小集団活動とは?QCサークルとは?
・小集団活動とは第一線で働くスタッフが職場毎に職場の課題、問題点をテーマに取り上げてこれらを全員の創意工夫で解決していく小グループによる自主的な改善活動のことです。
・特に品質の問題を課題をメインに取り組む小集団活動は「QCサークル」と呼んでいます。
設備保全に関した小集団活動は「TPMサークル」です。
・現場の共通する問題点を抱えているメンバーが日々、発生している問題点の情報を共有化し、QC手法、IE技法で解析し、真の要因を究明して、改善していきます。
小集団活動、QCサークルが導入された背景|TQM活動
職場では、作業者が単独、あるいは共同で上司から与えられた業務を、機械や工具を使用し、あるいは作業環境に対応しながら目標に沿って生産活動を進めることになります。
しかし管理・監督者の眼の届かないところ、手の届かないところで発生している問題を解決していくには、その仕事を実際に行っている担当者自身に、問題点を発見し、解決してもらう必要が出てきます。
また管理・監督者の気付かないアイデア、創意・工夫をしてもらい、それを日常業務遂行の過程で生かしていく必要があります。
そこで今日、数多くの企業や職場では、こうした日常の管理行動の過程で、管理・監督者の眼や手の届かないところで発生している問題を解決したり、よりよい日常業務の達成を図っていくために小集団活動を導入しています。
小集団活動、QCサークルの基本的な考え方
小集団活動、QCサークルの定義
小集団活動の定義を、日常の行動レベルに合わせて5W1Hの考え方で整理すると、次のとおりです。
・な ぜ(Why)……従来の組織や職制ではなかなか眼の届かない、職場のきめ細かい問題について、
・だれが(Who)……同じ職場の人達が数名集まって、一つのグループを作り、
・どこで(Where)……そのグループの中で各人の役割分担を明確にして、
・い つ(When)……ちょっとした仕事の合間や、就業後の短い時間を活用して、
・なにを(What)……職場の身近な問題を発見し、解決していくために、
・どのように(How)……管理・監督者の指導・助言を受けながら、直接仕事にタッチしている人達の知恵と身体で、解決していく活動である。
小集団活動、QCサークルの歴史的背景|TQM活動
①第二次石油ショック後(1979年~)
小集団活動が世間一般で広く取り上げられるようになったのは、昭和五二年の第二次石油ショック後です。これはそれまでの高度経済成長が安定成長へと変わり、各企業の経営路線も従来の量的拡大から、より一段と企業間競争の激しい時代になったためです。小集団活動を導入することにより、今まで見過ごしていた職場のムダームラームリを少しでもなくし、経営の効率化や生産性の向上が求められるようになりました。
②サービス業への普及
この頃になると消費者のニーズも多様化し、企業間の競争も一段と厳しくなり、単に良い製品を供給するだけでなくサービスの面においてもさまざまな注文が出てくるようなり、単に製造部門だけでなく、事務や販売、流通、サービス部門などの改善活動が必要になりました。
そこで小集団活動も全社的品質管理(TQC)の一環として、物を作る企業や職場だけでなく、いわゆる第三次産業といわれる業界にも拡がりました。そして数多くの企業や職場でこの小集団活動が、物珍しさも手伝って導入されました。
③バブル景気以降(1991年~)
企業が海外進出するようになり、グローバル化が進み、またインターネットが普及し、TQCではカバーできない状況が出てきます。
今日この活動を本当の意味で継続し実践しているのは、さまざまな試練に耐えた一部の企業や職場だけとなっています。
小集団活動、QCサークルの進め方|TQM活動
小集団活動の進め方について、具体的にそれぞれの骨子について解説。
小集団活動、QCサークルの体制つくり|TQM活動
小集団活動の導入に当たっては、まず推進部署や責任者、担当者をきちんと決める必要があります。誰が全体の取りまとめをするのか、誰が推進役になるのか、決定します。
小集団活動の推進組織図の例を、下図に示します。
小集団活動、QCサークル グループ編成
各小集団活動のグループ編成をして構成メンバーを決めます、職場単位の構成が基本です。その中で推進リーダー、サブリーダー、発表者、書記等を決めます。
小集団活動、QCサークル テーマ設定、目標設定
1.優先度:取り上げようとする問題がほかの問題よりも重要であることを確認する。
2.共有化:できるだけ多くの人が問題に関して共通の認識が持てるようなテーマ
3.目標の根拠:合理的な目標値は,経済上の効果と技術的な可能性を考慮して決める。
4.期限の設定:問題を解決する期限を明示する。
テーマ選定のヒント:
①日項、苦労していること
②改善したい、改善してほしいと思っていること
④やり直し、書き直しが多く、イライラしていること
⑤事故、故障、災害などに結びつきそうなこと
⑥前回比、前日比、前月比、前年比等で悪くなっていること
⑦以前から保留、懸案になっていること
⑧顧客、得意先からクレーム、トラブルになっていること
⑨上司関係部署、からの要望事項や検討事項
小集団活動(QCサークル)計画表の作成:
小集団のメンバー構成、テーマ―内容及びスケジュールが一目でわかるように小集団活動計画表を作成する。
小集団活動(QCサークル)計画表のサンプルは下記からダウンロードできます。
小集団活動(QCサークル)計画表
小集団活動、QCサークル 開始
QC手法のP-D-C-A を使用して小集団活動を展開する。
具体的な選定テーマの改善の解析方法としてQC七つ道具およびIE手法を学び、即時、小集団活動の活動に活用する。
QC七つ道具とはパレート図、特性要因図、ヒストグラム、グラフ、管理図、チェックシート、散布図、層別の事を言う。
小集団活動、QCサークル 報告書
小集団活動の最終まとめとして小集団活動報告書を作成。
①テーマとグループ名の紹介
②はじめに
③グループの紹介
④職場(仕事)の紹介
☆⑤テーマ選定の理由
☆⑥目標の設定
⑦活動計画と役割分担
☆⑧現状の把握
☆⑨原因の追求
☆⑩対策の検討・実施
⑪歯止め・標準化
☆⑫成果の確認
⑬まとめと反省
☆がついている項目は必須項目。
小集団活動、QCサークル 歯止め・標準化
一般的には「歯止め」というが、規則や基準を作り、それを守ることを義務付ければ「標準化」という。また同じような事故とかトラブルを、二度と起こさないようにするにはどうしたらよいか、というときは「再発防止」という(これらのうちどれか一つを選ぶ)。
・歯止めは、黙っていてもすぐに行動となって現れる習慣を身につけることである。
・「身体で覚える」、「装置化したり、周囲を整備する」、「文章化する」の三つの方法
がある。
・歯止めはたくさん掲げると実行できなくなるので、必要最低限の事項を二~三項目あげる。
次のテーマ―への取組
小集団活動のテーマが目標に達成したら、更に職場の改善を行うために次のテーマに取り組みます。
現場の工程は変化します、また社会環境、法規制等も変化します。
改善活動には終わりはありません。
具体的な小集団活動、QCサークルの進め方は下記の関連記事を参照してください。
関連記事:QCストーリーとは?【図解】| QC7つ道具による問題解決型手法
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