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バランストスコアカード

バランストスコアカード

バランストスコアカード balanced score card 【イラスト図解】

英語:balanced score card        中国語:平衡记分卡

バランストスコアカード(BSC)とは

 経営諸活動を多面的かつ多元的な視角から分析し,戦略を実践するための具体的なアクションを識別し管理することを意図した経営ツールのことで,同時にその成果をも定量的に示すことで業績をドライブ(牽引)するマップ(道筋)を示すことも狙いとしている.

 スコアカードとは,本来は「成績表」 あるいは「通信簿」といった意味だが,バランストスコアカードは単なる成績表ではなく,文字どおり「バランスのとれた」それと呼ばれるのは,組織業績を生 み出すさまざまな要因を,「財務」,「顧客」「業務プロセス」そして「学習・成長」という四つの視点の中にちりばめて,それらの関係性として表現するからである.

 したがって,バランストスコアカードは単なる「業績評価」のツールではない.むしろ,それは戦略の実践が期待どおりの成果を上げるように,企業行動そのものを作り込んでいこうとするプランニングツールであるといったほうが適切である.ただし,単なるプランニングツールかというと,これまた的を射た表現とはいえないであろう.というのも,バランストスコアカードが目指すのは組織全体の戦略の実現することであり個別のプランを練ることではないからである.

 そこで,まず組織のビジョンや基本戦略が確認されて,それぞれのSBUが担うべきミッションをベースにさまざまなプランが練られ,更にそれらを四つの視点の関係性の中で体系的に整理していくのである.

このように,バランストスコアカードは,戦略を具体的なアクションとして展開し,それらを有機的に関連付け整理するための方法論を提供する.

バランストスコアカードが,しばしば「戦略マネジメントシステム」と称されるゆえんもそこにある.

引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会

 

バランススコアカード(BSC)  わかりやすく

バランススコアカード(BSC)とは、企業の業績評価や経営戦略を財務の視点だけでなく、より多角的な視点から評価する手法です。

「財務」に加えて、「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点から多角的に分析しようとするものです。

バランススコアカード(BSC)は、ハーバード大学教授である、R・S・キャプラン氏と、コンサルティング会社社長の、D・P・ノートン氏の二人により1992年に提唱されました。

バランススコアカード(BSC)が提唱された背景には、高度化・複雑化するアメリカ国内のビジネス環境があります。

「VUCA時代」と呼ばれる予測できないビジネス環境は、アメリカにとどまらず世界中の潮流となりました。こうした背景のなか、従来の財務指標中心の業績評価の欠点を補う手法として、バランススコアカード(BSC)が注目されるようになったのです。

バランススコアカード(BSC)4つの視点

バランススコアカード(BSC)を構成する、4つの視点について解説

バランススコアカード(BSC)4つの視点

バランススコアカード(BSC)4つの視点

 

財務の視点

一つ目は財務の視点です。株主・従業員をはじめとしたステークホルダーの期待に対し、収益面での成功をどのように導き出すかという視点です。企業として、収益を追求するための視点ともいえます。財務面はステークホルダーからの評価に直結するものです。

主な評価指標の例

・売上額
・利益額
・利益率
・自己資本比率

顧客の視点

顧客からの支持を得るための行動を決める視点です。自社の戦略実現に向け、どの層の顧客に、どのようなアクションを起こし、支持を獲得していくのかを決めていきます。「どうすれば顧客に喜んでもらえるか」、と考えるとわかりやすいかもしれません。

主な評価指標の例

・顧客満足度
・リピート率
・市場占有率
・顧客獲得率

社内業務プロセスの視点

財務視点・顧客視点の評価を向上させるために、社内の業務プロセスをどのように構築・運用していくかといった視点です。顧客面では、顧客の要望に十分に応えられているかといった視点で業務プロセスを評価します。 財務面では、生産性向上やコスト削減における、業務プロセスが評価の対象となるでしょう。

主な評価指標の例

・新商品の売上高(シェア)
リードタイム
・不良品発生率
・レスポンスタイム

学習と成長の視点

経営戦略実現(財務・顧客・業務プロセスの戦略目標達成)のために、組織と人材の変化対応力や学習能力をどのように進化させるのかといった視点です。従業員のモチベーション向上や、能力開発といったソフト面への働きかけが中心となるため、単年度の成果を期待するよりも長期的に考えるべき視点といえるでしょう。

主な評価指標の例

・モチベーション指数
・従業員満足度
・エンゲージサーベイ
・従業員定着率

 

バランススコアカードの利点

バランススコアカード(BSC)のメリットは、企業を取り巻く環境をあらゆる側面から検証し、より精度の高い経営判断が可能になる点にあります。 具体的には、以下4つのメリットが考えられます。

・戦略や業績を多角的な視点で分析できる
・戦略を業務活動に具体的に反映できる
・バランスのとれた経営改善が継続できる
・新たなビジネスの創出につながる

バランススコアカードの具体的事例

モービルでは1995年以降原価低減と生産性向上によるコストリーダーシップだけでは競争優位性を継続していくことが困難と考え、「プレミアムガソリンの販売拡大」と「ガソリン以外の商品・サービスによる売上の拡大」を目指しバランススコアカードを導入しました。

当時6%だった使用総資本利益率を12%へするという高い財務目標を掲げ、その目標を達成するために財務の視点の戦略目標に収益性向上と生産性向上を設けました。

導入から4年後の1998年には使用資本利益率は16%と飛躍的に改善され、バランススコアカードの導入成功例として有名です。

モービルのバランススコアカード導入結果

導入前 導入後
使用総資本利益率
(導入4年目 1998年)
6% 16%
利益額 最下位 最上位
売上成長率 2%アップ
1ガロンあたりの費用 20%減
環境安全事故 20%減
歩留、設備休止時間 70%削減
従業員の戦略意識、参加意識 20% 80%
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