食品工場設計時の品質管理

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食品工場のトイレ

工場内のトイレは大きく3種類ある

工場内のトイレは、外部者と事務所の作業者専用のトイレ、従業員が作業着に着替える前に使用するトイレ(下図②)、作業着に着替えた後に使用するトイレ(下図①)の3種類があります。
 従業員は工場に出勤して玄関から入るときに靴を脱ぎます。脱いだ靴を下駄箱に入れ、通常はここでスリッパなどに履き替えますが、思い切って靴下のまま図の管理棟、食堂を歩くようにします。床面に力ーペット等を敷くと靴下のままでも抵抗なく歩くことができます。

そうすると、トイレに入るときのみトイレ専用のサンダルを履けばいいことになります。

②のトイレは、作業着では絶対に入らない約束にします。さらに、昼休みの運用としても「作業着の上着を着て食堂にいてはならない」というルールにしておきます。

①のトイレも同じように、作業着の上着は必ず脱いで使用するようにします。サンダルに履き替えたときに作業着のズボンの裾が床につかないよう、作業着自体の裾がしぼむ構造にするか靴下を上に被せる必要があります。

②のトイレは誰でも使用できるようにしますが、①のトイレは体調不調時(下痢など)は使用しないようにする必要があります。

手を触れることなくトイレのドアが開けられる

 デパートのトイレは、個室以外はドアがない場合がありますが、食品工場のトイレは保健所の指導などでドアが必要な場合があります。

そこでドアを付ける場合は、手を洗った後、ドアノブに触れることなく開けられることが必要になります。単純に自動ドアにするのではなく、手を洗うときに①洗剤を出し、②水で手を洗い、③ジェットタオルで手を乾かし、①アルコールを噴霧した結果、⑤自動ドアが開く、というようにすれば、手を洗わないとトイレから出られなくなります。
 トイレで手が触れる箇所、ドアノブ、ドア、個室の鍵等は容易に洗浄が行えるよう、ステンレスで簡単な構造にします。特に便座は、いつでも清潔さを保つように、壊れていなくても定期的に交換する必要があります。

食品工場 トイレ

食品工場 トイレ

食品工場の照明設備

破損しても破片が飛び散らないカバーが必要

 工場設備で使用する照明設備は、破損した場合でもそ破片が飛び散らないような工夫が必要です。通常は蛍光管を使用しますが、蛍光管自体は破損するので、破損時に破片が作業現場へ落ちないよう、カバーを取り付けます。

このカバー付きの照明設備を、後から天井に取り付けると、埃などが照明設備についてしまう場合がありますが、天井埋込み式にしてしまえば埃なども防げることになります。

食品工場 蛍光灯 カバー

食品工場 蛍光灯 カバー

ウォークイン冷蔵庫内などで使用する照明設備も破損しない工夫が必要になります。唯一、破損カバーが取り付けられない照明設備として保温用電球ありますが、破損した場合の現場での処理についてはマニュアル等で設定をしておく必要があります。

食品工場内には充分な明るさが必要

 下表に工場内で必要な明るさをまとめました。照度に関してはJIS、労働安全衛生規則等で設定されていますが、包装作業などで髪の毛等の異物を検品する作業場の場合は最低1000ルクスは必要です。

具体的には度計で測定しますが、現実には検品作業をしているところに新聞を持ち込んで作業者に読んでもらいます(新聞が楽に読める明るさが最低限必要)。

検品している人が眼鏡をかけないと新聞が読めないのに、実際の作業は眼鏡が曇ってしまうために使用せず、結果として何も見ないまま作業をしていたという例もあります。
 照度は表の通りですが、冷蔵庫の中で原材料のラベルの日付が読めるかどうか等、具体的な作業で判断する必要があります。

食品工場の照度

食品工場の照度

そして大切なのは、照度を測定するときには実際に作業者を立たせ、作業する形で照度を測定することです。下図のように、作業者の陰になって実作業時に照度が不足する場合があります。このような場合はスポットライト等で照度を補完します。

食品工場 照明測定

食品工場 照明測定

蛍光灯は定期的な交換が必要

 蛍光灯の明るさは、約4000時間照度が半分になります。24時間稼働の工場も増えており、照度が落ちる前に定期的に交換をする必要があります。工場の平面図に、交換した日と次回交換日を記入して管理します。

食品工場 電球はLEDに替える

付け替えタイプLEDは工事費不要。ガラス管では無く、軟らかめの樹脂管なので、飛散の危険も無し。

照度も十分にあり、節電もできる、低誘虫タイプのLEDも市販されている。

食品工場の換気扇(吸排気設備)

