- ナレッジマネジメント 【イラスト図解】
ナレッジマネジメント 【イラスト図解】
英語:knowledge management 中国語:学习管理
ナレッジマネジメントとは
組織内の個人が有する知識を共有化し,有効活用することによって新しい知識の創造を目指すマネジメント手法をいう.
情報を共有化するということは,だれもがその情報に自由にアクセスでき,また容易に活用できることが要件となってくる.そのため,ナレッジマネジメントは,情報技術との関連を軸に談論されることが多い.ただし,その定義はいまだ完全には固まっておらず,さまざまな解釈がなされている.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
ナレッジワーカー knowledge worker
ドラッカー(P.F. Drucker)による造語で知識労働者のこと.スキルワーカーに対応する労働者のことで,ものづくりに従事する手に技をもっている労働者を主体とした「もの」社会から,知識社会への変化とともに必要とされる労働者がナレッジワーカーである.
産業革命によって製造業を中心とした物作りの社会が1920年頃から主要な地位を占めていたが,1970年頃からサービスを中心とした社会に変化するとともに,情報技術(IT)が求められるようになり,経験経済という新たな経済の台頭に伴ってナレッジマネジメントの必要性とナレッジワーカーが注目されるようになった.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
ナレッジマネジメント わかりやすく
ナレッジとは?
ナレッジとは、本や新聞、文章などから得られる知識のこと。英語の「knowledge」をカタカナ表記した和製英語で、辞書上は知識や情報といった意味を持ちます。
しかしビジネスシーンにおいては企業などの組織に有益な知識や事例、ノウハウや付加価値のある経験などを意味するのです。
文字として可視化された情報だけでなく、体験から得た技術や技能、経験などを含めて「ナレッジ」と呼びます。
ナレッジマネジメントの進め方
ナレッジマネジメントを成功させるには、進め方を整理して、目的やルールを設定するなど、ステップを踏んで社内に浸透させていくことが重要です。
- 目的を明確化
- ナレッジマネジメントの管理推進者を配置
- ナレッジを集約する場所を決定
- 収集するナレッジを決定
- ナレッジの共有・活用を促す仕組みを整備
- ナレッジを収集・蓄積
- ナレッジが活用されているか確認
ナレッジマネジメント 古い→新しいナレッジマネジメント手法
古いナレッジメント手法で管理していると、情報が探しづらかったり、煩雑になったりし、デメリットにつながります。
新しいナレッジマネジメント手法として、ナレッジ共有システムの導入が挙げられます。ナレッジ共有システムであれば検索しやすさ以外にも利点があります。
従業員が求めている情報が把握可能
ナレッジ共有システムのなかには、利用者である従業員が何を求めているか分析できるシステムもあります。このようなシステムであれば、利用者に求められている情報や有益な情報の傾向が把握できるため、その後のナレッジ共有・管理にも活用できます。
従業員の知識も把握可能
従業員がナレッジ共有システムにさまざまな情報を蓄積していくことで、誰がどのような知識、業務に詳しいかを把握できます。これによって、さまざまな従業員に聞きまわるという手間が省け、業務の効率化が期待できます。
検索しやすく業務の効率化UP
ナレッジ共有システムであれば、紙はもちろん、エクセルと比較しても検索精度が高く、求めている情報を検索しやすいというのが特徴です。検索がスムーズに進むため業務の効率化が期待できます。
関連システムとの連携が可能
ナレッジ共有システムのなかには、他の関連システムと連携できるものもあります。販売管理や顧客管理などの業務システムと連携することで、ナレッジをより効率的に活用できるようになります。
顧客への対応も強化
ナレッジ共有システムで顧客ごとの対応方法が蓄積されれば、どの顧客にどのような対応をすればよいかが瞬時に判断可能になります。
ナレッジマネジメントの事例~再春館製薬所
再春館製薬所では、コールセンター業務でナレッジマネジメントを取り組むことで、業務の効率化を図りました。従来は、膨大な資料のなかから商品情報などを探し出す必要がありました。企業内の検索エンジンであるエンタープライズサーチを導入した結果、必要な情報を素早く引き出せるように改善しました。
また、コールセンターにおけるナレッジ共有は離職率の低下も期待される効果の一つ。理不尽な怒りなどに対する適切な対処法が社内で共有し、オペレーターの負担軽減しました。
ナレッジマネジメントのワークフレーム 「SECIモデル」
ナレッジマネジメントを実践する際には、暗黙知を形式知へと変換する「SECIモデル(セキモデル)」と呼ばれる考え方を取り入れること効果的です。
暗黙知と形式知とは
暗黙知とは、言語化されていない主観的・感覚的な知識を指します。「職人のカン」「熟練の技」といった知識や技術などが暗黙知に分類され、人に伝えるのは容易ではありません。
一方、形式知は主観的な知識を言語化したもので、客観的な知識のことです。マニュアルなどが形式知に該当します。
ナレッジマネジメントでは、まず主観的・感覚的な暗黙知から形式知への変換を行います。そして、形式知を受け取った人物が、それを自分の暗黙知として吸収するサイクルを作る必要があるでしょう。このような、個人の知識を組織全体で共有しようとする考えに、「SECIモデル(セキモデル)」があります。
SECIモデルの4つのプロセス
新たな知識は、個人・集団・組織の中で、暗黙知と形式知を間断なく変換・移転することで創造されます。
SECIモデルは、暗黙知を形式知に変換し、移転し、新たな暗黙知を生み出すサイクルを表したものです。その際の、「Socialization」「Externalization」「Combination」「Internalization」という4つのプロセスの頭文字を取って、SECIモデルと名づけられました。
共同化(Socialization):
共同化は、共通の体験や作業を通して、暗黙知を伝達するプロセスです。新たな暗黙知が生まれるステップともいえるでしょう。OJTや子弟制度などが共同化にあたり、経験に基づいた信念や勘といった主観的な知識の共有は、言葉だけでなく体や五感を使わなければ難しいとされています。
表出化(Externalization):
表出化は、得た暗黙知を共有できるように、形式知に変換するプロセスです。共同化した暗黙知は、そのままでは他者と共有できないため、言葉はもちろん、映像や図、比喩、ストーリーなどを使って形式知にします。
連結化(Combination):
連結化は、形式知を組み合わせて新たな知識体系を創造するプロセスです。例えば、複数のチームでマニュアルを持ち寄ってすり合わせ、新たなマニュアルを作成するといったことが連結化のプロセスにあたります。ここで、個人の暗黙知が組織の形式知へと変わります。
内面化(Internalization):
内面化は、形式知を実践して、知識を体得するプロセスです。頭で理解した形式知を実践・行動して、新たな経験や知識、ノウハウといった暗黙知を得ます。
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