消毒、殺菌方法
1.表示確認:野菜や果実を消毒する場合には次亜塩素酸ナトリウム溶液等は必ず食品添加物表示のあるものを使用し、原液の濃度等をよく確認し使用します。
2.すすぎ:消毒剤を使用した際はそれらが完全に洗い落とされるまで十分に流水ですすぎます。
3. 酸性電解水の使用:専用の機械で生成した酸性電解水も野菜・果実への使用が認められています。そのたびに調整する必要がなく、水道水のように蛇口をひねるだけで使用できるのでたいへん便利です。使用する場合には、その特性をよく理解して濃度やpHをチェックしながら使用します。
大量調理施設衛生管理マニュアルでは、野菜や果実を加熱せずに生で提供する場合には、次頁の①~⑤の手順を行うよう指導しています
生野菜、果物の洗浄、殺菌方法
①流水で3回以上、洗浄。
②中性洗剤で洗浄。
③流水で十分にそそぎ、洗剤分を洗い流す。
④必要に応じて次亜塩素ナトリウム溶液等で殺菌。
⑤薬品臭がなくなるまで流水で十分にすすぐ。
食器の洗浄、殺菌方法
①食器に付着した残渣(残っているカス)を落とす。
②流水(40℃の温水が良い)で洗い流す。
③洗剤分を用いて油性分を除去、温水ですすぐ。
④消毒剤で消毒を行う。
消毒剤には次亜塩素ナトリウムとアルコール消毒がある。
1)次亜塩素ナトリウム溶液等で殺菌
次亜塩素酸ナトリウム溶液5~6%を成分を含む市販品を用いる。
2)消毒用アルコールで殺菌
食品に使用可能な消毒用アルコールを用いる、食品の調理前にスプレーするとより効果がある、但し対象物が多いとコスト高となる。
3)煮沸消毒
沸騰している熱湯中に5分間以上煮沸消毒させてから乾燥させる。
調理器具の洗浄、殺菌方法
鮮魚介類、生肉、生野菜などは細菌等に汚染されている確率が高いので、これらの食材を処理した後の調理器具類(まな板、包丁、ザル等)は必ず洗浄・消毒して使用します。
【基本の洗浄方法】
①食品残渣を洗い流す:
水道の水(40℃程度の微温水が望ましい)で3回水洗いする。
②脂肪分を除去:
スポンジタワシに中性洗剤または弱アルカリ性洗剤をつけ十分洗浄する。
③仕上げ:水道の水(40℃程度の微温水が望ましい)でよく 洗剤を洗い流す。
④温湯浸漬殺菌
木製、金属製の場合は80℃の温湯にて5分以上浸漬し殺菌する。
プラスチック製の場合は熱による変形が発生する恐れがある為
に塩素系殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウム溶液200ppm)などで
殺菌する。
⑤水洗い、乾燥
薬剤消毒したものは消毒後、水洗いする、温湯浸漬殺菌も薬剤消毒も消毒後は乾燥させる。
調理機器の洗浄、殺菌方法
①機械本体・部品を分解する。 なお、分解した部品は床にじか置きしない。
②水道の水(40℃程度の微温水が望ましい)で3回水洗いする。
③スポンジタワシに中性洗剤または弱アルカリ性洗剤をつけて十分洗浄する。
④水道の水(40℃程度の微温水が望ましい)でよく洗剤を洗い流す。
注意事項:
・機器メーカーごとに清掃、洗浄方法が異なるので、取扱い説明書をよく確認。
・電気基盤などに水をかけると、故障の原因となるので注意。
・洗浄剤・消毒剤は適切な濃度、使用量、使用方法を守って、機械、機器の材質や形状によって使い分ける。
・刃がある機械の取扱いは怪我をしないように十分注意。
⑤80℃の温湯に5分間以上浸漬、または塩素系殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウム溶液
200ppm)などで殺菌する。
⑥よく乾燥させる。
⑦機械本体・部品を組み立てる。
⑧作業開始前に70%アルコールを噴霧、原則として消毒が必要なものは主に次の2種類です。
・加熱調理後の食品を扱う機械、機器
・生食する食品を扱う機械、機器
*参考サイト:学校給食での洗浄マニュアル(文部科学省サイト)
調理場の洗浄、殺菌方法
食品を調理場内から搬出した後に、洗浄を始めます。
施設内の調理場の洗浄に使用する洗浄剤は、使用する用途や使用する部分の材質に応じて「中性洗剤」、「アルカリ洗浄剤」、「洗浄除菌剤」などを使い分けます。
・固定式の調理台、タンク、調理機器などの下、壁との境界面は、洗浄が不十分になりやすいので注意しましよう。
・施設の内壁のうち床面から1mまでの部分と手指が触れる場所は1日に1回以上、施設の天井および内壁のうち1m以上の高い部分についてはみずから頻度を定め洗浄し、必要に応じて消毒を行います。
