AI(ChatGPT・Copilot)で散布図を簡単に作成する方法
「散布図を作りたいけど、Excelでうまく扱えない」「もっと簡単にAIを使ってグラフ化できないかな?」
そんな方に向けて、ChatGPTやMicrosoft Copilot(旧:Office AI)を使った散布図の作成方法をわかりやすく紹介します。
AI活用により、以下のようなメリットがあります:
ChatGPTやAIを利用した散布図作成のメリット
項目 | 内容 |
---|---|
① 手軽さとスピード | 数値データや傾向をAIに指示するだけで、数秒〜数十秒で散布図を生成可能。 |
② プログラミング不要 | PythonやExcel関数の知識がなくても、自然言語(日本語)で指示できる。 |
③ データ生成も可能 | ChatGPTに「架空のデータを10行作って」と頼めば、分析用のサンプルデータも生成してくれる。 |
④ 視覚化+分析が同時にできる | グラフを出すだけでなく、その傾向の分析やマーケティング提案も1つの会話で完了。 |
⑤ 再利用性・テンプレート化が容易 | 使ったプロンプトやPythonコードをテンプレ化すれば、定型レポート業務を自動化できる。 |
⑥ 他ツールとの連携が容易 | GoogleスプレッドシートやExcel、CSVファイルと簡単に連携・読み込みが可能。 |
⑦ マルチ言語対応 | 英語・日本語どちらでもグラフ作成が可能なため、グローバルなチームや海外向け資料にも対応。 |
⑧ 無料または低コストで導入可能 | ChatGPT(無料プラン)やMicrosoft Copilot(Office365)など、既存の環境でそのまま使える。 |
具体的な活用シーン
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製造業:品質管理レポートにおける寸法と不良率の関係分析
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小売業:売上と気温、曜日などの外的要因との相関把握
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マーケティング:広告費とコンバージョンの関係可視化
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教育現場:成績と出席率の関係を生徒向けに可視化
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ヘルスケア:運動量と血圧・体重などの関係可視化
AIで散布図作成する方法としてデーターを直接、AIに入力方法とエクセル、Googleスプレッドシートから入力する方法がある。
以下にその詳細を解説します。
ChatGPTにデータを直接入力してPythonコードを作成する
ステップ1:プロンプトを入力
以下のように入力します:
次のデータを使って散布図をPythonコードで作成してください:
気温(℃): 20, 22, 24, 26, 28, 30
アイス売上(個): 50, 55, 65, 80, 100, 130
ステップ2:ChatGPTがコードを生成
import matplotlib.pyplot as plt
x = [20, 22, 24, 26, 28, 30]
y = [50, 55, 65, 80, 100, 130]
plt.scatter(x, y)
plt.xlabel('気温(℃)')
plt.ylabel('アイス売上(個)')
plt.title('気温とアイス売上の関係')
plt.grid(True)
plt.show()
plt.scatter(x, y)
は、Pythonのグラフ描画ライブラリ「Matplotlib」の関数で、「散布図(scatter plot)」を描くためのコードです。
意味の解説
要素 | 説明 |
---|---|
plt |
matplotlib.pyplot を略してインポートしたときの別名(例: import matplotlib.pyplot as plt ) |
scatter |
散布図を作成する関数 |
x |
x軸のデータ(横方向の値) |
y |
y軸のデータ(縦方向の値) |
Matplotlib の主なグラフ作成用の関数は下記のとおりであり、関数名を変えるだけで最適なグラフの変更できる。
【基本のグラフ描画】
関数名 | 説明 |
---|---|
plt.plot(x, y) |
折れ線グラフ(線グラフ)を描く |
plt.scatter(x, y) |
散布図を描く |
plt.bar(x, height) |
縦棒グラフ |
plt.barh(y, width) |
横棒グラフ |
plt.hist(data) |
ヒストグラム(頻度分布) |
plt.boxplot(data) |
箱ひげ図 |
plt.pie(data) |
円グラフ |
ステップ3:Google ColabやVS Codeで実行
無料版のChatGPT(GPT-3.5)でPythonコードを作成させてPythonが使える環境にこのコードをコピペするだけで、即座にグラフが表示されます。
ステップ4:ChatGPT Plus(GPT-4oなど)で直接、実行
有料版のChatGPT Plus(GPT-4oなど)ではPythonのコードを生成し、実行する環境が組み込まれています(Code Interpreter/Advanced Data Analysis機能)。
よって下記のようにプロント文を指示するとChatGPT画面上にグラフが作成させる。
次のデータを使って直接、散布図を作成してください:
気温(℃): 20, 22, 24, 26, 28, 30
アイス売上(個): 50, 55, 65, 80, 100, 130
但し、ChatGPTでAdvanced Data Analysisを用いてグラフを作った時に、日本語が文字化けするという問題があります。
これは、Advanced Data Analysisのグラフ生成ライブラリ「matplotlib.pyplot」が日本語フォントをサポートしていないためです。
しかし、日本語のTTFファイルをダウンロードしてChatGPTにアップロードすることでこの問題は解決することができます。
方法は①Google FontsのNoto Sans Japaneseを利用、ダウンロードし、②ダウンロードされたZIPファイルを解凍し③ChatGPTに好きなフォントのデータを渡します。
