食品工場 原料規格条件
原料生産現場の確認
食品工場で使用する原材料は、農畜産物のように自然界から得られる原料と、同じ食品工場で製造している加工品に分けられます。
農畜産物は、可能なかぎり現地に確認に行く作業が必要です。入荷ロットごとの確認として何を証明書としてつけてもらう、出荷時点の規格値を明確にするように打ち合わせます、農畜産物の場合は季節要因があるため、次回の点検時期の確認をします。
加工品は本格生産のロットで確認
加工品を原材料として使用する場合は、必ず本格生産になった場合と同じロットで製造状況の確認を行います。自分の工場でそれだけの原料を使用しない場合でも必ずロットを合わせます。小ロットと大ロットでは生産する工程が異なり、最終品質が異なる場合があるからです。原料生産工場では、出荷判定の基準の確認と出荷時の証明書項目について打ち合わせします。
細菌検査結果、理化学検査結果、官能検査結果等、さまざまな検査が考えられますが、検査コストも含めて打ち合わせ、さらに、受入れ検査基準もお互いに擦り合わせます。
たとえば「製造から2日以内に納品を行うこと」とハードルを決めれば、製造してから3日目の原料が納品になると、その原料は返品になります。
未納時、返品時の補償を打ち合わせる
返品の代替え原料をいつまでに納品すればいいかも打ち合わせます(午前10時までに納品して受入れ基準に沿わず返品した場合は当日14時までに再度納品すること等、明確に決める)
そして、それが実行されなかった場合の補償についての打ち合わせも必要です。細菌検査のように、検査結果が出る前に原料として使用してしまう場合があります。
受入れ時点で細菌検査を行い、結果が出たときは配合工程に入っているというケースも考えられます。そのときの補償をどうするかという打ち合わせも必要で、ここまでが品質管理の仕事になります。
食品工場 下処理工程
フィルターを通して食品工場で使用可能な状態へ
「下処理工程」は、この工程を通過することによって農畜産水産物や他の工場で加工された加工品が、食品工場の中で使用できるようになります。下図のように「下処理工程=フィルター」と考えると、役割が理解しやすいでしょう。
下処理工程では、フィルターを通過した後の基準を明確にしておく必要があります。レタスをマニュアルの基準に従って洗浄したとき、歩留りが悪すぎて必要量が確保できない場合、現場では選別基準のハードルの高さを変化させられないことを明確にしておきます。
原材料庫から下処理に原材料を運び入れるときは、一番外側の段ボールを外す必要があります。工場内の製造工程が進むにつれて原材料の段ボールなどの外装などに付着している異物が入らないよう、下処理段階で一番外側の外装を取り除きます。
このように異物混入に関しても、下処理工程がフィルターの役目を果たします。下処理工程で金属探知器やエックス線探知機を通過させ、異物確認を行ったうえで、下処理室に運び入れることが大切です。
豚肉等の畜肉では、生体(生きている状態)時に予防接種等の注射針が折れ、注射針が残ってしまう事故が多発しています。金属探知器では発見できませんが、エックス線探知機であれば骨も発見可能です。豚肉、鶏肉は骨をきれいに外したつもりでも、小さな骨が残ってしまうので要注意です。
食品工場 添加物配合工程の品質管理
専任者が専用の部屋で添加物配合
食品工場の仕事の中で、従業員が特に気を遣う仕事のひとつに、添加物の調合作業があります。ある大手マヨネーズメーカーでは、各調合工程を経由する際、バーコードリーダーで添加物を読み込んで各工程の添加物、調昧料が規定通りに配合されているか、使用されているかがわかるシステムをつくり出したそうです。
添加物の中には、ハム、ソーセージに使用する発色剤の亜硝酸ナトリウムのように、取り扱いに細心の注意が必要なものや、香料のように微量で効果が出るものもあります。
そのさまざまな添加物を、各製造工程の担当者がそのつど計量して配合していたのでは効率が悪く、また間違いを防ぐうえからも専用の部屋、専任の作業者が必要になります。
どんな小さな工場でも、これは同じです。この考え方としては、たとえ1日30分の作業であっても専任者の作業とし、その従業員が添加物の計量作業終了後に他の作業を兼務する、という発想が必要です。
調合ミス防止と添加物の取扱い
下図のように、亜硝酸ナトリウム、ソルビン酸、香料、保存料、着色料、pH調整剤などは毎日在庫を点検し、その他のものは毎月在庫を確認するなど、添加物によってランク付けして理論在庫を確認します。
調合リストに基づいて調合を開始するのは、確認が終わった後になります。液体は専用の容器に入れ、粉類は配合を行う順番で袋に入れていきます。
現場で必要な情報は、袋の中に何が入っているかということではなく、この白い粉はいつ入れればいいのか、ということです。現場の配合工程表の中に、ここで①の袋を入れる、よく混じった段階で②の袋を入れ、最後に③の液を入れる……といった情報が必要になります。
小分けした袋は、添加物の調合した時間、担当者がわかるように、ロットナンバーのついた帳票とともに製造工程に移動します。毎日同じ作業の繰り返しになるので、添加物メーカーと相談し、調合済みの小袋を作成してもらうと、この作業が軽減されることになります。
食品工場 配合工程の品質管理
配合工程では原料、設備をすべて適正に準備し、配合表の通りに調理するのがこの工程です。
ポテトサラダであれば、ゆでたジヤガイモ80%にマヨネーズ18%、添加物2%と、配合表に従って調理します。
畜肉ソーセージ、かまぼこなど、タンパク質の変化を配合工程で引き出している製品の場合、物理的に原料を攬絆するため、その攬絆により温度が上がってしまいます。
この原料の温度の上昇を低く抑え、なおかつ充分に攬絆することができれば、触感のよい商品をつくることができます。
具体的には、原料肉や添加物等の他、カッター等の攬絆設備も充分に冷やしておき、通常はカッターを氷に入れて冷却します。またカッターの刃を研いでおき、刃とボールの隙間を整備しておくことで、配合表には現われてこない固有技術が最終商品に生きてきます。
よく切れる刃を使用して製造した商品と、切れ昧の悪い刃を使用した商品では、食感がまったく別物になってしまいます。配合表に出てこない固有技術のノウハウを明確にすることが必要なのです。
刃は100時間、使用したら必ず研磨を行う、刃とボールの隙問は名剌一枚の厚さにするといった管理が必要です。
配合歩留りを明確化
玉子焼きの調理を考えてみます。事前にだしをつくり、ミキシングタンクで卵と混合しますが、調理する前の原料の菌数を下げておくことが大切です。
だしを調理する場合は、醤油、水、砂糖等で80℃×15分ほど加熱調理をします。この事前加熱により、細菌数を下げることができるのです。
その後の玉子焼きの加熱温度時間を少なくすることができ、おいしさを保つことが可能になります。
同様に、玉子焼きに使用する卵についても、菌数の少ないものを使用することが大切です。そのため、配合前の使用原料の菌数を数値化します。
下図のだしの場合、加熱すると水分が蒸発するため、配合の歩留りを明確に設定します。配合歩留りを決めないと、日によって味が異なってしまいます。
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