- 標準作業 standard operation 【イラスト図解】
標準作業 standard operation 【イラスト図解】
英語:standard operation 中国語:标准操作
標準作業は規則正しく造ることを意味する。製造現場では、生産計画を遂行するために5つのMの要素が働いている。人(Man)・物(Material)・機械(Machine)を有効に組み合わせ、作業のやり方(Method)を決め、もっとも経済的(Money)に生産を行うことが要求される。
つまり、標準作業とはこの要求を満たし”よい物を、一定コストで、確実に造る”ことを実現するための手段といえる。
トヨタ生産方式では人の動きを中心として、ムダのない順序で、効率的な生産をするやり方を、標準作業といいタクトタイム・作業順序・標準手持ち3要素からなる。
標準作業とは
「製品又は部品の製造工程全体を対象にした,作業条件,作業順序,作業方法,管理方法,使用材料,使用設備,作業要領などに関する基準の規定.
備考:作業標準は製品又は部品の各製造工程を対象に,作業条件,作業方法,管理方法,使用材料,使用設備,作業要領などに関する基準を規定しだものである.」(Z 8141)
これによって所定の品質の製品が,所定の時間(標準時間)に完成されることになる.
つまり,現段階で実施できる,最も経済的な作業方法の基準が標準作業方法で,一定の手続きを経て決められた仕事の進め方である.
これは作業標準書あるいは作業指導票の形で成文化されることが多い.作業標準はその工場で現在保有している作業者の技能,機械設備,治工具などの性能に応じて,最も経済的に所定の品質の製品が得られるような方法を定めることである。
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
標準作業の目的
標準作業とは、人の動き、モノ、設備の、最も効率の良い組合せを考え、良い品物を、より早く、安全に、ムダ無く造るための作業方法の事。
運用する目的は、大きく分けて2つあります。
物造り方のルールの明確化
物造り方のルールの明確化です。標準作業が存在することで、モノの造り方が人によって異なる等、作業方法や管理方法のバラツキによって生じうるムダを最小限にできます。これは能率の向上に繋がります。
改善のツールとしての活用
改善のツールとしての活用です。ムダムラムリを見つける、正常と異常を区別する等、改善のツールとして活用することが出来ます。「標準の無い所に改善は無い」と言われるように、標準作業は、何が問題なのかを判断する基準になります。
標準作業と作業標準の違いは?
作業標準とよく似た言葉に「標準作業」があります。 「作業標準」が単位作業の標準であるのに対して「標準作業」は、製品完成までの工程全体の標準を定めたもので、範囲は広範囲です。
作業標準は、標準作業を行うための諸条件の事であり例えば、切削速度、送り、工具の形式・形状、切削油の種類等が該当します。
一方 「標準作業」は、“タクトタイム”、“作業順序”、“標準手持ち”の3要素を満たした作業のことであり、基本として、監督者自身が作成し、作業者に指導して守らせるものとなります。
簡単に要約すれば
「作業標準」は「作業の標準」の事であり、作業をするための“標準”のことです。
「標準作業」は「標準の作業」の事であり、標準的に行なう“作業”のことです。
辞書では下記のように解説している。
「作業標準」とは
「作業条件,作業方法,管理方法,使用材料,使用設備その他の注意事項などに関する基準を定めたもの.」(旧Z 8101)
製造作業について,材料規格や部品規格で定められた材料・部品を加工して,製品規格で定められた品質の製品を効率的に製造するため,製造の設備,加工条件,作業方法,使用材料などを定めた.
製造作業の標準の総称.作業の標準化により品質の安定,仕損の防止,能率の向上,作業の安全化を図ることができる.
作業標準の分類として,
①製造技術標準:製造上の物を対象とした技術事項を決めたもの(製造技術規格,工程仕様書)
②製造作業標準:製造する人を対象とした作業方法を決めたもの(作業指導票,作業要領書)
③作業指示票:監督者,作業者への作業指示を行ったもの (作業指導票,製造指示票など)からなっている.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
標準作業の三要素
標準作業の3要素とは、タクトタイム、作業順序、標準手持ちの3つ。
①タクトタイムとは、製品を「何秒で造らなければならないかという時間」のこと
②作業順序とは、作業者が作業を「最も効率的に行なう」ための順序のこと
③標準手持ちとは、必要最小限の手持ち(工程内の仕掛品)のこと
標準作業と標準作業手順書
「製品又は部品の製造工程全体を対象にした,作業条件,作業順序,作業方法,管理方法,使用材料,使用設備,作業要領などに関する基準の規定が「標準作業」です。
一方、標準作業手順書(SOP)は作業者に作業標準を基づいて作業の仕方を示した指導書。作業するうえで守らなければならないルールやコツをまとめたもの。
しかし、定義が不明確であり、一般的に標準作業手順書,作業指図書,作業標準書,作業要領書,作業指導書が混同して使用されているのが現実です。
*標準作業手順書の作成、使い方等については下記の関連記事を参照 願いします。
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