Microsoft Copilot(Excel内AI)で散布図を作成
ステップ1:データをExcelに入力
気温(℃) | アイス売上(個) |
---|---|
20 | 50 |
22 | 55 |
24 | 65 |
26 | 80 |
28 | 100 |
30 | 130 |
ステップ2:「Copilotに質問」する
「この表を使って散布図を作成して」とCopilotに指示すると、自動で散布図が挿入されます。
*Copilotは、Microsoft 365の有料プラン「Copilot Pro」で利用できます。
ステップ3:プロント文 宣言 結果
自動で散布図が作成される。
Excel・Googleスプレッドシートのデータを使って作成する方法
ChatGPT + Googleスプレッドシート(手作業)
- データをスプレッドシートに用意:
- A列:気温
- B列:売上
- 範囲を選択 → 「挿入」→「グラフ」→「散布図」
- AIにアドバイスを求めたい場合:
以下のスプレッドシートデータの傾向を分析してください:
A列=気温、B列=売上
ChatGPT + Excel(GASやVBAで連携も可)
応用:Google Apps ScriptやPythonで自動読み出し+プロット
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
df = pd.read_excel("data.xlsx")
plt.scatter(df['気温'], df['売上'])
plt.xlabel('気温(℃)')
plt.ylabel('アイス売上(個)')
plt.title('Excelデータから生成した散布図')
plt.show()
自動で散布図を作成しただけでは意味がない、作成した散布図からどのような相関関係があるかを判断するのが大切であり、以前はその分析を人がしなければならなかったが現在はAIが分析結果を出してくれる。
ChatGPTやCopilotに散布図を分析させ「相関関係を解釈させる」
たとえば、以下のプロンプトを使うと分析までしてくれます
データ(気温とアイス売り上げ)からわかる傾向と、どのようなマーケティング戦略が
考えられるか教えてください。
プロント文宣言の結果は下記のとおり。
傾向分析
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気温が上昇すると売上が増加する:
→ 気温と売上に明確な正の相関関係がある。 -
気温が1℃上がるごとの売上増加量(近似値):
-
22℃→24℃で+10個
-
26℃→28℃で+20個
-
28℃→30℃で+30個
→ 気温が高いほど売上増加の勢いが強くなる(加速度的傾向)
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-
気温28℃以上が売上急増のポイント:
→ 28℃を境に、需要が爆発的に高まる兆しがある。
考えられるマーケティング戦略
天候連動型マーケティング(気温に合わせた施策)
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28℃以上になる予報が出た地域での集中的な販促
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SNS広告配信(地域・気温連動)
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コンビニ・スーパーとの連携POP展開
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広告キャッチコピー:「今日、30℃!アイスで生き返ろう!」
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気温ベースの価格施策
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例:「気温×2%引きセール」(30℃なら60円オフ)
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在庫管理・物流最適化
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需要予測モデルに気温データを組み込む
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売上が読めることで、事前にアイスの在庫を適切に配置
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無駄な廃棄や欠品を防ぐ
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冷凍トラックの配送強化スケジュールを気温連動に最適化
コンテンツ・販促戦略の強化
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気温と連動した販促コンテンツ
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「今週のアイス指数」など、気温と一緒に紹介するコーナーを展開
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LINE公式やアプリで「今日のアイス通知」
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ストーリーマーケティング
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「暑くてたまらない日にはこれ!」という情緒訴求
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エリアマーケティング
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都市別・県別の気温データを基に販促地域を絞る
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例:仙台では25℃以上でキャンペーン発動、東京では28℃
-
