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ワークサンプリング

ワークサンプリング

ワークサンプリング work sampling

英語:work sampling             中国語:工作抽样法

ワークサンプリングとは

稼働分析の代表的な手法で,瞬間観測法ともいわれ,時計を使わずに観測する方法.
  観測者がある定められた時刻に現場を巡視して,対象の作業者又は機械の動きを瞬間的にとらえ,観測用紙に記入する.
 そして,どういう動作が何回発生したかを集計して,対象全体の稼働状況を推定しようとするものであり,次のような特色をもっている.

観測が容易で,多数の 対象を同時に観測でき,労力も少ない.
 稼働率や余裕を正しくつかめる.観測値の精度を計算しながら,研究目的によった合理的な調査計画が立てられる.
  ただし,表面的な研究で,詳細な研究が困難であるし,対象者が持場を離れた場合の観測が困難である.

引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会

わかりやすく  ワークサンプリング(WS法)

WS法はIEの中で稼働分析の手法として用いられる。稼働とは『稼げる人』『稼げる設備』の動きである。

稼げる作業と稼げない作業を分析し、どれだけの時間をかけているかを定量的に測定し分析し、生産システムの改善を図る。

稼働状況は二つに大別される。

ワークサンプリングは、作業者の作業や設備の状態の発生比率を把握する稼働分析の一つである。
ワークサンプリングは、人や機械の稼動状態および仕事の種類などを瞬間的に観測し、それらの観測の積み重ねによって、各観測項目の時間構成や、その推移状況などを統計的に推測する方法で、以下の3つをねらいとするときに有効な手法である。

  • ロスを定量化して改善のための対象を絞り込む
  • 生産性向上の余地を概括的に把握する
  • おおよその各作業、状態の時間値を把握する

ワークサンプリングの信頼度

ワーク・サンプリング法での信頼度は95%を用いますが、正規分布曲線の±2σの領域は95.45%ですから、信頼度95%を満足させる実測値は±2σの域にあるということがいえます。 信頼度95%における誤差範囲は2倍の標準偏差となり、これが絶対誤差といわれるものです。

ワーク・サンプリング法の特徴

ワーク・サンプリング法は、統計的手法の応用ですので、ランダム(無作為)に観測時刻を選び、多数回の瞬間的観測を数日から数週間かけて継続的に行うことに特徴があります。また、瞬間観測なので、1人の観測者で多数の対象を観測できることが大きな特徴です。分析目的別に特徴をまとめると以下の通りとなります。

 共通的な特徴項目

瞬間的に、その時の観測対象の状態を目視で記録するだけなので、特別の観測用具は不要です
観測時刻は、ランダム性(無作為性)を保つよう乱数表などを利用してあらかじめ選定し、一定のルールに従って観測しなければなりませんが、観測時に不明なことは観測途中でも作業者などに質問できる余裕はあります。

観測者の熟練は、観測対象にある程度の知識があれば誰でも構いません
被観測者への事前説明は必要ですが、適度に離れた場所からの瞬間観測ですので、被観測者の感情にあまり配慮する必要はありません

観測後のデータ整理は、観測者以外でも可能で、しかも余り時間は必要ありません。観測、集計ともに、所要工数が少なく極めて経済的といえます。また、観測データから、目的に応じて各種の資料を作成することができます
作業前後の関連や作業手順が、やや把握しにくいという難点があります

ワークサンプリングの利点・欠点

ワークサンプリングは多くの企業で採用されています。それは、次のような利点があるからです。

一人の観測者で複数の対象を観測できる
観測・計算が簡単で誰にでも観測できる
対象者に観測を意識させない
長い期間での観測も可能
統計的な精度が高い分析を行うことができる

一方で、ワークサンプリングを行う際には次のような欠点もあることも覚えておかなければなりません。

作業がどの手順で行われているかは記録されない
対象者が作業時間を意図的に変えていた場合有効なデータが得られない
作業内容について標準化された作業手順を守っているかといった詳細は分析できない

 

ワークーサンプリングの手順

作業工程を1時間ごとなど決まった時間に観測し、その結果から各工程に必要な時間を推測する方法がワークーサンプリング法です。つまり、統計のサンプリングを活用した分析法です。

基本的な手順は下記のとおり。

分析の目的を明確にする

何を調べたいのか、目的を明確にして、データ分析表を準備します。
実際に付加価値を生み出す作業をしているかどうか調べたいのなら、付加価値を生み出す作業と価値を生み出さない作業を前もって定義づけておく必要があります。通常は、作業項目別の作業割合を目的にします。

観測する対象と範囲を決める

たとえば、物流倉庫のすべてが対象ならよいが、問題とする対象が物流倉庫の一部でしかないのに全体を分析す為のなら、それは分析のムダです。対象は目的によって変わってきます。

観測する項目を決める

10人の作業者の作業項目別割合を知りたいのなら、対象作業者の分析したい作業が項目になリます。
機械を分析するとき、機械が稼働しているかいないかを分析するのなら、項目は稼働、非稼働の2つです。

観測数を決める

観測数は最初に100~300のデータサンプル)をとり、目的とする項目の所要精度データの数を知りたいのなら、統計的に処理して、不足したデータ分だけさらに分析を増やしていきます。

 

観測回数を決める

仮に必要なデータ数を1000とした場合、分析対象範囲に10人の作業者がいる場合、1回で10のデータ(サンプル)が取得できることになリます。1000のデータを揃えるには、100回(1000÷10人=100回)の観測回数が必要になります。

観測期間を決める

作業の負荷変動を見ながら、観測(分析)期間と観測(分析)時間を決めます。ここでは、観測期間を5日間とします。

1日の観測回数を決める

観測期間は5日間と決まっています。100回の観測回数が必要なので1日の観測回数は20回100回÷5日=20回/日)となります。

観測時刻を決める(ランダム時刻表による場合)

ランダム時刻表には種々のものがあります。下図は1日25回用の一部です。初日に1番、2日目に2番というように活用していけばよく、下図ははランダム時刻表の2番を使用しています。

 観測経路を決める

観測経路は、多くの観測対象が一目で把握できる地点を選びます。しかし、倉庫では障害物が多く、一目で把握することは難しいものです。経路を決めたら、その経路を歩いていき、対象物が目に入ったら、最初に把握した項目作業をデータ(サンプル)として記録する。

観測の準備する

観測用紙に必要事項を記入し、準備をします。

データ取りの時に、10人を対象にした場合、個々の人をA、B、C……Jのように識別しておけば、改善の時に更に有益な情報になりますので、目的を考えた工夫が必要です。

ワークーサンプリングの手順

ワークーサンプリング-事例

 

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