食品工場 消毒、殺菌マニュアル~消毒、殺菌技術~

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消毒、殺菌の基本

消毒とは?

消毒とは、物理的あるいは化学的な方法で対象物に存在している有害な細菌やウイルスを「死滅」させて感染を予防することです。

「殺菌」や「滅菌」とは少し意味が違いますが、一般的には同様に使われています。 
洗浄の目的:食品や調理器具、食器等に付着している有害な細菌やウイルスを死滅させることを目的に行います。

消毒の方法:消毒するものの材質や形状に合わせて方法を選びます。
   1)薬剤を使う方法
   2)による方法(煮沸消毒)
   3)紫外線による方法

消毒の注意ポイント:
次亜塩素酸ナトリウムは金属部分を腐食させるので、消毒後(10分位経過後)は水ぶきをし、最後に乾いた布でふき取り乾燥させます。
 有機物の汚れ(食品残さ、油汚れなど)があると効果が著しく低下しますので必ず洗浄し、汚れを十分に落とした後に決められた方法で使用します。

殺菌、消毒、減菌の違い

「殺菌」「消毒」「滅菌」という言葉があります。私たちの生活の中でも、「殺菌」「消毒」という言葉はよく使われており、多くの人は、「殺菌」「消毒」を同じ意味合いで用いているのではないでしょうか。

 医薬品でも、殺菌消毒剤というものがありますが、「殺菌」と「消毒」は少しニュアンスが異なります。

 殺菌は読んで字のごとく、「菌を殺す」ことを意味します。正確には、「菌を殺す行為」のことを「殺菌」と言います。そのため極端に言えば、地球上に存在するあらゆる菌の中の1種類の菌を1個殺すだけでも、「殺菌した」ということになります。

消毒は「毒を消す」こと、つまり広義にはヒトに有害な物質を除去または無害化することを指します。

一般的には、ヒトに有害な病気の原因となる微生物を殺菌するか、あるいは有害な微生物の能力を低下させ、病原をなくすことを言います。

滅菌は、「菌を死滅させる」ことです。ヒトに有害か無害かがは関係なく、対象物に存在しているすべての微生物を殺滅あるいは除去することを意味します。

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消毒、殺菌、滅菌

滅菌 すべての細菌やウイルスを死滅させ除去する 除去対象になりえるのは器具のみ
殺菌 細菌やウイルスを殺すが、その対象や程度には言及していない この用語は「医薬品」「医薬部外品」に使える。
「雑貨品(洗剤、漂白剤)」には使えない
消毒 病原性微生物を害のない程度まで減らしたり、
あるいは感染力を失わせるなどして、毒性を無力化させる
生体、器具、住居等の環境など除去対象は広い

「除菌」「抗菌」「静菌」の違い

除菌」は学術的には、フィルターなどで「菌を除く」ことを意味します。しかし一般的には、対象物から菌を取り除く意味で「除菌」という言葉が用いられます。

したがって、洗剤で対象物に付着した菌を取り除くことができれば「除菌」であり、もちろん「殺菌」することも「除菌」に含まれます。

 「除菌」の表記に関しては薬事法による規制がないため、実際に殺菌・消毒効果があるにもかかわらず、医薬品や医薬部外品として認められていない製剤では、「除菌」という言葉がよく用いられます。

 また、台所用洗剤や洗濯用洗剤でも、除菌効果を訴求した製品が増えてきています。そのため除菌効果に関する基準のルール化か検討されており、実際に、台所用洗剤のスポンジ除菌および住宅用洗剤の除菌についてはルール化されています。

おすすめ 除菌 商品

洗剤(台所用、洗濯用、業務用)
除菌スプレー
清拭用クロス

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抗菌」とは菌を殺す、あるいは菌が増えるのを阻止するといった意味です。「抗菌」も「除菌」と同様に幅広く用いられています。たとえば便座、冷蔵庫、肌着やキッチン用品など身の回りのあらゆるものが抗菌加工され、「抗菌」という表記がされています。

