AIを使った箱ひげ図の基礎知識
初心者でも理解しやすいように、AIを使った箱ひげ図の基礎知識をそれぞれの特徴・使い方・得意な点を中心に整理しました。
【共通基礎知識】箱ひげ図(ボックスプロット)とは?
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | データの分布・中央値・ばらつき・外れ値を視覚的に把握 |
構成 | 最小値、第1四分位数(Q1)、中央値(Q2)、第3四分位数(Q3)、最大値、外れ値 |
活用例 | テスト結果、製品重量、作業時間のばらつき分析 など |
箱ひげ図の基礎的な知識『箱ひげ図の作成、分析、活用方法』については下記の記事を参照願います。

AI別:箱ひげ図の作成比較表
AIを使った箱ひげ図(ボックスプロット)の作成方法について、ChatGPT、Copilot、Geminiの3種類のAI別に比較してまとめました。
AI名 | 特徴 | 作成方法 | 対応フォーマット | 強み | 弱み |
---|---|---|---|---|---|
ChatGPT | 対話型で手順をガイド | Pythonコード生成(matplotlib/pandas) | Colab, Jupyter Notebook | 対話形式で丁寧に補足説明複数データでの比較・分析提案 | 実行環境は別途必要(例:Colab) |
GitHub Copilot | コーディング補助AI(VS Code向け) | Pythonコードを補完 | VS Code環境(Pythonファイル) | 自動補完で高速開発繰り返し構造や関数定義が得意 | プロンプト設計は不要だが文脈が必要 |
Gemini(旧Bard) | Google製AIでWeb連携強い | Colab向けにPythonコードを出力 | Google Colab、Sheets連携可 | データのGoogleスプレッドシート連携が簡単図表の説明文も生成 | 一部日本語表示に制限あり |
AI別 箱ひげ図を作るときのプロンプト事例
箱ひげ図作成 ChatGPT のプロンプト例
以下のデータから箱ひげ図を作成してください:
[58, 62, 65, 61, 59, 60, 75, 80, 62, 64]
matplotlibを使ったコードを教えてください。
出力されるコード例(matplotlib使用):
import matplotlib.pyplot as plt
data = [58, 62, 65, 61, 59, 60, 75, 80, 62, 64]
plt.boxplot(data)
plt.title("製品重量の分布")
plt.ylabel("重量 (g)")
plt.show()
現在、 matplotlib.pyplot を使用するためにはChatGPTの有料プランであるChatGPT Plusに変更が必要です。
ChatGPT Plusは、無料版の基本機能に加え、より高度なグラフ作成機能であるAdvanced Data Anataysis という機能が搭載されています。
ChatGPT(Plus版)を使えば、CSVファイル などを読み込んで Pythonコードで直接グラフを描くことも可能です。
Pythonコード 実行結果
箱ひげ図は正常にされたがタイトル、軸の日本語文字が文字化けしている。
文字化けの原因
Advanced Data Analysisでグラフを作った時に、日本語が文字化けするという問題があります。
これは、Advanced Data Analysisのグラフ生成ライブラリ「matplotlib.pyplot」が日本語フォントをサポートしていないためです。
しかし、日本語のTTFファイルをダウンロードしてChatGPTにアップロードすることでこの問題は解決することができます。
方法は①Google FontsのNoto Sans Japaneseを利用、ダウンロードし、②ダウンロードされたZIPファイルを解凍し③ChatGPTに好きなフォントのデータを渡します。
ChatGPTに好きなフォントのデータを渡し、プロンプト文を再度 指示させると日本語フォントが正常に表示される。
下記の図は、日本語フォント(Noto Sans JP)を使用して再描画した箱ひげ図です。
黒丸は 外れ値(75と80) を表しており、四分位範囲(IQR)に基づいて自動でマークされています。
箱ひげ図作成 Copilotでの作成 事例
Copilotでは直接グラフを生成することはできませんが、PythonのMatplotlibライブラリを使って箱ひげ図(ボックスプロット)を作成する方法を教えることはできます!例えば、以下のPythonコードを実行すると簡単な箱ひげ図が作成できます。
箱ひげ図 Pythonコード
import matplotlib.pyplot as plt
data = [20, 30, 40, 50, 60]
