抜き取り検査の基礎知識
日本で多く用いられている抜取検査方式としては、以下のものが挙げられます。
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JIS Z 9015-1(ISO 2859-1)に基づくAQL(合格品質水準)指標型抜取検査:
- 特徴: あらかじめ設定されたAQLに基づいて、ロットの合格・不合格を判定する方式です。生産者と消費者の両方のリスクを考慮した合理的な検査方法であり、国際規格であるISO 2859-1と整合性があるため、広く採用されています。
- 利用場面: 継続的なロットの受け入れ検査や工程内検査など、比較的安定した品質の製品に対して用いられます。
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JIS Z 9002 に基づく計数規準型一回抜取検査(不良個数の場合):
- 特徴: ロットから一度だけサンプルを抜き取り、その中に含まれる不良品の個数があらかじめ定められた合格判定数以下であればロットを合格とする方式です。
- 利用場面: 比較的単純な製品の検査や、品質が安定していることが期待される場合などに用いられます。
これらの他にも、製品の特性や検査の目的、取引先との合意などに応じて、様々な抜取検査方式が用いられています。例えば、抜き取るサンプルの数を段階的に変える多回抜取検査や、過去の検査結果に基づいて抜き取り数を調整する調整型抜取検査などがあります。
特に、JIS Z 9015-1 に基づくAQL指標型抜取検査は、その合理性と国際的な通用性から、日本国内の多くの産業で広く用いられていると言えます。
JIS Z 9002とJIS Z 9015-1の違い比較表
比較項目 | JIS Z 9002 | JIS Z 9015-1 |
---|
規格名 | 抜取検査-計数規準型および計量規準型 | 抜取検査-第1部:AQL指標による計数抜取検査方式 |
目的 | 抜取検査の統計的設計(基本原則の提供) | AQL基準による実務的な抜取検査の方法提供 |
適用範囲 | 計数・計量の統計設計全般 | 計数抜取検査(AQL基準) |
抜取方式の種類 | 単回・二回・多回・連続抜取検査 | 単回・二回・多回(MIL-STD-105系) |
主な指標 | p₀, p₁, α, β(OC曲線による設計) | AQL(合格品質限界) |
抜取数と合格判定数の決め方 | 統計設計に基づいて計算で決定 | コードレターとAQLから表で決定 |
表の使用可否 | ×(AQL表は使用しない) | 〇(AQL表を使用) |
実務での使用頻度 | 中(設計や制度構築向け) | 高(現場・納入検査・契約検査) |
代表的な用途 | 新製品の信頼性設計、品質保証契約など | ロット検査、納入品検査、工程抜取検査など |
*抜き取り検査の詳細は下記の記事を参照願いします。

ChatGPTで JIS Z 9015-1の抜取数と合格判定数を求める!
JIS Z 9015-1は ANSI/ASQ Z1.4 や ISO 2859-1 と実質的に同等です。
ChatGPTは実際のJIS規格そのものにはアクセスできませんが、信頼できる表形式を再現したロジックで対応、抜取数と合格判定数を求めます。
ChatGPTで JIS Z 9015-1(AQL指標型抜取検査方式) における 抜取数(n)と合格判定数(c) を求めるには、以下の情報をもとに検査表(AQL表)を使用して算出します。
JIS Z 9015-1のAQL検査方式で、ロットサイズ100、通常検査水準Ⅲ、AQL=0.25%、通常検査の場合の抜取数nと合格判定数cを教えてください。
比較 GeminiでのJIS Z 9015-1の抜取数と合格判定数を求める
JIS Z 9015-1のAQL検査方式で、ロットサイズ100、通常検査水準Ⅲ、AQL=0.25%、通常検査の場合の抜取数nと合格判定数cを教えてください。
ロットサイズ100、通常検査水準Ⅲ、AQL=0.25%の条件で、JIS Z 9015-1の抜取検査方式を用いる場合、以下のようになります。