加熱調理器具にはすべてレンジフード(換気設備)が必要

 食品工場内に設置してある加熱調理器具には、すべてレンジフード付きの換気設備が必要です。この換気設備の設置が不充分だと、加工場の天井に水滴などがつき、作業場に雨だれが落ちることになり、衛生的な問題が発生します。

設置するフードは、加熱調理器具をすべて稼働した状態でも確実に排気可能なことを確認します。
 一部の調理器具しか稼働しないときは問題がなくても、全調理器具を稼働したときに排気能力が不足する場合があります。

食品工場 換気扇 レンジフード

食品工場 換気扇 レンジフード

排気した空気量に応じた空気を、工場内に入れなくてはなりません。吸気する場合は、図のようフィルターが必要になります。

家庭の例で言えば、単純に空気を入れるために窓を開けただけでは虫が入ってしまうため網戸を設置します。その網戸の網の目の大きさで、空気と一緒に入ってくる虫の大きさが決まります。
網戸だけでは砂埃などが一緒に入ってくるので、次にフィルターが必要になります。フィルターの種類は多数あるので、工場に適したものを使用します。

換気扇 フィルター

換気扇 フィルター

部屋によって陰圧・陽圧を設定

 陰圧とは、部屋のドアを開けると空気が入ってくることで、陽圧とは逆に、空気が部屋から出ていくこと。簡単に判断するには、水の入ったコップの中にドライアイスを入れ、出てきた煙で空気の流れを見ます。
 加熱調理室は陰圧にします。調理室を陽圧にすると、調理した熱気や臭い等が包装室など他の部屋に流れることになります。

包装室は陽圧に設定します。包装室を陰圧にすると、外からの落下菌などを包装室に入れてしまいます。スイングドアなどの場合、ドアが開いたままになってしまうため極端な設定はしないようにします。

食品工場 空気の流れ

食品工場 空気の流れ

空気の流れとフィルターの清掃を確認

 加熱室に水滴がついていないか、空気の流れは設計通りか、吸気フィルターの清掃は確実に行われているかを品質管理担当者は確認する必要があります。このとき、吸気フィルターが工場の外壁の高所についていて、高所作業車でないと交換できない場合があります。日常点検ができるところに設置することが大切です。

食品工場 清掃道具

清掃専用の蛇口が必要

 食品工場では、床面などの清掃に使用するホースを接続する専用の蛇口が必要です。3槽シンクの蛇口にホースをつなげるとホースが床面を這うため、シンク全体に床面の汚れがついてしまいます。

給湯設備も、各現場で一斉に清掃を始めても充分な給湯量があるかを確認しておきます。給湯量が足りない場合、作業場を順番に清掃することがありますが、汚れは作業終了後すぐに落とすのが基本です。
 下図のように清掃に使用する器具、備品は使用後乾燥させて保管することが重要です。清掃専用ロッカーを使用する場合もありますが、ロッカーの中では充分に乾燥しないことがあるため、ホースやモップ、ブラシなどを吊るして保管できるような設備を準備します。

大切な点はモップなどが床につかないように吊すことです。
 清掃用具置き場には、何が何本なければならないかを明記し、用具が揃っているかを常に確認します。ブラシ、モップなどは消耗品なので定期的に交換を行い、交換時期を明記します。

食品工場 清掃用具 保管

食品工場 清掃用具 保管

ブラシなどは歯ブラシ同様、毛先が広がってきたら交換するような基準が必要です。

部屋ごとの用具を準備

 工場で使用する清掃用具は、作業場ごと、作業上の場所ごとで区分できるようにします。加熱室と包装室で使用する清掃用具は、誰が見ても区分できるようにします色などで区分しておく)

清掃用具も、清掃する場所よって区分します。①の床面に接地する場所を洗浄するブラシは赤色のブラシ、②の床面に接地しないが衛生的な場所ではないところを洗浄する場合は青のブラシ、③の衛生的な作業台の上を洗浄する場合は白のブラシ、などの区分が必要(ブラシを入れて使用するバケツなども区分)です。このように、きちんと区分することで床の汚れや菌が作業台を汚染することが防げます。
 ブラシに文字で書いて区分している場合がありますが、文字では本当に正しい区分なのかどうか、使用している作業者にしかわからないため、第三者が見ても判断できる色分け等の区分が必要です。