plt.boxplot(data)
plt.title(“箱ひげ図の例”)
plt.xlabel(“カテゴリー”)
plt.ylabel(“値”)
plt.show()
Google colabでの 箱ひげ図 Pythonコード 実行結果
Pythonが実行できる環境であるGoogle colabを起動しPythonコード貼り付け、実行。
Google colabでの実行結果は下記のとおり
日本語文字化けを修正する為に下記の日本語フォントをインストールするコードは貼り付け、実行。
pip install japanize-matplotlib
次に下記のコードを貼り付けて実行します。
文字化け対策済み 箱ひげ図 Pythonコード
import matplotlib.pyplot as plt
import japanize_matplotlib # 日本語フォント対応
# データの定義
data = [20, 30, 40, 50, 60]
# 箱ひげ図の作成
plt.boxplot(data)
plt.title(“箱ひげ図の例”) # タイトル
plt.xlabel(“カテゴリー”) # X軸ラベル
plt.ylabel(“値”) # Y軸ラベル
plt.show()
箱ひげ図作成 Gemini(旧Bard) のプロンプト例:
Google Colabで以下のデータを使って箱ひげ図を作成するPythonコードを教えてください。
データ:[50, 55, 52, 60, 65, 70, 58]
出力コード例(Colab用):
import matplotlib.pyplot as plt
data = [50, 55, 52, 60, 65, 70, 58]
plt.boxplot(data)
plt.title('データの箱ひげ図')
plt.show()
日本語文字化けが発生したら既に解説したCopilotでの文字化け対策を実行する。
結果は下記の図の箱ひげ図が作成される。
活用ポイント
活用シーン | 推奨AI | 理由 |
---|---|---|
初心者向けに丁寧な説明がほしい | ChatGPT | 図の読み取り方も説明してくれる |
コーディング中に効率よく補完したい | Copilot | VS Codeとの連携で効率化 |
Google環境で作業したい | Gemini | Colab・スプレッドシートと連携可能 |
事例で学ぶ~AIでの箱ひげ図作成、分析
■ 活用事例②:アイス工場の製品の重量
アイス工場では、製品の重量が規格内に収まっているかを確認するために、1日10個のアイスバーの重量(g)を測定、箱ひげ図を作成。
ChatGPTへのプロント文
データ = [58, 62, 65, 61, 59, 60, 75, 80, 62, 64]
「上記の重量データから箱ひげ図を作成し、異常なアイスがあるか分析してください。」
*ChatGPTからの回答は下記のとおり。
四分位数と外れ値の分析
指標 | 値 |
---|---|
第1四分位数(Q1) | 60.25 g |
第3四分位数(Q3) | 64.75 g |
四分位範囲(IQR) | 4.5 g |
下限(外れ値の閾値) | 53.5 g |
上限(外れ値の閾値) | 71.5 g |
外れ値 | 75 g, 80 g |
結論:異常なアイスの存在
- 75gと80gのアイスは、上限値71.5gを超えており「外れ値」と判定されます。
- この2個は他のアイスと比べて明らかに重いため、製造工程における計量ミスや機械のズレが疑われます。
改善提案(例)
- 計量機の定期校正:重量の偏りが生じていないか確認。
- 製造工程のヒヤリハット記録と突合:この日の製造記録と照合して背景を把握。
- 再発防止策としてのPoka-Yoke導入:重量過多時に自動排除される仕組み。
■ 活用事例②:株価の月ごとの比較
下が「月別株価の分布(箱ひげ図)」です。以下に図の読み取りポイントと株価予想への応用方法を分析します。
ChatGPTへのプロント文
株価の複数期間での箱ひげ図を作成して図の読み取りポイント、株価予想への応用方法について分析してください
図の読み取りポイント
観点 | 解説 |
---|---|
中央値(箱の中心線) | 各月の「代表的な株価水準」。2月~4月にかけて上昇傾向が確認できます。 |
箱の高さ(四分位範囲) | 値動きの大きさ。2月~3月は比較的狭く、4月は広がっており「変動が拡大」していると読み取れます。 |
ひげの長さ(最大・最小値) | 市場の上下限の振れ幅。4月は高値圏で振れ幅も大きく、ボラティリティの上昇を示唆します。 |
外れ値の有無 | 今回は外れ値はなく、比較的安定した月次推移が見られます。 |
株価予想への応用方法
- トレンド分析
- 中央値の上昇が継続すれば「上昇トレンド」と判断可能。
