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PDCA

PDCAサークル 

PDCA      PDCA cycle   【イラスト図解】

英語:PDCA cycle       中国語:PDCA循环法

PDCA サイクルとは

管理サイクル PDCAとはマネジメントサイクルの一つの手法。

効果的に効率よく目的を達成するための活動を,計画(plan),実施(do),点検 (check),処置(act)の反復から構成する経営管理の基本的方法。

PDCAサイクル,管理サイクルあるいはデミングサイクルともいわれる。

従来の経営学でplan-do-seeといっていたサイクルを,デミング (W.E.Deming)や石川馨がseeの段階を見るだけでなく,checkとactに分け,課題の是正や再発防止処置を直ちに行うように指導したことに由来する。

  デミングが最初に示したサイクルは,設計一製造一検査・販売-サービス・調査という製品のプロセスであったが,それが一般にPDCAとしてサイクル化された.石川馨は,計画と実施の段階を更に分けた下図のモデルを提唱した。

従来,actの段階はactionといわれていたが,IS0 14001 環境マネジメントシステムの構造に採用された頃から,PDCAを動詞形にそろえるようになっている.

PDCA

PDCA

 

引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会

PDSとPDCAの違い

管理サイクルPDCAに似ているフレームワークとして、PDSサイクルと呼ばれるものもあります。 これはPlan(計画)・Do(実行)・See(振り返り)の略で、PDCAにおけるCAと「S」にまとめたものです。

PDSは、以下3つの頭文字を取っています。

・Plan(計画):目的に合わせて計画を策定
・Do(実行):計画を実行に移す
・See(評価・見直し):実行した結果を評価・分析する

この通り、PDCAにおける「評価」「改善」の過程を1つにまとめたのがPDSサイクルです。
PDCAよりも迅速にサイクルを回せるため、小規模なタスクや短期プロジェクトなどの業務改善に適しています。

PDSサイクルは管理サイクル(PDCA)が開発される前の経営手法です。

PDSサイクル

PDSサイクル

 

PDCAサイクルの欠点

業務改善で幅広く用いられているPDCAですが、そのサイクルが上手く回らないことも多々あります。原因の1つに最初のステップであるP(計画)が難しい点です。

計画の立案に時間がかかり過ぎたり、立案できてもD(実行)以降のステップに繋げられずにつまづいてしまったりするのです。また、現状把握がないまま計画を立てることになるため、無理がある計画になりやすく失敗してしまう可能性があります。

データ不足などによってD(実行)の後にC(振り返り)やA(改善)まで繋がらないことも、PDCAが上手く回らない原因になります。さらに、現在は先行きの予測が困難な時代になっており、P(計画)にあたって先行きの予測が重要なPDCAでは対応しきれなかったり、時間やコストがかかり過ぎてしまったりする場合もあります。

PDCAの欠点

PDCAの欠点

 

CAPDとPDCAの違いは

CAPDo (キャップ・ドゥ)とは、難度の高い計画を最初に立てるPDCAに対し、PDCAの順番を変えて「C(=Check)」を最初にもってきた改善サイクル手法です。 つまり、改善の前にまず現状の把握を行おうというわけです。

CAPDoでは「C(現状把握)→A(改善)→P(計画)→Do(実行)」の順で、最初は問題を把握するところから取り組みます。

計画が「机上の空論」になってしまうことを防止し、現場に適応した実行プランを立てられる点が利点です。

また、計画の立案に時間をかけすぎず、「即、実行」というスピード感を重視したい場合にもCAPDが適しています。

C:Check(現状把握、振り返り)
最初の段階であるCでは、現状の問題点の把握や振り返り、評価を行います。
A:Act(改善)
Aでは、Cで把握・評価した内容をもとに改善案を検討します。
P:Plan(計画)
Pでは、Aでの改善案をもとに具体的な計画を立案します。
D:Do(実行)
Dでは、Pで立てた計画に基づいて実際の業務を実行します。

CAPDo (キャップ・ドゥ)

関連記事:QCストーリー

 

PDCAサイクル なぜ古い?

PDCAはビジネスで一般的に活用されるフレームワークですが、PDCAは時代遅れであるともいわれるようになりました。

その理由は、PDCAが、回しきるまでに時間がかかりすぎてしまうことや、あくまでも現行の業務やプロセスを改善するものであるためとされています。

社会情勢やビジネス環境が目まぐるしく変化する現代において、企業がさらなる成長を遂げるためには、課題を対処するスピード感や、競合企業の上を行く革新的なアイデアが求められることから「PDCAは時代遅れ」といわれるようになったのです。

