安全衛生推進者
建設業、製造業など安全管理者を選任すべき一定の業種において常時使用する労働者の数が10人以上50人未満の場合に選任が義務づけられている、安全衛生業務を担当する者(安衛法第12条の2)。
安全衛生推進者の職務は、施設・設備等の点検・使用状況の確認等、作業環境・作業方法の点検等、健康診断および健康の保持増進、安全衛生教育、異常な事態における応急措置、労働災害の原因調査および再発防止対策等に関することである。
所轄労働基準監督署長への選任報告義務はないが、事業者は安全衛生推進者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任する必要がある。
1 安全衛生推進者の選任
安全衛生推進者(労働安全衛生法第11条第1項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあっては衛生推進者)は、労働安全衛生法第12条の2により、一定の規模の事業場ごとに選任が義務付けられているものです。
安全衛生推進者又は衛生推進者を選任しなければならない事業場は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場とされています。
また、安全衛生推進者、衛生推進者のいずれを選任しなければならないかについては、次の表の区分によることになります。
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 | 安全衛生推進者 |
---|---|
上記以外の事業場 | 衛生推進者 |
安全衛生推進者又は衛生推進者はそれぞれの業務を担当するため必要な能力を有すると認められる者のうちから選任することとされており、必要な能力を有すると認められる者として、大学又は高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上安全衛生の実務(衛生推進者にあっては衛生の実務)に従事した経験を有する者等とされています。
安全衛生推進者又は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。また、その事業場に専属の者を選任しなければなりません。ただし、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等一定の者を選任したときはこの限りでありません。
安全衛生推進者又は衛生推進者を選任したときは、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければなりません。
なお、見やすい箇所に掲示する等の等について、当該安全衛生推進者等に腕章をつけさせる、特別の帽子を着用させる等の措置が含まれるものであることとされています。
2 安全衛生推進者又は衛生推進者の業務
安全衛生推進者 |
|
---|---|
衛生推進者 | 上記の業務のうち衛生に係る業務 |
なお、安全衛生推進者又は衛生推進者の職務に関し、次のように示されています。この通達は、労働安全衛生法第28条の2で定められた危険性及び有害性の調査等(リスクアセスメント及び労働安全衛生マネジメントシステム)が導入される前のものですが、リスクアセスメント等を除き職務が具体的に示されているので参考になります。
安全衛生推進者又は衛生推進者の職務は具体的には、次のようなものであること。
- [1]施設、設備等(安全装置、労働衛生関係設備、保護具等を含む。)の点検及び使用状況の確認並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
- [2]作業環境の点検(作業環境測定を含む。)及び作業方法の点検並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
- [3]健康診断及び健康の保持増進のための措置に関すること。
- [4]安全衛生教育に関すること。
- [5]異常な事態における応急措置に関すること。
- [6]労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
- [7]安全衛生情報の収集及び労働災害、疾病・休業等の統計に関すること。
- [8]関係行政機関に対する安全衛生に係る各種報告、届出等に関すること。
安全衛生推進者又は衛生推進者は、安全管理者又は衛生管理者が安全衛生業務の技術的事項を管理する者であるのに対して、安全衛生業務について権限と責任を有する者の指揮を受けて当該業務を担当する者であることとされています。
ブックマーク