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「標準」、「標準化」と「規格」の違い【イラスト図解】

「標準化」と「標準」、「規格」の違い
「標準化」と「標準」、「規格」の違い
この記事は約11分で読めます。

 組織活動の改善  |品質トラブルの阻止

これはしはしばしば標準化において見過ごされている.活動の結果が不満足なもであったとき,その原因が明らかになるということは再発防止,レベルの向上という見地からきわめて大切なことである.標準化という面からみると不具合の原因は

・標準が決められていなかった。
・標準が決められていたが,適切でなかった。
・標準は適切であったが,標準どおりやられなかった。

のいずれかに分類できる.標準どおり作業が進められたにもかかわらず,不具合が発生するということは標準が悪いということである。悪さの原因を除去し標準を改訂することにより,いっそうレベルの高い標準を得ることができる。

組織の技術を維持するものは組織が擁する技術者と技術標準であるが,組織としての技術は標準に蓄積される.個々の失敗が不良の手直しだけにとどまったり,技術者の個人的体験で終わってしまっては組織としての技術的進歩はない。
失敗を通して標準が改訂されることによって改善が進み,技術レベルの向上が行われる。

トラブルが発生した場合,その原因は上に示した3つのどれに該当するかを分析しその原因を除去することが必要である。このプロセスを図で表すと下図のようになる。標準を基準とし,標準どおり作業を行うこと,不適切な標準は改訂することによってトラブルを予防し,再発防止を確実に行うことは組織の管理者の重要な仕事の1つである。常に標準に立ち戻って考えていくこと,これが標準によるマネージメントである。

 SDCAのサイクル |標準 実施 チェック 処置

標準を設定し(Standardize),実施し(Do),その結果をチェックし(Check)問題があれぱ是正処置をとって(Act)再発を防止する、この活動はくり返し行われ,サイクルを形成するのでSDCAのサイクルあるいはSDCAのループとよぱれる。このループが回されること,サイクルがくり返されることによって作業は確実で効果的なものになっていく。

SDCAのサイクル 

SDCAのサイクル

 

標準によるマネージネントが行われない組織ではトラブル発生した時には「何が」原因かではなく「誰が」やったかが問題になり,トラブルを起こした人間が叱責される。この経験は組織に蓄積されないばかりではなく,部下からの歪んだものになり,管理者の現状の把握が不正確になり,判断を誤り,問題がまた次の問題を生み出すにいたるのである。

規則の順守

規則の順守

 

 標準のマネージメント |文書化 教育訓練 改訂

標準によるマネージメントは組織活動を確実なものにし,その改善を行う場合の基礎である。標準によるマネージメントを有効なものとするためには標準のマネージメントが行われなければならない。

標準は標準書として文書化されなければならない。

定められた標準は文書化され登録されなければならない。標準書を作る作業はたんに定められたことを文書化するだけの、あまり価値のない仕事と思われがちである。しかし文書化された標準は仕事の管理、改善、改善の維持のベースを構築するもので組織における仕事の管理、改善のための不可欠な道具である。標準書によって工程が定義され作業方法が正式なものとなり必要な変更がマネージネントの管理下において行われ改善が蓄積されていくのである。

文書化されていない組織活動は継続しない、人の異動によってこれまでの方法が忘れられてしまう。たとえ良い方法が開発されてもそれが文書化されてなければ担当者がいなくなればその方法は消滅してしまう。

標準が守られるためには教育訓練が必要である

標準化の効果は,それが守られてはじめて現れる.標準が守られるためにはそのための教育訓練が確実に行われなければならない.関係者にどういう標準がるかをまず知らせなければならない。

われわれは杜会生活を営むにあたって多くの法律に囲まれているが,社会生活における法律と企業における標準とは同じものではない。社会生活における法律はそれに抵触すれば罰せられるが常識的に振舞っているかぎり全ての法律を知らなくても処罰されることはまずないのである。それに対し,技術標準はそれから外れると必ず問題になるといえるほど厳しいのである。

何人も熱力学の法則を無視してエンジンの設計はできないし,応用力学の法則を知らずしてビルディングを建てることはできない。

社会生活における法律と,技術における標準は,それにかなう範囲の幅が大きく異なることを知らなければならない.法律を知らずして杜会生活を営めても,技術標準を知らずして設計はできない.すべての設計者,作業者が自己の業務に関する標準を良く知っていることが品質管理の基本である。

標準は改訂されなければならない.