PDCAサイクルに代わる新たな業務改善手法

PDCAには利点があるものの、改善に時間がかかり、新たなアイデアが生まれにくいといった欠点もあります。

そのため令和の時代においては、PDCAのデメリットを補填した新たな業務改善の手法が求められているのです。

今注目されている代表的な4つの手法を一覧にしてご紹介。

新たな業務改善手法 特徴
OODAループ 迅速な意思決定により最速で目標達成を目指す
PDRサイクル 計画を立てずに、とにかくやってみる
STPDサイクル 目標と現状のギャップを抑える
DCAPサイクル 行動による情報収集をもとに次の計画を立てる

OODAループ

OODAは「ウーダ」と読み、仕事や学校教育の場で活用される「意思決定」にかかわる考え方を指します。

OODAループは、以下の頭文字を取って作られた言葉です。

Observe 観察
Orient 状況判断
Decide 意思決定
Act 行動

OODAループの起源は遡ること約50年、1970年代にアメリカ空軍大佐であり軍事戦略家のジョン・ボイド氏によって提唱されました。

ボイド氏は、戦闘においてどんな状況下でも40秒以内で形勢を覆すことができたため「40秒ボイド」の異名を持っていたといわれています。

つまり、先行きが不透明な状況でもすばやい意思決定とスピーディーな行動が、40秒ボイドの由来でもあり、OODAループの起源でもあると考えられているのです。

顧客ニーズや社会情勢の変化が激しい令和の時代に、迅速な意思決定により最速で目標達成を目指す手法といえるでしょう。

PDCAとOODAの違いは、以下のように分けられます。

PDCA OODA
目的 業務改善 意思決定
重点 結果とプロセス 迅速な判断と行動力
視点 中長期的 短期的(=即時判断)

OODAループは常に戦況が変化し、命を守るために瞬時の判断が求められる戦場で生まれたという背景があります。

PDRサイクル

PDRサイクルとは、PDCAサイクルよりも早く簡単に「仮説検証」を行えるマネジメント手法です。そのため、PDCAサイクルの弱点を補った手法ともいえるでしょう。

PDRサイクルは、2011年にハーバード・ビジネス・スクールの教授であるリンダ・ヒル氏が提唱した考え方で、以下の頭文字を取った言葉です。

Prep 準備
Do 実行
Review 評価

PDCAサイクルは段階が4つあるのに対し、PDRサイクルには3つしかないことや、準備をしたらすぐにサイクルを回すため、よりスピーディーにサイクルを回せることが特徴です。

そのほか、PDCAとPDRの異なる点には以下が挙げられます。

PDCA PDR
計画 立てる 立てない
行動 計画に沿った行動 即時行動
評価 進捗や達成度の確認 担当外の人から意見を取り入れて改善

緻密に計画を立てるPDCAサイクルとは異なり、PDRサイクルは計画を立てずに「とにかくやってみる」ことを重視するフレームワークです。

PDCAサイクルは前例をもとにした改善を繰り返すことが多いため、新たなアイデアが生まれにくいということがデメリットとして挙げられます。

一方で、PDRサイクルではReview(評価)段階で、担当外の人による客観的な評価を取り入れて改善するものであるため、PDCAのデメリットを補填したフレームワークです。

STPDサイクル

STPDサイクルとは、計画を立てる前の「現状把握」を重視したマネジメント手法です。

STPDサイクルは、ソニー株式会社の常務取締役を務めた小林茂氏が提唱した考え方で、以下の頭文字を取った言葉です。

See 観察
Think 考察
Plan 計画
Do 実行

See(観察)とThink(考察)が段階分けされているように、目標と現状の差を分析してから計画を立てることから、管理職向けのマネジメント手法として位置づけられているようです。

 

PDCAとSPTDの違いには、以下が挙げられます。

PDCA STPD
サイクル 時間をかけて、ていねいに回す 精度を高めて、早く回す
現状とのギャップ 大きくなりやすい 小さくなりやすい

PDCAサイクルに起こりがちな失敗例として、最初に目標を高く設定しすぎることが挙げられます。高すぎる目標を設定してしまうと、現状とのギャップが生まれ、計画通りに進められなくなってしまう可能性があります。

STPDサイクルがPDCAサイクルと大きく異なるのは、Plan(計画)の前に観察と考察を行うことです。つまり、先入観などの抽象的な判断ではなく数値や結果といった事実を、まずは「見て」「考える」ことを重要視しています。

DCAPサイクル

DCAPサイクルとは、PDCAサイクルの順番を変えたマネジメント手法です。

DCAPはDo(実行)からスタートすることが特徴で「考えるよりもまずは行動する」ことを重視しています。

PDCAとDCAPの違いは以下の通りです。

PDCA DCAP
重点 Plan(計画) Do(実行)
行動までの時間 遅い 早い
変化への対応 対応しにくい 対応しやすい

PDCAサイクルは、計画立案に重きを置くため行動までに時間がかかり、1つのサイクルを回し終えるまで新たな課題や問題点の解決に対応できません。

一方DCAPサイクルは実行に重きを置くため、まず行動し、市場ニーズや競合他社の動きを把握したうえで、改善するための計画を立てられることが特徴です。

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