静止しているのか、あるいは流れているのか,流れているとすれば流速がどの程度かなどなど,多くの情報が欲しい。

それほどにこの問題は多くの外的条件に影響される。それに加えて保護管を使用するとその材質,構造,寸法が問題となる。それらによって温度センサを被測温物の中にどの程度挿入
べきかが決まるからである。

サーミスタ温度センサの場合によく使われるステンレススチールは,熱伝導率が低いが,そのステンレススチールの保護管を使った場合でも,水槽中で水温を測定するとき,保護管外径の20~25倍の深さまで挿入しないと正確な測定ができないといわれている。

この場合,リード線として使われている銅線やジュメット(dumet)線を通しての熱伝導があるので,保護管の材質だけで判断はできないが,熱伝導率がよい材質の保護管の場合にはさらに長い挿入長が必要になるだろう。熱伝導の影響の程度は断面積に支配されるから管の肉厚が厚いときには深く挿入しなければならない。

以上のような点を考慮すると,大きなニップルが付いた長さが短い保護管の中にサーミスタを組み込んだようなものでは,温度の正しい測定ができないことは明らかであり,温度の相対的変化をとらえるような用途に限ってしか使うことができない。

表面温度測定時の熱伝導による誤差を小さくする観点から

表面に固定して表面温度を検知するサーミスタ温度センサ(芝浦電子のF型サーミスタのような)で表面温度を測定あるいは制御しようとしうとき,たとえば,物体の温度が高いときには,使われているリード線の心線の材質が銅だから,熱伝導がよく,サーミスタの部分で集めた熱は銅線を伝って周辺の低温部に向かって逃げてゆき,サーミスタの部分の温度が低くなる傾向がある。

1)の場合はサーミスタの挿入長を長くして熱伝導による誤差を小さくしたが,2)の表面温度測定において熱伝導による誤差を小さくするには,いつでもそのようにできるとは限らない。 リード線をできるだけ測温場所の温度に近い温度のところに長くはわせて取り付け,リード線とサーミスタの間に温度差がないようにして,サーミスタが正しい温度を検知できるようにするとよい。

サーミスタを低い温度で使うとき

 リード線の硬さという観点から

被測温(制御)対象の温度が低温であるときには,リード線も低温になる部分があると考えられるので,リード線には耐寒コード(耐寒PVCコードやブチルゴムコードなど)を使用すべきである。また,低温ではリード線が硬くなっているので,振動を与えたり,動かしたりしないように取り扱いに注意する。

呼吸作用の影響という観点から

サーミスタが組み込まれている部分が,高温(室温程度)と低温との間で大きな温度変化を繰り返しながら長い時間使われると,保護管内部の空隙,リード線の撚り線の隙間の空間が膨張・収縮を繰り返しながら外部の湿った空気を少しずつ吸い込み,低温になったときには結露するということを繰り返すため,次第に内部に水分を取り込んでゆく。

このようにしてサーミスタの周辺が濡れてゆく結果,サーミスタのリード線間および(あるいは)リード線と保護管との間に絶縁不良を生じる。

このように,呼吸作用は
サーミスタにとっては大敵であり,避けなければならないので,このようなときには次のような点に配慮すべきである。

① リード線には単芯のものを使用し,撚り線の使用は避ける。撚り線を使うと線の間のわずかな隙間を通って呼吸作用が行われる。
② 組み立てに使用する材料を検討し,お互いの密着性がよく,温度変化を繰り返しても隙間を生じないものを選ぶ。
③ 保護管内部などに空隙を残さないよう完全に充填する。
④ できれば交流電源で使用する。

熱起電力の観点から

熱起電力は異種金属を接触させ,両者の間に温度傾斜があるときに発生する起電力で,ゼーベック効果と呼ばれている。センサとして組み立てるとき,接続される双方の線が同質のものであれば問題ないが,材質の異なる線と線をつなぐときには,つなぎ方に注意する必要がある。下表は銅線と他の金属の線をお互いに100°の温度差を与えて接続したときの熱起電力である。熱起電力の観点から,サーミスタの加工に際しては以下のような注意が必要である。