食品工場 清掃道具 区分

食品工場 清掃道具 区分

食品工場のロッカールーム

ロッカールームは作業場等から独立

従業員は出勤してくると玄関で靴を脱ぎ、備え付けの下駄箱に靴を入れます。その後、スリッパなどを履く工場もありますが、スリッパの管理が必要なので靴下のま工場内を移動するようにします。カーペットなどを敷けば、靴下のままでも抵抗はないでしょう。
 事務所で挨拶をし、食堂を通ってロッカールームに入ります。ここまで、工場の中で使用する資材、原料などには触れないようにすることが重要です。資材庫の片隅をロッカーで囲って着替えに使用している場合がありますが、異物混入などを防ぐためには独立したロッカールームが必要です。

工場 ロッカールーム 配置

工場 ロッカールーム 配置

 ロッカーの中に作業着と通勤用の私服の両方を入れている工場がありますが、ロッカーには通勤時の私服のみを入れるようにします。自宅でネコ、犬などと遊んでくる方もいるため、通勤着にはさまざまなものが付着しています。その私服と作業着を同じロッカーに入れると中で交差汚染が起き、異物混入が考えられます。
 大きなロッカーを準備できればいいのですが、冬になると大きなロッカーでもコート、ジヤンパーなどは収納できなくなります。その場合は、コート掛けとロッカーを用意します。ロッカーの鍵は工場内に持ち込まないですむよう、暗証番号で鍵がかかるものにします。工場内で使用する作業着は、洗濯後のものを棚などに置くようにして管理します。

食品工場 ロッカールーム

食品工場 ロッカールーム

ロッカー内食べ物を持ち込み禁止

 ロッカーはゴキブリ、ネズミ、虫などの巣になりやすいため、こまめな清掃が必要です。髪の毛、自宅で付着したネコ、犬などの毛、さまざまな埃が落ちているので、1日数回の清掃が必要になります。

床面はカーペットよりも、掃除のしやすい材質が望ましいでしょう。また、食べ物を持ち込むと、食べ物のカスなどでゴキブリの巣になりやすいため、ロッカールームには食べ物を持ち込
まないようにします。弁当や飲み物などは、食堂内の温度管理された弁当置き場に保管します。

食品工場のゴミ廃棄物の保管場所

事務所・作業場から独立させる

 廃棄物保管場所も、作業場から独立させる必要があります。工場から出る廃棄物量や、搬出業者が工場に取りに来るタイミングに応じて、毎日集荷なら1日の量が保管できる設備、2日に1回であれば2日分の保管ができる場所が必要になります。
 最近は、廃棄物を資源として再利用をするため専用の運搬用コンテナを利用する場合がありますが、このコンテナも室外に放置することなく、室内に置く場所の確保が必要です。コンテナをどのように回収車に積み込むかを打ち合わせたうえでの設計が必要です。事務所等から出る廃棄物は作業場内を通過させず、工場の外を通って廃棄物保管場所に移動させます。

食品工場 ゴミ廃棄物 保管 配置

食品工場 ゴミ廃棄物 保管 配置

空調・給湯設備も必要

 廃棄物保管場所は簡単に清掃でき、床面、壁が非吸収性で洗浄可能な材料でできていることが望まれます。床面は排水升に向かって自然に水が流れるように傾斜させます。

廃棄物保管庫を洗浄するための給湯設備と専用の清掃用具の保管庫も必要です。夏場は廃棄物の腐敗が進むため、25℃以下で室温管理ができる空調が必要になります。

吸排気設備は廃棄物の臭いがドアなどから漏れると虫などを呼び寄せるため、廃棄物保管庫から離れたところから臭気が排出できるような工夫をします。


廃棄物保管庫で作業をしないときは明かりを消して、虫が捕虫機に集まるようにします。廃棄物保管庫は外部に光や臭気が一切漏れてはなりません。また、ドアの隙間などが5㎜以上開いているとネズミが侵入するため、隙間にっいても注意が必要です。

オイルパン、資源ゴミの区分

 工場から出る廃棄物は、用途別に分別をすれば資源になります。分別して搬送しやすいように保管庫のスペースを充分に確保します。

フライヤーなどに使用した廃油は地震などで倒れたときにこぼれても危険が及ばないようなオイルパンの設置が必要です。

食品リサイクル法では、廃棄物の削減を求めているので、廃棄物の発生量を計量できる秤の設置も必要となります。

食品工場 ゴミ廃棄物 保管

食品工場 ゴミ廃棄物 保管

*食品工場の品質管理については下記の文献に更に詳細の内容が記載されています。

参考文献:

ビジュアル図解 食品工場の品質管理  河岸 宏和 (著)

生産性向上と顧客満足を実現する 食品工場の品質管理

  弘中 泰雅 (著)

実践!!食品工場の品質管理   矢野 俊博 (編集)

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