 抗菌仕様製品に関しては日本工業規格(JIS規格)で評価方法や基準が定められており、とくにプラスチック製品などに対する評価方法については、近年、このJIS規格が国際標準規格(ISO)としても承認されています。

 「静菌」は、菌をそれ以上増えないように静かに眠らせておくといったイメージです。食材を冷蔵庫で保管するのはまさに「静菌」です。一般的な細菌は、人の体温くらいでもっとも活発かつ大量に増えます。そこで低温にすることで菌が増えるのを抑えて、食品の長期的な保存を可能にします。「静菌」という言葉はあまり聴きなれませんが、日常的に静菌作用は利用されています。

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  • まな板、トイレ便座
  • シャツ
  • 洗剤(台所用、洗濯用、業務用)
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洗浄、殺菌方法のポイント

洗浄・殺菌方法を決める場合には、まず「どんな汚れ(あるいは菌)がついているのか?」そして「どんなものを洗うのか?」を見きわめることが重要です。

 その上で洗浄・殺菌に用いる薬剤と洗浄・殺菌方法を決めます。たとえば食器に残った食品残渣を除去するためには[界面活性剤が配合された中性洗剤]が用いられ
ますが換気扇などに蓄積した頑固な油汚れの除去にはアルカリ洗剤などが用いられます。
洗う方法では、対象物が食器や小さな物品であれば手でこすり洗いを行なうし、「浸液洗浄」を行なう場合もあります。大きな機械を洗う場合には「発泡洗浄」を行なったり、タンクや配管などの洗浄・殺菌には洗剤を自動的に循環させる「定置洗浄(CIP)」という方法もあります。

 さらに洗浄対象物の材質によっては、洗浄・殺菌剤が悪影響を及ぼすこともあり、洗浄・殺菌剤を選定する際には考慮する必要があります。このように「汚れ」「洗浄対象物」と「洗浄・殺菌剤」[洗浄・殺菌方法]の選定は密接に関わっています。

洗浄、殺菌作業のマニュアル化

大きな施設における洗浄・殺菌方法の選定には、「作業を安全に行なうことができるのか?と「使用する洗剤は環境に悪影響を及ぼさないか?」「コストに見合っているか?」などの要因も大切で、これらを考慮した上で最終的に決定します。同じ施設であっても汚れの種類や洗浄対象物が異なれば洗浄・殺菌剤や方法を使い分けることも重要です。

 食品の製造施設では、洗浄・殺菌が不十分であれば食中毒のような問題を引き起こしてしまう可能性があります。そこで、洗浄・殺菌方法の検証を、拭き取り検査やATP測定法などで行なうことが大切です。

 また、このような施設では多くの人が働いており、たった一人が誤りを犯すだけで問題が起こる怖れがあります。全員が同じレベルで作業に従事できるようマニュアルを作成し、運用していくことが非常に大切です。

殺菌、消毒の特性要因図

被洗物と洗浄剤、洗浄機器、殺菌、洗浄条件などの要素によって殺菌の除去率、環境影響や経済性などが決定されます。

殺菌、消毒で問題が発生した時は下記の特性要因図を作成して要因の絞り込みを行います。

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殺菌の特性要因図

消毒、殺菌のメカニズム(殺菌作用)

物質や空間の殺菌処理には、抗菌剤、電磁波、熱、圧力など、多くの方法があり殺菌方法の数だけ殺菌メカニズムが存在します、その殺菌メカニズムは非常に複雑であり複数のメカニズムが相乗的に作用し合って強い効果を発揮しています。

 殺菌の方法としては熱を利用する熱殺菌、熱を利用しない冷殺菌および物理的殺菌に分けることができます。この中で熱殺菌は、字のごとく加熱により殺菌する方法であり、超高温殺菌、高温殺菌および低温殺菌に分けることができます。

冷殺菌は、化学的殺菌(殺菌剤を利用する)と物理的殺菌(高圧力、電磁波、プラズマ、電子線などを利用する)があります。増殖抑制は、化学的抑制、物理的抑制および物理化学的抑制があります。