先にも述べたように自然に定まってくるものと定めなければならないものがある、こで自然に定まってくるという意味は,われわれの行動が経済的に最適化をねらう結果として定まってくるのである、標準ある時点において最適なものであっても,標準を適用すべき対象およびその環境は動いており,標準で抑さえている範囲は最適点からずれてくる.使用条件の変化,新用途の開発,新材料の出現などによって従来の基準は適切でなくなってくる。

たとえぱ,新しい道路が通り,地下鉄が建設されれぱこれまでの通学方法は必ずしも最適なものではなくなるかもしれない。技術進歩,周囲の環境の変化に常に気を配り,現在において最適な方法が標準となっていなければならない。
標準の見直しと改訂は標準によるマネージメントにとって不可欠な要素である。

計画と標準について | 計画,実施,チェック,処置のループ

管理とは,標準または計画,実施,チェック,処置のループを回すことである.管理活動には2つの種類があり,これによって活動の内容が変わってくる。
第1は,部品寸法,締め付けトルク,炉の温度などを管理する場合で,目標が一定値で,それを上まわることも下回ることも望ましくない場合である.規準値からのズレをできるだけ小さくすることが管理活動の主体となる.作業にくりかえしがあり,目標を達成するための適切な方法,条件が見つけだされたら,それと同じ方法,同じ条件で作業をくり返すことが基本になる.同じ作業をくり返すことによって,同じ結果が容易に得られるからである.標準を設定し,それしたがって作業が行われる。

工場の製造現場管理

工場の製造現場管理

 

第2は,原価低減や売上増大などのように,目標を現在の水準よりよいところにおき、これを達成するために必要な活動を行っていくものである.現状を変える、ところにねらいがある.改善の対象となる活動は生産、販売などくり返し行われる活動であるが,改善活動そのものは1回かぎりである.コスト低減活動はどの企業においても毎年くり返し行われているけれども,その作業要素は同じでない.ある活動によつてコスト改善がなされた場合,次のコスト低減はその結果を踏まえて生まれた新しい現状をさらに変えることになるので,同じ作業ががくり返されることはない.目標を達成するために作業が試行錯誤的行われることがあり,目標を達成すればその活動は終了する。

現状維持の活動の管理において標準の完成度が高い場合は標準が従来のの実積を踏まえてその経験を通じてもっともよい方法、手順として定められているので長期的にはともかく短期的には管理の対象はまず実施の段階に向けられる.標準どおり作業が行われているかどうかが主要な問題となるのであるしかし、改善あるいは現状打破の管理活動にあっては計画がきわめて重要である。計画は将来における未知要素を織り込んで作成されるため,計画そのものの妥当性が必ずしも十分でないこともあり,実施の段階を経て計画の見直しが必要になることが少なくない。

改善は徒来からやっている活動を,いっそう望ましいやり方に変えていくことである。改善の対象になる活動はなんらかの意味でくり返し行われる活動である。一回かぎりの活動に対しては改善を行うことはできない。活動がくり返し行われるとき,そのくり返しを通して改善が積み重ねられると,活動は漸次正確で能率的に行われるようになってくる。

PDCAのサイクル  | 計画  実施 チェック 是正処置

改善を行うにはまず計画を策定し(Plan),実施し(Do),その結果をチェックする(Check).チェックの結果,計画または実施上の不具合が見出されれば是正処置をとる(Act).この結果,当初の計画に手直しが施され,新しい計画について再び実施,チェック,是正処置が行われる。
品質改善はPlan,Do,Check,Act(PDCA)のサイクルを形成する(図3-2).