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抜取文字: まず、ロットサイズ(100)と通常検査水準(Ⅲ)から、抜取文字をJIS Z 9015-1の抜取表で確認します。この組み合わせの場合、抜取文字は G となります。
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抜取数(n): 次に、抜取文字 G とAQL(0.25%)から、抜取数を抜取表で確認します。抜取文字Gに対応するAQL 0.25%の抜取数は 50 個となります。
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合格判定数(c): 同じく、抜取文字 G とAQL(0.25%)から、合格判定数を抜取表で確認します。抜取文字Gに対応するAQL 0.25%の合格判定数は 1 個となります。
したがって、抜取数nは 50 個、合格判定数cは 1 個となります。これは、抜き取った50個のサンプルの中に不良品が1個までならそのロットは合格、2個以上あれば不合格と判定されることを意味します。
ご指摘ありがとうございます。私の記憶に誤りがありました。
JIS Z 9015-1の抜取検査表を確認しますと、抜取文字が G で、AQLが 0.25% の場合の合格判定数(Ac)は 0、不合格判定数(Re)は 1 となります。
したがって、再計算の結果は以下の通りです。
- 抜取数(n): 50個(これは前回と同じです)
- 合格判定数(c): 0 個
- 不合格判定数(Re): 1 個
これは、抜き取った50個のサンプルの中に不良品が1個でも見つかった場合、そのロットは不合格と判定されることを意味します。不良品が1個もなければ合格となります。
ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。再度のご質問、誠にありがとうございます。
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*2025年5月6日 現時点ではAI ChatGPT及びGeminiの回答は不正解だったが再学習して近い将来は100%正解に近づくと予想される。
ChatGPTで計数規準型 JIS Z 9002のサンプル数を求める
計数規準型抜取検査 JIS Z 9002に基づく抜取検査とは?
計数規準型抜取検査は,売り手に対する保護と買い手に対する保護の二つを規定して,売り手の要求と買い手の要求との両方を満足するように組み立てられた抜取検査である。
売り手に対する保護とは,不良率p0%のような品質の良いロットが,抜取検査で不合格となる確率α(生産者危険)を一定の小さな値に決めていることであり,買い手に対する保護とは,不良率p1%のような品質の悪いロットが合格となる確率β(消費者危険)を一定の小さい値に決めていることである。
一般には,α= 0.05,β=0.10と決めている。
このことは,合格とさせたいロットの不良率p0%と,そのときに不合格となる割合αならびに不合格とさせたいロットの不良率p1とそのときに合格となる割合βを決めることであり,この2組の値が与えられているときは,次の連立方程式を解いて,サンプルの大きさnと合格判定個数Cを求めることである。
合格としたいロットの合格となる割合は
$$L(p0)=1-α=\sum_{x=0}^{c}{ n \choose x } p0x(1-p0)n-x$$不合格としたいロットの合格となる割合は
$$L(p1)=β=\sum_{x=0}^{c}{ n \choose x } p1x(1-p1)n-x$$
以前は上記計算式を現場で計算する手間を省くために実際に抜取方式(n, c)を設計する場合には,既に上式からサンプルの大きさnと合格判定個数Cが計算されているJIS Z 9002 (計数規準型一回抜取検査) で表で求めていた。
JIS Z 9002でサンプル数を求める! 計算式と付表の違いは?