さらに、増殖とは、有益な微生物を積極的に増殖させて他の有害微生物の増殖を抑制する方法です。除菌は、化学的除菌と物理的除菌があります。遮断は、微生物を殺滅した製品への再汚染を防ぐ方法です。

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殺菌、消毒の方法

加熱殺菌

加熱殺菌は適用する温度によって超高温殺菌(殺菌温度:135~140℃、殺菌時間:5秒程度)とも呼ばれ細菌芽胞を含むすべての微生物を殺滅する方法である。
別称UHT、瞬間殺菌と称される。

加熱殺菌の温度:

熱殺菌は主としてLL牛乳などの液体食品の滅菌に利用されています。高温殺菌(殺菌温度:121°C、殺菌時間:5~30分)も細菌芽胞を含む、全ての微生物を殺滅する方法です。

 主として、固形物を含むレトルト食品(カレー、シチュー、お総菜、宇宙食など)の製造に利用されています。低温殺菌(殺菌温度:63~65℃、殺菌時間:30分)は栄養細胞のみ殺滅する方法であり、牛乳や酒類の殺菌に利用されています。

 微生物の種類(細菌、かび、細菌芽胞、栄養細胞、分生子および子嚢胞子など)および生育環境履歴(温度、栄養など)により、耐熱性が著しく異なるので付加温度と加熱時間の設定が非常に重要です。

栄養細胞や菌糸は、非常に耐熱性が低く、加熱殺菌しやすいのですが、細菌芽胞や子嚢胞子などは耐熱性が高く、非常に殺菌しにくいのです。このように菌種や形態によって耐熱性が非常に異なります。

加熱殺菌のメカニズム:細菌の加熱死滅

菌懸濁液を加熱すると、どのように死滅するのかについて、モデルを用いて説明します。細菌懸濁液を一定温度で加熱すると、生残菌数の対数と加熱時間は、次の図のように直線性を示します。

言い換えると、微生物を一足温度で加熱すると、加熱した時間に対して対数的に死に至ります。この温度で加熱した場合、生菌数を1/10に減少させるのに必要な加熱時間(通常は分で表示する)をD値(Decimalreduction value)といい、その細菌の耐熱性指標として利用されています。

 同じ温度で加熱殺菌する場合には、初発菌数が異なっても直線(1)と(2)のように平行移動するのみでD値は変化しません。しかし、初発菌数が同じでも、殺菌温度が変わると(2)と(3)のようにグラフの傾きが変化し、D値が異なってきます。

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加熱死滅直線

食品の加熱殺菌時間

通常はこのD値を測定し、食品の加熱殺菌時間を決めています。通常は、安全を見てD値の5倍の加熱時間処理をしています。例えば、ある液体食品中にD値が3分の微生物が104個/ml存在すると仮定すると、5倍の加熱時間の15分加熱する場合1/105に生菌数が減少することになります。元の生菌数が104個/mlであった食品中には菌がすべて死滅したことになります。

 しかし、食品中には、1種類の微生物のみが生存(存在)しているのではなく、異
なったD値を持つ多種の微生物(耐熱性の細菌芽胞、真菌の子嚢胞子厚膜胞子など)が存在しているので、殺菌処理の対策は複雑となります。
 すなわち、加熱温度を高くした場合や加熱時間を長くした場合には、食品の風味や栄養成分が分解することがしばしば見られます。そこで通常は、存在する耐熱性の最も高い微生物を基準として、最適な加熱時間や温度を設定しています。

冷殺菌

冷殺菌は、主として化学的殺菌(殺菌剤:液体、固体、気体および固定化殺菌剤など)と物理的殺菌(高圧力殺菌、電磁波殺菌およびプラズマ殺菌など)があります。
 抗菌剤および殺菌剤には、液体(アルコール系、水溶性殺菌剤など)、気体(オゾン、二酸化塩素ガス、エチレンオキサイドなど)、固体(二酸化チタン、無機銀系抗菌剤、銀担持リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀担持アクリル繊維)、ハイブレッド系抗菌剤および固定化殺菌剤などがあります。