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各種金属の起電力

a)サーミスタ素子のリード線と外部のケ-ブルを接続するとき,それぞれの接合点の温度に差を生じないように注意する。外部のケ-ブルを接続したのも保護管に挿入する場合には,保護管の長さ方向に対して温度勾配を生ずることが多いので特に注意が必要である。

b)ジュメット線(dumet wire)はガラス中を貫通してリード線を引き出すのに使用するため鉛ガラスに熱膨張率を合わせて,アメリカのGE社で開発された線である。芯には鉄とニッケルの合金が使われ、そのためにジュメット線は磁石に付く,その上に銅を被せ,その表面にガラスとの封着性をあげるためほう砂を焼き付けてある。

以上のようなジュメット線を接続するとき,ジュメット線表面の銅の部分を残して(鉄一ニッケルの線がむき出しにならないよう注意して)接続するのが無難である。使用目的によってステンレス線その他の,銅以外の線を接続するとき,2本のリード線の接続点の間に温度差が生じないよう注意する。

c)サーミスタのセンサ部以外の場所,たとえば端子部分のような接続部などについても,その場所の温度が高く,場所によって温度差が大きいときには特に注意が必要である。 2本のリード線のおのおのは同じ材質とし, 端子の材質も2個が同質であるべきである。

サーミスタが温度センサとして使われるとき,ブリッジ回路やその他の回路が使われるにしろ,最終的にはサーミスタの端子電圧が温度の信号として使われる。 したがって,センサ部の2本のリード線間に熱起電力差があると温度の信号にその分の誤差が含まれることになり,測定の誤差となるため,熱起電力に対する注意が必要となる。

耐食性,防食の観点から

金属の腐食問題はすべて電気化学の問題であり,この立場から考えなければならない。金属の腐食には気相の酸素が関与して高温で進行する乾食と,室温付近で酸素と水の存在下で進行する湿食とに大別される。

両反応とも相の境界を荷電粒子が移行する電気化学反応であるが,乾食の場合には反応生成物が表面皮膜として蓄積する場合が多い。 これに対して湿食の場合には反応生成物がそのまま残る皮膜蓄積型に加えて,反応生成物が溶媒和イオンとして表面から失われるという特徴がある。自然環境下ではこれらの多様な組み合わせとして腐食が生ずる。

一般に金属はその種類によって水溶液中で陽イオン(十イオン)になるなり易さに違いがあり,その傾向はイオン化傾向と呼ばれる。イオン化傾向の大きい順に左から右に並べたものをイオン化列といい表のようになる。

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イオン化列表

いま,2種の金属を問題にしたとき,イオン化列の左にある方を卑,右にある方を貴な金属という。表のイオン化列で左にある金属ほど電子を遊離する傾向,すなわちイオン化傾向が強く,列の右の方にある金属ほどイオン化傾向か弱い。列の右側にある金属が溶けている水溶液に,列の左の方にある金属を浸すと,右側の金属のイオンが電荷を失って金属として析出し,左の方の金属がイオンとなって溶け出す。

金属ではない水素(H)のイオンであるH+を含む水溶液,すなわち酸の中に金属を浸すと,表の金属のイオン化列で(H)より左にある金属では水素を析出し,金属が溶けてイオンになる。すなわち腐食が起こる。(H)より右側の金属ではこのような現象は起きない。たとえば鉄が塩酸に溶ける反応は
Fe+2 HCI→FeCh十H2
である。

もう1つ,腐食と関係が深いのが溶存酸素(水の中に溶けている酸素)である。十分に空気にさらされた水の中には1気圧の空気が飽和して,酸素濃度が8~10ppmとなっている(魚がえらで呼吸しているのはこの酸素である)。酸素はマイナスの極でつぎのように反応して鉄が錆びて酸化鉄となる。

腐食を考えるとき,もう1つ見落とせないのが異種金属接触腐食である。金属は湿性の環境
中である電位を示す。この電位は同じ環境中では金属の種類によって異なった値を示す。このことから,いま,たとえばA, B 2種類の金属を接触させて3%の食塩水につけたとすると,一方の金属の電位が他方の金属の電位より高くなるという現象が生じる。