「JIS Z 9002(計数規準型一回抜取検査)」における (n, c)の求め方における「計算式」と「付表(表による方式)」の違い は、以下のようになります。
「付表(表による方式)」とは
JIS Z 9002の付表(JIS Z 9002の付属書Aや付表1など)には、あらかじめ設定された条件(例えば:p₀, p₁, α, β)に基づいて決定されたサンプル数nと合格判定数cが一覧で記載されています。
特徴:
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即座に使える:表から条件に対応する(n, c)を探せばすぐ使える。
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典型的な条件に限定される:p₀=2%、p₁=12%、α=0.05、β=0.10 などの「代表的な設定」しか記載されていない。
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業務での実用性が高い:品質管理の現場では、これらの代表的な(n, c)をそのまま運用することが多い。
下記の表の欄中の左側の数値(細字)40がサンプルの大きさであり,右側の数値(太字)2が合格判定個数cである。
「計算式による方式」とは
付表に載っていないようなp₀, p₁, α, βなどの任意の値に対応した**最適な(n, c)**を求めたい場合に使われるのが計算式(OC曲線を用いた計算)です。
基本概念:
計数規準型の抜取検査は、二項分布または正規近似に基づいて、
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消費者危険(β)以下でロットが不合格になる確率
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生産者危険(α)以下でロットが合格になる確率
という条件を満たす(n, c)を求めます。
計算式の考え方(簡略):
二項分布または正規分布近似を用いて:
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この式で、p=p₀のとき:P(合格) ≥ 1 − α
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p=p₁のとき:P(合格) ≤ β
これを満たす最小のnとそれに対応するcを試行的に探します(ソルバなど使用)。
違いのまとめ表
比較項目 | 付表方式 | 計算式方式(OC曲線方式) |
---|---|---|
使用条件 | 標準設定のみ | 任意のp₀, p₁, α, βに対応 |
精度 | あらかじめ調整された信頼性 | 精密だが数値解法が必要 |
手軽さ | すぐに使える | Excelやプログラムで計算が必要 |
主な用途 | 実務、標準検査 | 研究、特殊条件での検査設計 |
計算必要性 | 不要(表を見るだけ) | 必要(逐次的に(n, c)を評価) |
-
以前は通常の品質管理業務 → 付表方式が実用的で十分
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より厳密またはカスタム設計したい場合 → **計算式方式(OC曲線)**を使用
*AIが進化した現在、計算式方式(OC曲線)の方が正確で速い!
ChatGPTで計数規準型 JIS Z 9002のサンプル数を求める方法
ChatGPTで JIS Z 9002 計数規準型抜取検査 のサンプル数
と合格判定数
を求めるには、以下の手順に従って進めます。JIS Z 9002は「OC曲線(合格率曲線)」を前提とした検査方式なので、ChatGPTを使って計算を再現できます。
JIS Z 9002 の基本パラメータ
まず、次の4つの条件を定めます:
記号 | 内容 | 例 |
---|---|---|
|
良いロットと考える不良率(合格させたい) | 2%(0.02) |
|
悪いロットと考える不良率(不合格にしたい) | 12%(0.12) |
|
生産者危険(良品を不合格にする確率) | 5%(0.05) |
|
消費者危険(不良品を合格にする確率) | 10%(0.10) |
ChatGPTに指示する方法(プロンプト)
たとえば、次のように指示してください:
JIS Z 9002に基づく計数規準型抜取検査を行いたいです。
条件は以下の通りです:
(良品)
(不良品)
、
上記条件に基づき、ChatGPTで(n, c)を満たす最小の組を求めてください。
近似式(二項分布または正規分布)を使ってください。
ChatGPTの回答
ご指定の条件に対して、二項分布による正確な計算を行った結果、以下のような検査計画(n, c)が最小で条件を満たしました:
最適な抜取検査計画(JIS Z 9002 準拠)
項目 | 値 |
---|---|
サンプル数
|
54 |
合格判定数
|
3 |
|
97.7%(≧ 95%:OK) |
|
9.83%(≦ 10%:OK) |
解釈:
-
不良率が 2%(良品) のロットは 97.7% の確率で合格 → 生産者危険 α=5% を満たす。
-
不良率が 12%(不良品) のロットは 9.8% の確率で合格 → 消費者危険 β=10% を満たす。
「54個抜取り、不良が3個以下なら合格、4個以上で不合格」
という検査方式が、JIS Z 9002の計数規準型一回抜取検査において、指定のリスク条件を最も小さいnで満たします。
下のグラフが、n = 54、c = 3 の抜取検査における OC曲線(合格確率 vs 不良率) です。
読み取りポイント:
- 縦軸(Y):ロットが「合格」と判定される確率
- 横軸(X):ロットの実際の不良率(%)
- p₀ = 2%(左の点線):
- この水準では**97.7%**の確率でロットは合格 → α ≒ 5%以下(OK)
- p₁ = 12%(右の点線):
- この水準では**約9.8%**しか合格しない → β ≒ 10%以下(OK)
比較 Geminiで計数規準型 JIS Z 9002のサンプル数を求める
JIS Z 9002に基づく計数規準型抜取検査を行いたいです。
条件は以下の通りです:
(良品)
(不良品)
、
近似式(二項分布または正規分布)を使ってください。
Geminiの回答
上記の探索の結果、与えられた条件を満たす最小の組 は (65, 3) であると考えられます。
この抜取計画では、65個のサンプルを抜き取り、その中に不良品が3個以下であればロットを合格、4個以上であれば不合格とします。これにより、生産者リスクは0.05以下、消費者リスクは0.10以下に抑えられます。
注意点
- 上記の計算は二項分布に基づいて行っています。
- 最小の組 を厳密に求めるには、より系統的な探索アルゴリズムが必要となる場合があります。
- 実際のJIS Z 9002の規格票には、抜取検査表が掲載されており、これらの表を参照することで適切な抜取計画を容易に選択できます。今回の計算は、規格票の背後にある原理を示すものです。
ChatGPTとGeminiの回答が何故違う?