薬剤殺菌のメカニズム

 抗菌剤および殺菌剤には、それぞれ薬剤の化学構造(立体構造を含む)に基づく特徴的な微生物に対する抗菌作用メカニズムを持っています。
①微生物の表面に薬剤が吸着することによる細胞膜の様々な機能(細胞の内外の区別、細胞内原形質の維持、細胞膜内部に酵素の保持、チャンネルの保持など)に対する阻害作用

②薬剤が細胞表層(細胞壁と細胞膜)を破壊して孔を開ける作用(細胞壁破壊、細胞膜破壊作用など)
③薬剤が細胞表層を破壊して開けた孔から細胞内物質(原形質、マグネシウム、カリウム、タンパク質、ATP、RNAなど)の漏洩作用 
④細胞表層破壊により生じた孔から薬剤が細胞内へ侵入することによる細胞内の夕ンパク質を直接変性および細胞内酵素の阻害作用
⑤細胞膜に保持されていた呼吸酵素群の不安定化による呼吸阻害作用
⑥遺伝子(DNAおよびRNA)の生合成阻害(遺伝子合成酵素阻害、転写酵素阻害など)
⑦タンパク質の生合成系の阻害(タンパク質合成酵素群の阻害、m-RNA合成阻害、
 リボソームの機能阻害、t一RNAの機能阻害など)
⑧細胞壁の合成阻害(細胞壁合成酵素阻害、架橋阻害)

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殺菌剤による微生物損傷

物理的殺菌

物理的殺菌には静的な高圧力を用いた高圧力殺菌と電磁波殺菌があります。

高圧力殺菌とは

高圧力をつくり出す技術開発(高圧力耐性容器の材料やポンプシステム)の発展に伴い1914年にBridgmanにより卵白に高圧力をかけると変性(凝固)することが世界で最初に報告されました。

 その後1987年に数子気圧(数百MPa)もの高圧力を用いた食品殺菌の技術がわが国において京都大学の林らの研究により誕生しました。最初はジャムの殺菌に使用され、風味が損なわれない殺方法として知られるようになりました。

 また、高圧力殺菌は加熱殺菌と異なり、小分子であるビタミンなどの栄養成分が高圧力ではほとんど分解されにくいので長期間にわたって搾り立ての味が楽しめるフレッシュジュースの供給が可能となりました。
 

日本では、最初に和歌山県において温州ミカンジュースの殺菌に使用されたのが
高圧力殺菌の工業化の最初といわれています。その後は、かなり多種のジュース類へも圧力殺菌が広まってきました。

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高圧力殺菌

電磁波殺菌とは

強い電磁波を照射し細菌やウイルスなどの遺伝子を破壊して死滅させる方法。 電子レンジ(マイクロ波)も電磁波の応用で微生物組織を直接的に破壊しませんが、食品中の水および微生物細胞内の水を均一に短時間で加熱し、殺菌することが可能です。

電磁波は周波数によって、性質が大きく異なります。暖房器具が発する赤外線は暖かく感じます。可視光線はヒトや動物が認識できる電磁波です。紫外線には殺菌作用や日焼けを起こす作用がありますし、X線は物を透過する性質があり殺菌作用があります


自然界における電磁波の発生源としてよく知られているのは太陽です。
 ラジオ波は中波と呼ばれる領域(300-3MHZ)であり、これよりも周波数が高いFM波(30-300MHz)などがよく知られています。

殺菌に利用できる電磁波は、紫外線、γ線、×線のみです。

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電磁波の波長と殺菌に利用できる波長域

マイクロ波殺菌とは

 マイクロ波が殺菌に利用され始めたのは、約40年ほど前であり、家庭用電子レンが普及し始めた頃です。マイクロ波を発生させるマグネトロンが、当時は非常に 高価であり、普及には時間を要しました。

 その後、値段の低下に伴って食品殺菌に使用され始めましたが、電波を食品に均等に照射できるように様々な工夫(食品を回転させるターンテーブルと電波を自動 的に回転する金属製反射板を用いて均等に照射するなど)がなされ、局部加熱の心配がなくなりました。