このため,下図に示すように金属A,Bと食塩水とで一種の電池が構成され,金属中ではA→Bの方向に電流が流れ,Bからは食塩水中をイオン電流としてAの方に流れる。

このように電流の閉路が構成される結果,電流が流れ出る側の金属Bが腐食する、このようになったとき,金属Aの方を貴,Bの方を卑であるという。

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異種金属接触腐食

サーミスタは水に関係する場所で使われることが多いまた,取り付けられる場所の金属と保護管の材料の金属との種類が違うこともしばしば起きる可能性があり,腐食をさけるために特に注意すべき事柄である。

 応答性の観点から

応答については「サーミスタの熱時定数」のところで説明したがサーミスタだけを他のものから熱的な影響を受けないようにして測定した値であることが多く,実際の使用状態では他の要因から相当異なる値を示す場合が多い。保護管からのサーミスタの浮きが抵抗の測定値や応答に影響を与えることについては前に触れたが,正しく組み立てられたサーミスタの場合でもa)取り付けられた状態,すなわち,取り付けられた場所が非常に熱容量が大きいところで,しかも絶えずその温度が変化しているようなときにはサーミスタのフランジある卜はニップルの温度がその影響で絶えず変化し,保護管が短かければサーミスタが検知する温度に影響するから,測温対象の温度が余り変化しないときに乱サーミスタが検知する温度は絶えず変化する。

b)測定する対象の熱伝導率,熱容量,流れの状態などによって応答はさまざまに変化する。熱伝導率が大きいものでは応答が速くなる傾向があり、熱容量が大きい対象の測定では相手の熱的変化が遅いのでサーミスタの温度もゆっくり変化しているように見える。応答は対象物の状態で変化する。

c)応答性が悪い温度センサを変化が激しい制御対象に使用すると,センサが現在温度を正しく検知しないので,制御結果は非常に悪い状態となる。

d)応答性という観点から温度センサを考えるとき,対象をできるだけ一定温度に保持するためには,センサが制御対象の変化に直ちに応答して現在温度を正しく判断する必要があるから,できるだけセンサの応答がよいものを使用するべきである。

e)測定対象の温度がある割合で連続して変化し続けている場合には,センサーが検知する温度はセンサの時定数τの遅れで追従する。

サーミスタの保護管の防食のための対策

「耐食性,防食の観点から」で,腐食の原因について簡単ではあるが若干の説明を行った。ここではさらに防食のためにどのような対策があるかについて述べる。

腐食しにくくするためにはいろいろの方法が考えられるけれどもどの方法も完全なものとばいえないようである。

第1に考えられる方法は,金属の表面を被覆して環境物質を金属から遮断する方法である。塗料を塗る,あるいはめっきをするなどがこれに当たる。

第2の方法は環境で腐食しにくい耐食性の優れた金属材料を選ぶことである。このようなものは一般に高価であり,最もすぐれているのは金である。

第3の方法として考えられるのは,環境処理である。化学薬品などを環境に加えて腐食を抑制するもので,このような化学薬品を防食剤という。

第4の方法は,人為的に外部から電流を流して腐食を防止する方法である。
水が存在するときに起こる湿食の多くは電池作用によるものである。その外部電流を十分に大きくして腐食電流に打ち勝ち,全体として電流が流れ込んでいる状態にしておけば腐食は停止する。これを陰極防食法またはカソード防食法という。逆に金属から人為的に電流を環境に流出させて不動態化を図るアノード防食法もあるが,カソード防食の方が一般的である。

第5は水中で異種金属をお互いに接触させず分離することである、異種金属が接触していると電池作用を起こすから,金属Aと金属Bを絶縁材を介して分離し,A→Bのように流れる電流を遮断する、しかし,長期的には絶縁材の部分に次第にいろいろのものが沈着して絶縁が悪くなり,少しずつ電流が流れるようになる可能性がある。このように金属間を分離しても金属が液中にあるかぎり,腐食が起こる可能性が残るので,第1,第2などの方法を用いればより効果がある。

以上のほか,腐食の形態には孔食や粒界腐食などなど多くの問題があり,保護管の表面に傷をつけないこと,溶接時高温になった保護管の冷却速度に配慮するなどの注意が必要である。

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