*このように、「気温」という外的要因に明確に影響される商品の場合、天候データを活用したマーケティング施策が非常に有効です。
ChatGPTやCopilotなどのAIツールと、気象データ、売上データを組み合わせることで、今後はリアルタイムかつ自動的な販促施策や在庫調整も可能になります。
ChatGPTに散布図を作成させるプロンプトの作成事例
ChatGPTに散布図を作成させるとき、**的確でムダのないプロンプト(指示文)**を出すことで、素早く・正確なグラフ作成が可能になります。以下に、プロンプト作成のコツを例付きで解説します。
ChatGPTに散布図を作らせるプロンプトのコツ
コツ | 解説 | 例文 |
---|---|---|
① 2軸のデータを明確に指定 | 「X軸はこれ、Y軸はこれ」と伝える | 気温とアイス売上の関係を散布図にしてください |
② 実データ or 自動生成かを指定 | データを与えるのか、作ってもらうのかを明記 | 以下のデータで散布図を作ってください:気温→20,22… 売上→50,55… または仮のデータを10行作って散布図にしてください |
③ 表示ラベルやタイトルも一緒に指示 | 軸名、タイトルがあると読みやすい | X軸は「気温(℃)」、Y軸は「アイス売上(個)」、タイトルは「気温と売上の関係」 |
④ Pythonコードで出力してもらう | 実行環境があるならPythonコード形式が便利 | Python(matplotlib)で散布図を出力するコードをください |
⑤ グラフだけでなく分析も依頼 | できた散布図から傾向を教えてもらえる | この散布図からわかる傾向と改善案を教えて |
⑥ Markdownで出力希望なら指定 | ブログやnote用に整形する場合 | 散布図を説明する記事をMarkdown形式で300文字で書いてください |
実践的なプロンプト例
◉ 例1:実データでグラフ作成
次のデータを使って、Pythonコードで散布図を作ってください:
気温(℃):20, 22, 24, 26, 28, 30
アイス売上(個):50, 55, 65, 80, 100, 130
X軸は「気温(℃)」、Y軸は「アイス売上(個)」、タイトルは「気温と売上の関係」
◉ 例2:AIにデータ生成も任せる
気温とアイス売上の関係を示す仮のデータを10行生成し、それを使ってPythonコードで散布図を作成してください。
◉ 例3:Googleスプレッドシートと連携して分析
GoogleスプレッドシートのA列に気温、B列にアイス売上があります。このデータをもとに、どんな傾向があるか分析してください。
プロンプトは「5W1H+データ指定」で効率アップ
ChatGPTに散布図を作らせるときは、以下を明確にすると精度が上がります。
- What:何のグラフ?(散布図)
- Why:目的は?(関係を知る/可視化したい)
- How:コード?画像?表?分析も?
- データ:与えるのか、生成するのか?
- 出力形式:Pythonコード、Markdown、表形式など
AIで作成した散布図をビジネスで活用する!
「AIで作成した散布図をビジネスで活用する方法」について、具体的な活用事例と、人による最終評価の重要性を盛り込んだ解説です。
1. 製造業:寸法と不良率の関係を可視化
事例:
ある部品の製造において、「寸法誤差」と「不良率」をプロットした散布図をAIに作成させたところ、不良品は特定の寸法範囲に集中していることが判明。
活用効果:
- 製造ラインの重点管理ポイントが明確に
- 寸法規格の見直し提案につながった
2. 小売業:天候と売上の関係を分析
事例:
気温とアイス売上の相関関係をAIでグラフ化した結果、28℃を超えると売上が急増する傾向が明確に。
活用効果:
- 天候連動型キャンペーンの設計に活用
- 売上予測精度が向上し、欠品リスクを軽減
3. 人事・教育:出勤率と業績評価
事例:
社員の出勤率と人事評価スコアをプロットすると、ある閾値(95%)を超えたあたりから評価スコアが伸びやすい傾向をAIが可視化。
活用効果:
- 高評価社員の特徴を定量的に把握
- 出勤状況に対する評価制度の見直し材料に
4. Webマーケティング:広告費とCVR(成果率)
事例:
広告費とCVRを散布図でプロットし、費用対効果が良いキャンペーンの条件を抽出。
活用効果:
- 無駄な広告出稿を減らし、CPA(獲得単価)を20%削減
- 次回施策の最適な「広告費の目安」を明確化
AIの強み:迅速な仮説検証と視覚化
強み | 内容 |
---|---|
スピード | 数十秒で散布図+傾向分析を提示 |
再現性 | プロンプトを再利用すれば何度でも同じグラフが作れる |
柔軟性 | データの種類や軸の入れ替えも自在 |
コスト削減 | 専門のアナリストが不要なシンプルな分析はAIで代替可能 |
⚠ 重要:最終評価は“人の目”で行うべき理由
AIは事実の提示や傾向の可視化には優れていますが、以下のような判断には不向きです。
項目 | AIの限界 |
---|---|
意図の汲み取り | 「なぜこの傾向が生まれたか?」までは背景を知らないAIには難しい |
文脈判断 | 一時的な要因(例:イベント開催、気象異常)を考慮できない |
リスク評価 | 「本当にこの施策を実行していいのか?」という経営判断 |
倫理的判断 | データ分析によって社員や顧客に不公平が生じないかの配慮 |
“人 × AI”で最高の意思決定を
最終的には、AIが作成した散布図を、人がどう読み解くかが重要です。
- AIは道具(ツール)
- 人は判断者(ジャッジ)
この関係性を正しく理解することで、スピード・客観性・戦略性を兼ね備えた意思決定が可能になります。
まとめ
「データを渡すだけで、散布図も分析もAIがやってくれる時代」がもうすでにきている。
まずは一度、AIと一緒に散布図を作ってみてください!
但し、AIに正しいプロンプト文を指示するためには『散布図の作成、分析の基礎』を学んでください。
そしてAIが散布図を分析した結果を人が最終的に評価する為にも散布図の作成、分析の基礎』の学習が必要です。
下記の記事を参考にしてビジネス、研究でのAIでの散布図の作成、分析に活用してください。

最後に『AIによる散布図の作成、分析』について具体的な事例を物語風に書いた記事をnoteに投稿しています、参考になれば幸いです。

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