 原理はマイクロ波照射により、微生物あるいは食品中に存在する水分子がエネル ギーを吸収して振動して発熱します。マイクロ波殺菌の特徴は、殺菌すべき微生物 内に水分が存在すれば、細胞内部から加熱されるので短時間で殺菌処理が可能となります。外部加熱時の場合、食品中の伝熱などを考慮せずに比較的低温度で殺菌することが可能になりました。したがって、高級(値段が高価)食品などに利用されています。特にウニの瓶詰めなどの殺菌に利用されています。

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マイクロ波殺菌

γ(ガンマ)線殺菌とは

電磁波殺菌において最初に利用されたのが、放射線同位元素(コバルト60)を線源としたγ線殺菌です。わが国においては、殺菌の目的には使用が禁止されていますが、アメリカなど諸外国では、香辛料(胡椒、芥子粉、唐辛子、タイム、セージなど)などの殺菌に利用されています。しかし、わが国においては唯一ジャガイモの発芽防止のみにγ線照射が許可されています。

γ線は電離放射線とも称され、周波数からわかるように、非常に強いエネルギーを持っています。γ線は、生体内の水分子を励起し、多種の酸素ラジカルを発生します。

特に発生したヒドロキシルラジカルは、連鎖的に細胞内で転位しながらDNAを破壊します。生体内のDNA塩基の化学的変異、DNA鎖の一本鎖切断、二本鎖切断が起こります。しかし、生体は様々な修復機構を持っており、低い線量の被ばくでは修復されて元のDNAに戻ります。

ある程度以上の被ばく線量となると遺伝子破壊や細胞内物質の破壊が大きくなり、修復機能までもが破壊されて修復できなくなり、細胞死が起こります。しかし低いy線量では、微生物を完全に殺滅することができず、遺伝子変異が起こった微生物が生き残った場合、その微生物は、将来、どのような性質が表れるか不明です。

但し、γ(ガンマ)線殺菌は病院において薬品による滅菌に伴う有害物質の残留もないことから、医療機器の殺菌に良く用いられている。

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γ(ガンマ)線殺菌 利用

X(エックス)線殺菌とは

X線は銅、モリブデン、タングステンなどの標的に加速した電子ビームを照射すると、原子のIS軌道から電子が弾き飛ばされ、空になったIS軌道に外側の軌道(2p、2pなど)から電子が遷移(落下)し、この遷移によって放出される電磁波が×線(特性×線)です。

この×線は1895年にレントゲンが発見し、1901年に第1回ノーベル物学賞を受賞しています。この×線の殺菌メカニズムは、y線とまったく同じです。実際の殺菌は、外国では行われてますが、日本ではほとんど利用されておらず、医療向けのX線撮影が主体です。

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X(エックス)線殺菌

紫外線殺菌(UV殺菌)とは

紫外線の殺菌効果は、すでに1901年に確認されていました。日本では、1950年に厚生省(現厚生労働省)が理髪店での紫外線消毒器の設備を義務付けたことにより広よりました。

 紫外線の中でもUV-Cは、細菌、藻類、寄生虫に対する殺滅作用やウイルスの不活性化作用が強いことが知られており、殺菌灯(水銀殺菌灯:波長253.7nm)を用いて水道水の殺菌、超純水のかび発生防止、養殖魚業用水の殺菌、病院環境殺菌(夜間)などにも使用が拡大してきました。

 紫外線による殺菌メカニズムは、基本的には紫外線が遺伝子DNAに吸収されてチミン(核酸塩基が通常は二本鎖の間でシトシンと水素結合している)が、この水素結合切断されて同じ鎖の隣接したチミンと2量体を形成し、遺伝子に損傷を与え修復機能を失うことにより微生物が死滅します。室外の強い紫外線を浴びるとチミンダイマーが細胞内で生成し、皮膚癌のリスクが高くなります。