- 特に3月→4月での上昇角度が強く、5月も同様の流れが続く可能性がある。
- ボラティリティ(変動性)の活用
- 4月のようにIQRが広い月は「短期売買チャンスが増える」。
- トレーダーはこの期間を注視して日中の価格変動を活用。
- リスク管理
- 変動が大きい月は逆張りや損切ラインを厳密に。
- 安定的な2月のような期間は中長期の保有向き。
- 異常検知
- 外れ値が出現した場合、それはニュース・イベントなどの影響であることが多く、翌月の注意指標となる。
戦略例:
タイプ | 戦略 |
---|---|
投資家(長期) | 中央値が安定して上昇している期間を選んで仕込む |
トレーダー(短期) | IQRの大きい月に集中投資し、ボラティリティを活かす |
リスク回避型 | 変動の少ない月を選び、ディフェンシブな運用に徹する |
■ 活用事例③:小学校のクラス別数学テスト点数分布(箱ひげ図)
背景:ある小学校の先生が、同じ数学テストを複数のクラスに実施した。
目的:各クラスの理解度や点数の偏りを視覚的に把握したい。
下が「小学校のクラス別数学テスト点数分布(箱ひげ図)」です。
図の読み取りポイント
クラス | 読み取りのポイント |
---|---|
A組 | 点数の中央値が80点で比較的高い。ばらつきも小さく、安定した学力層。 |
B組 | 全体的に得点が低く、中央値も66点。IQR(ばらつき)がやや広く、理解度に差がある可能性。 |
C組 | 90点台で揃っており、全体的に優秀。教師の指導法や生徒の学習姿勢が高いレベルにあると考えられる。 |
D組 | 平均点・中央値が50点台と低く、支援の必要なクラス。ただし分布は安定しているため、全体で底上げを狙える。 |
改善点と提案
クラス | 改善の方向性 |
---|---|
B組 | 中間層の理解度アップが鍵。復習ドリルや小テストで定着度を高める。 |
D組 | 基礎学力の再構築が必要。個別指導や補習の導入を検討。習熟度別授業も有効。 |
全体的に | 箱ひげ図から、クラス間の指導効果の差が明確。指導法や教材の見直しに活用できる。 |
教育現場への活用法
- 教師間での比較分析:指導の成果を視覚化して共有。
- PTA・保護者説明資料としても有用:学習支援の必要性を納得してもらいやすい。
- 個別支援の優先順位づけ:D組のように全体が低い場合と、B組のようにばらつきがある場合とで対応を分ける。
箱ひげ図作成(Excel・専用ソフト・AI ChatGPTの違い)
-
Excel:初心者向けで手軽だが、分析力は限定的。
-
専用ソフト:統計専門家向けで、強力な分析と視覚化が可能。
-
AI(ChatGPT):データ分析+文章解説が一体化しており、非専門家でも理解しやすく、レポート作成にも強いのが最大の利点。
箱ひげ図作成方法の比較表
比較項目 | Excel | 専用ソフト(R, SPSS等) | AI(ChatGPTなど) |
---|---|---|---|
作成の難易度 | 低(基本操作で可) | 中〜高(統計知識が必要) | 低〜中(プロンプト設計が重要) |
カスタマイズ性 | 限定的(凡例、色、外れ値の設定など) | 高(詳細な設定が可能) | 高(コードベースで柔軟に対応) |
分析機能 | 最小限(視覚化のみ) | 非常に高い(回帰・検定なども可能) | 高(可視化+文章による解釈が可能) |
外れ値の検出 | 手動で確認する必要あり | 自動抽出可能 | 自動で判定し説明も可能 |
データ量の限界 | 数百件程度まで | 数万件まで可能 | 数万件でも処理可能(ツールによる) |
出力形式 | グラフ画像(Excel形式) | グラフ+統計レポート | グラフ+文章解説、レポート化も可能 |
初期コスト | 無料(Office使用者) | 有料(ソフトやライセンス必要) | 無料〜(ChatGPT Plus等で向上) |
学習コスト | 低(誰でも扱える) | 高(統計知識・操作スキル必要) | 中(プロンプトと構文理解が必要) |
*AI ChatGPと以前の既存の箱ひげ図作成ソフトの大きな違いは改善点までも回答してくれること、最終的にはChatGP回答してくれた改善点を採用するかどうかは人であるが人が考えつかなかった色々なアイデアを提起してくれる。
【まとめ】AI×箱ひげ図は現場改善の新しいツール
AIによる箱ひげ図の作成と分析は、データの分布や異常値を視覚的に把握するのに非常に有効です。短時間で多量のデータを処理し、中央値・四分位範囲・外れ値を自動で抽出。教育・製造・金融など多分野での品質管理や成績評価、リスク分析に活用されます。視覚的なレポート出力も可能で、現場の意思決定支援に貢献します。
しかし、いくらChatGPTが賢くても、現場の状況や背景事情を理解して判断するのは人間の役割です。
又、『箱ひげ図での株式投資での成功事例』をnoteに投稿しました、ご参考 願いします。

コメント