なぜChatGPTの結果(n=54, c=3)とGeminiの結果(n=65, c=3)が異なるのか? について、
ChatGPTに質問した結果です。
結論から言うと:
GeminiとChatGPTの前提条件または計算手法がわずかに異なるために結果が異なっています。
詳細な理由と可能性
① 判定条件(αとβの境界)に対する「厳密さ」
-
ChatGPTでは
P(p₀) ≥ 1 - α = 0.95
かつP(p₁) ≤ β = 0.10
を厳密に満たす最小のnを探しています。 -
Geminiのロジックでは、やや保守的な計算(例えば、「両側信頼区間を確保」や「より広めのnを選ぶ」)を行っている可能性があります。
たとえば、n=54でギリギリ条件を満たすため、安全マージンとしてn=65を選ぶという判断も一般的です。
② 数値計算の手法の違い
-
ChatGPTでは 二項分布の累積確率(
binom.cdf
)を直接計算して条件を正確に判定しています。 -
一方、Geminiは正規分布近似や計算簡略化手法を使っている可能性があり、その結果としてわずかに大きなnが出ることがあります。
③ 小数点以下の丸め・安全係数の取り扱い
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ChatGPTは「最小のnを探索し、ギリギリ合格ラインを満たすcを選ぶ」という方針。
-
Geminiは「より安全側(余裕あり)」に振っているか、表準拠で安全率込みの数値(例えばJISの付表ベース)を出しているかもしれません。
まとめ表
項目 | ChatGPT | Gemini |
---|---|---|
サンプル数 (n) | 54 | 65 |
合格数 (c) | 3 | 3 |
方針 | 厳密条件で最小探索 | 保守的、安全寄り |
現場での採用性 | 最小で済む | 安全率高めで安心 |
どちらが正しいのか?
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ChatGPTの結果(n=54, c=3)は指定されたα, β, p₀, p₁に厳密に合う最小構成です。
生産者リスク ≈0.0504 (許容限界の 0.05 をわずかに超えています)
消費者リスク ≈0.0994 (許容限界内です)
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Geminiの結果(n=65, c=3)は安全側に寄せた運用向きの結果であり、企業実務ではこちらを採用する場合もあります、両方のリスクを許容限界内に収めています。
*どちらを採用しても実用上、問題ないレベルと判断させます。
まとめ
2022年末に生成AIChatGPT が登場し、大衆向け生成AIブームが始まってから約2年もたたないのにAIの進歩は凄まじい。
2025年5月6日 現時点ではAI ChatGPT及びGeminiの回答は不正解だったが再学習して近い将来は100%正解に近づくと予想される。
後、数年で抜き取り検査のサンプル数、合格判定個数を調べたい場合、AIに的確な条件のプロント文を指示せれば正しい回答が得られる時代が間もなく到来する。
しかし、その時でもやはり 人の評価、レビューが必要であり『抜き取り検査の基本知識』を学んで身につけなければならない!
*抜き取り検査の詳細は下記の記事を参照願いします。

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