調理場の消毒はドライ使用・ドライ運用を行っている場合は、月1~2回の頻度で実施します。
・床に肉、魚、卵など汚染度が高い食品が落ちたとき、細菌検査によって食中毒起因菌等が検出されたとき、明らかに見た目に汚れていると思われるときには、十分な洗浄後に消毒が必要です。
・広範囲の場合は、次亜塩素酸ナトリウム溶液等を使用しますが、部分的な消毒の際は、アルコール消毒。
・いずれの消毒剤も、床を洗浄しできるだけ乾いた状態で使用します。
・床の熱湯消毒は、消毒に必要な温度が保てないため効果がありません。
注意事項:
・洗浄に使用する用具(モップ,ブラシなど)は、汚染・非汚染作業区域ごとにそれぞれ専用のものを揃えます。
・「アルカリ洗浄剤」、「次亜塩素酸ナトリウム溶液」等を使用する際は、手荒れ防止用の手袋を使用します。
・モップーブラシなどは、作業後に洗浄・消毒して乾燥させ、常に清潔な状態にします。
洗浄、殺菌の評価、測定
細菌など微生物は肉眼で見ることができません。たとえ見た目がきれいであったとしても多数の細菌が残っていることがあります。繰り返し使う食器類に洗い残した食品残さがあると、そこに細菌などが付着し増殖します。洗浄と消毒が正しく実施され、清浄度が確保されているか否かについては科学的手法により検証できます。
食器類の清浄度を見るための簡易検査キットは色々ありますが、高度な技術を必要としないため、基礎的な知識を習得した人であれば誰でも同じように検査することができます。目的により適した方法を選びましよう。
検査箇所:
特に衛生状態を管理する必要のあるものを検査する。たとえば
・まな板、包丁など高い清浄度が必要なところ。
・ミキサー、スライサーの刃など洗いにくいところ。
・手指など衛生教育において重要になるところ。
洗浄検査方法の種類:
清浄度の簡易検査には、細菌を見るスタンプ法とスタンプスプレッド法、汚れを見るATPふき取り法、目視判定などがあります。いずれも清潔を見るものです。
スタンプ法
スタンプそのものが培地で作られており、検査対象物の表面に軽く押しつけた後、培養する方法です。
スタンプスプレッド法
検査対象物の表面を合成樹脂製のスポンジ状のスプレッドでスタンプし、培地に塗りつけた後、培養する方法です。
ATPふき取り法
ふき取り棒で検体をふき取り、試薬と反応させた後、ATP測定機器で調べます。培養によらない、簡易で迅速性のある検査方法です。
*ATPとは:
生物の細胞内にあるATP(アデノシン三リン酸)を酵素などを用いて発光させ、その発光量(Relative Light Unit;RLU)を測定し、清浄度する方法のことである。
つまり、蛍の光のように細菌等を発光させてその光量を検知して電気量に変換した計測器がATP測定機器である。
目視検査法
試薬を使って食器などの洗い残しを目で見る方法です。
次の3つの検査は、食器に残ったデンプン、タンパク質、脂肪の汚れを、呈色反応試薬を使って目視判定して検査する
方法です。
①デンプンの残留検査
残留デンプン検出用試薬を食器の内側全面にいきわたるように塗布し、その後軽く水洗いすると、洗い残しのデンプンは青紫色になります。
②タンパク質の残留検査
残留タンパク検出試薬スプレーを約20㎝離したところから食器にスプレーした後に水ですすぐと、洗い残したタンパク質に赤色素が沈着し赤く残ります。
③脂肪の残留検査
残留脂肪検出試薬スプレーを約20㎝離したところから食器にスプレーした後に水ですすぐと、洗い残した脂肪は残留量が多いほど濃く赤色素が残ります。
清浄度検査試薬セット
※デンプン、タンパク質の残留検査用として綿棒などのふき取り器具と試薬がセットされた簡易検査キットが開発されています。ふき取って、10秒ほどで呈色の有無や色調の度合いを目視判定できる ので、操作や判定に専門的な知識や技術が不要です。
検査後の処理
①検査後は器具・器材の表面に培地が付着することがあるため、洗浄・消毒などの後処理が必要です。
②検査に使用した培地には、器具や容器などについていた以上に、細菌やカビが大量に増えていますので生ごみ等と一緒に捨ててしまうと、微生物をばらまいてしまうことになりとても危険です。
検査が終わった培地などは医療廃棄物を取り扱う業者に引取りを依頼するか、高圧滅菌するなどの処理を行いましよう。
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