一方、紫外線のUV-Aは、直接的な殺菌作用はありませんが、皮膚のメラノサイトに働きかけ、メラニン色素を多く含んだ表皮細胞を生成します。紫外線を浴びてからしばらく経過して、黒く変色するのはこのためです。

 紫外線殺菌の欠点は、紫外線の陰となった物質は紫外線が当たらないのでまったく殺菌されないことです。例えば、夜間(人のいない時間帯)に室内で殺菌灯を点灯していても室内全体(隅々まで)は殺菌されているとはいえません。

 さらに、紫外線はプラスチックや塗料を激しく劣化させるので注意が必要です。

 これまでは、水銀ランプを用いた紫外線殺菌灯のみが使用されていました。しかし、最近では、LEDの進歩に伴い、紫外部の様々な波長を持ったLEDが開発されています。これらを用いた殺菌技術の開発研究が進みつつあり、小規模あるいは大規模の殺菌システムが完成する日も近くなっています。

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紫外線殺菌

消毒剤、殺菌剤、抗菌剤、除菌剤の色々

加熱殺菌できない食品・手指・機械器具類・床や壁には、必要に応じて薬剤による殺菌消毒を行います。おもな薬剤は下記の表のとおりですが、その薬剤ごとに対象や使用濃度が異なりますので、商品の使用方法をよく確認して適切に使用します。

 

消毒剤、殺菌剤の種類

プラスチック食器にカレーなどの色素がついて落ちない場合には、過炭酸ナトリウム製剤などの漂白剤を使用して定期的に漂白します。なるべく熱い湯(40~60℃)で漂白することが効果的ですが使用する薬剤の使用方法をよく読んで行いましよう。

消毒剤、殺菌剤の特徴

消毒剤、殺菌剤 長所 短所
次亜塩素酸ナトリウム 低濃度でも殺菌効果が大、漂白効果がある、安価である 酸性製剤と混ざると危険有機物による不活化特有の臭気と腐食性
アルコール製剤 殺菌作用が迅速で速乾性あリ、高い安全性と低い腐食、生耐性菌が出現しにくい 芽胞に効かない引火点が低い低濃度では殺菌できない
第四級アンモニウム塩ビグアニド系両性界面活性剤系 洗浄除菌剤として利用比較的安全性が高い 有機物や洗剤で不活化耐性菌が出現しやすい

抗菌剤の種類

抗菌剤とは細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする化学療法剤のことを指します、無機系、有機系、ハイブリット型があります。

無機系抗菌剤の特徴

無機系抗菌剤は、ゼオライト、シリカゲル、ウィスカーなどを担体(他の物質を固定する土台となる物質のこと)として抗菌性を有する銀・亜鉛・銅を担持(付着した状態で持っていること)させたものであり抗菌性金属が徐放することにより抗菌効果を発揮します。

名前 内容 写真
ゼオライト  天然のゼオライトは、火成岩であり、結晶構造の中に空洞があり、ここに様々な物質が吸着される。

この空洞部分に銀イオンを入れた薬剤が銀系抗菌剤です。

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シリカゲル シリ力ゲルは水分を吸着する空洞を有しており、この空洞に、銀イオンや銀錯体を入れて乾燥した物がシリカゲル銀系抗菌剤です。 1x1.trans 食品工場 消毒、殺菌マニュアル~消毒、殺菌技術~
ウィスカー ウィスカーとは無機化合物の髭のような結晶でこの表面に銀を吸着した抗菌剤が開発されています。 1x1.trans 食品工場 消毒、殺菌マニュアル~消毒、殺菌技術~

有機系抗菌剤の特徴

薬剤(洗剤)として使われていた ものでありその特徴として①比較的安全性がわかっている、②熱安定性が低いものが多く、加工適性が低い、③抗菌スペクトル(殺菌できる微生物の範囲)が狭い④耐性菌が 再発現しやすいなどがあげられます。

名前 内容 写真
メタノール

(別名:メチルアルコール)