PDCAのサイクル

PDCAのサイクル

 

 

計画(Plan)

計画,実施,チェック,是正処置の中でもっとも重視しなければならないのは計画である.計画さえよければ他はどうでもよいというわけではないが,他の要素は計画に応じて定まるので,計画が不適切であればそれに続く活動はすべて不適切なものになる.最初の計画が適切であればそれだけ是正処置が少なくてすみ,活動がより効率的なものとなる。

計画の策定にあたっては改善に利用しうる資源,すなわち,人,物,資金に関する条件,実施期間などの制約条件を明らかにし,その中で可能な方法を検討する。必要な場合は制約を弛めることも合せて検討する。検討されたいろいろの案の中でもっともよいと思われる方法を実行計画として決定する。
また計画がよかったかどうか,計画どおり実施されたかどうかをチェックおよび評価する方法を計画の一部として定めておくことが大切である。

実施(Do)

計画の策定が完了すれば,その実行に移る。
実施を完全なものにするためには
(ⅰ)実施担当者にその仕事の目的とその必要性が十分に認識されていること
(ⅱ)実施担当者に計画の内容が完全に伝達されていること
(ⅲ)実施こ必要な事項の教育・訓練が行われること
(ⅳ)必要な資源が必要な時期に投入されること
が必要である。

 

チェック(Check)

実施結果をチェックし,その評価を行う場合,次の2つは区別して評価しなければならない。

すなわち
(ⅰ)計画どおり実施されているかどうか。
(ⅱ)計画がよかったかどうか。

 

目標が未達の場合その原因は上の2つのいずれか,または両方にあるが,その区別は明確にしておかなければならない。というのは原因がどちらであるかによって打つべき是正処置がまったく異なるからである。

現場設備の定期保全管理

現場設備の定期保全管理

 

是正処置(Act)

是正処置をとるにあたっては,現象の除去と原因の除去を明確に区別しなければならない。

不良の手直し、作業の遅れの残業による回復などはいずれも現象に対する処置である。遅れの原因が品質不良にあるならば不良の防止を図らなければならない。遅れの原因が設備故障によるものであれば,設備保全の方法を見直し故障による影響の低減を図らなければならない.目標未達の原因が計画の不備にある場合は,たんに計画を変更するだけでなく,どうしてそのような不備な計画が策定されたかの原因を究明し,計画立案の質の向上が図られなければならない。
着実な前進は現象の除去ではなく,原因の除去によって達成される。

標準が整備され,それが遵守されている組織は,組織の運営の面から見た限りレべルの高いということができる.しかし,組織が計画的に継続的に仕事のやり方を改善していくシステムを具備するとき,組織活動はいっそう確実で効率の高いものになる。
表3.1は組織活動をその運営のやり方からみたときのレベルを示したものである。

組織を効果的に動かすためには維持と改善の2つの活動がバランスよく行われることが大切である.標準にもとづく活動は,組織的活動においてはすぺての活動の基礎となるものであり,これを軽視することはシステムの効率を悪くする。

しかし,これのみによる活動は組織の活性化を阻害し,改善はおろか標準による活動の確実さをも低下させるのである.現状維持を確実にすることは進歩発展を阻害することではない.現状の中には常に進歩発展の要素が内包されており,現状の維持を確実にすることによって,改善すべき事項が明確になり改善活動が進むのである.改善により新しい局面が生まれると,その局面での維持活動が始まり,そこで次の改善が行われる.現状維持といっても,現状は静的なものではなく,常に動いており,この動きを確実に把握することによって活動の動機が与えられるのである。

標準化と改善という言葉は相反する言葉のように思われる。しかし,これらは相互に深い連係を持つものである。すなわち図3.3に示すように標準は改善結果であるとともに,次の改善への出発点である。

standard4

 

まとめ

標準」は、共通の基準であり、「標準化」は、その基準を定める活動です。標準化によって、私たちの生活はより便利で安全なものになっています。

そして規格は標準化の結果として得られる具体的な基準です。

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