 メタノール (methanol) は有機溶媒などとして用いられるアルコールの一種である。別名として、メチルアルコール (methyl alcohol) アルコールランプなどの燃料として広く使われる。インフルエンザウイルスなどの脂溶性の殻(エンベローブ)を持つウイルスに馴染んで破壊感染力が低下します。 1x1.trans 食品工場 消毒、殺菌マニュアル~消毒、殺菌技術~
過酸化水素 オキシドール (oxydol) の商品名で市販されています。

オキシドールは血液や体組織と接触すると大量の酸素を発生しこの酸素の泡が異物除去効果(洗浄効果)を示すし、一般細菌、ウイルス、芽胞殺滅できる。

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過酢酸 過酢酸・酢酸・過酸化水素・を主成分とした除菌剤です。強い酸化力により、芽胞形成菌・真菌を含む幅広い菌に対して効果を発揮します。

強力な酸化作用で菌の細胞膜を破壊させます。

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ハイブリッド型抗菌剤の特徴

ハイブリッド型抗菌剤は持続性に優れた抗菌製品の開発が可能であることから塗料、プラッスチック製品に利用されています。
構造はマイカ(雲母)の層間にインターカレーションにより有機系抗菌剤を導入したサンドイッチ型表面起伏型ケイ酸塩等に抗菌剤を吸着させた吸着型ハイブリットがあります。

*インターカレーション(Intercalation)とは、分子または分子集団が他の2つの分子または分子集団の間に入り込む可逆反応のこと。

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ハイブリッド型抗菌剤の特徴

洗浄剤、消毒剤、殺菌剤の管理

洗浄剤や殺菌・消毒剤は食品類に混入すると危険なので、必ず食品原材料、調理済み食品、食器具類と離れた場所に保管します。

またラベル等には種類や使用上の注意等が記されていますので剥がさないでおきます。

洗浄剤や殺菌・消毒剤を使い勝手が良いように小分けして保管する場合に食品容器を使用してはいけません。
※洗浄剤を小分けした容器を別の従業員がドレッシングを入れた容器と間違えて使用し食中毒を起こした事例もあります。

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洗浄剤、消毒剤、殺菌剤の管理

洗浄剤、消毒剤、殺菌剤の成分表示方法

家庭用品と業務用の洗浄剤、消毒剤製品ではラベルなどの表示のルールが違います。また、化粧品、医薬品、医薬部外品、食品添加物などもそれぞれ表示のルールが決められています。

 家庭用品の場合、「家庭用品品質表示法」によって記載しなければ
ならない表示が定められラべルには「品名」「成分」「液性」「用途」
「正味量」「使用量の目安」「使用上の注意」などの表示が定められ
ています。この中で成分に関しては、配合している量によって記載が
省略できるものもあります。

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家庭用品洗剤 成分表示

化粧品、医薬品、医薬部外品の場合は、「薬事法」によって、すべて
の配合成分に関して表示をしなければならないことになっています
全成分表示)。

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医薬品の成分表示

食品添加物の場合も「食品衛生法施行規則」によって全成分表示をする必要があり、さらに食品添加物は配合量も記載する必要があります。

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食品 成分

しかし、業務用の洗浄剤・除菌剤は、これらの用品に含まれない雑貨品」である場合も多く雑貨品の表示については法律によるルールは決められていません。そのため、販売するメーカーが表示を決めることができメーカーによってはラべルに成分がくわしく書かれていない場合もあります。

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雑貨 成分表示

製品安全データシート(MSDS)で調べる

さらに、雑貨品であるにもかかわらず、医薬品や医薬部外品のように様々な効果や効能が書かれた製品も市場に出回っていますが、これは薬事法で禁止されています。

 そこで薬事法を守ることはもちろんですが雑貨品であっても消費者に正しい情報を提供するため、家庭用品と同じ家庭用品品質表示法に合わせて、詳細に成分の表記を行なっているメーカーも増えています。

 消費者が、より多くの情報を集めるには、メーカーから製品安全データシート(MSDS)を手に入れる方法があります。その内容を確認することで、ラベルなどには書かれていない、くわしい情報が得られる場合もあるので参考にしてください。

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製品安全データシート(MSDS)

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