3分で分かる!品質と品質管理(QC)、品質保証(QA)との違い 概要
品質、品質管理(QC)、品質保証(QA)は、一見似ている言葉ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。これらの違いを理解することは、製品やサービスの品質向上に不可欠です。
品質とは?
定義: 製品やサービスが、顧客の要求や期待を満たす程度。
要素: 機能性、信頼性、耐久性、使いやすさ、安全性、美しさなど、様々な要素が複合的に組み合わさって品質を構成します。
視点: 顧客視点、製造者視点、社会的な視点など、様々な視点から捉えられます。
品質管理(QC)とは?
定義: 製品やサービスの品質を一定に保つための活動。
目的: 不良品や不良サービスの発生を防ぎ、顧客満足度を高める。
手法: 検査、測定、統計的手法など、様々な手法を用いて品質を管理します。
範囲: 製造工程が中心ですが、近年ではサービス業などにも広がっています。
品質保証(QA)とは?
定義: 製品やサービスが、顧客の要求を満たすことを保証するための活動。
目的: 品質に関する計画、実施、検証を行い、品質システム全体を管理する。
範囲: 製品開発の企画段階から、製造、販売、アフターサービスに至るまで、製品のライフサイクル全体を対象とします。
視点: 顧客視点が強く、顧客満足度向上を目的とします。
品質、QC、QAの関係
品質は、最終的な目標です。
QCは、品質を維持するための具体的な手段です。
QAは、QCを含むより広範な品質に関する活動であり、品質システム全体を管理します。
それぞれの視点の違い
要素 | 品質 | 品質管理(QC) | 品質保証(QA) |
視点 | 顧客、製造者、社会 | 製造者 | 顧客 |
範囲 | 製品全体 | 製造工程 | 製品ライフサイクル全体 |
目的 | 顧客満足度向上 | 不良品防止 | 品質システムの確立 |
参照記事:品質保証と品質管理の違い
品質管理(QC)の目的
品質とは、消費者へ提供する製品やサービスが、消費者のニーズや使用目的を満たしているかどうかを評価するための固有の性質・性能のことです。そして、一定の品質を確保する、または品質の向上に努める管理活勣を品質管理といいます。品質管理は、英語では「Quality Control」と表記され、この頭文字をとってQCと呼ばれています。
品質管理の最も大きな目的は、製品やサービスの品質を一定以上の水準に確保して消費者に提供することで、品質保証と呼ばれています。
もう1つの重要な目的として、製品やサービスの品質に関する改善(品質改善)や業務の改善といった改善活動があります。この改善活動は、問題解決活動とも呼ばれています。
品質管理は顧客の要求を満たす製品またはサービスを,もっとも経済的に提供するための活動の全体である。
品質管理活動の良し悪しは
①製品またはサービスが顧客の要求を満たしているかどうか。
②製品またはサービスの提供が経済的に行われているかどうか。
2つの観点で定められる.前者を商品品質,後者を工程品質という。
商品品質は製品またはサービスの内容と顧客の要求との合致度,言い換えると顧客満足度(customer satisfaction)で表される。工程品質は要求を達成するための行う作業が迅速に,楽に,手直しすることなく行うことができるかどう言い換えると一連の仕事の効率で表される。
商品品質にかかわる要素
商品品質は顧客の要求の満足度に関する品質であるがこれは次の4つの要素から構成される。
①企画の品質(quality of definition)
②設計の品質(quality of design)
③製造の品質(quality of production)
④アフターサービスの品質(quaity of servicing)
企画の品質は商品企画において定められる商品の品質内容が顧客の要求にどの程度合致しているかで定まるものである。たとえば簡単で手軽に使えるという顧客の要求に対して複雑で操作の難しい商品はいかにそれが精巧にできていても顧客の要求に合っているとはいえない。一般に企画品質が競合商品と比ペて顧客の要求に合わない場合は,顧客はその商品を購入しないので苦情、クレームも発生しないが,売上を伸すことができない。
設計の品質とは企画の品質が設計において実現されている程度である.いかに企画の品質が優れたものであっても,それを実現する設計技術がなければよい商品は生まれない。
製造の品質は実際に製造された商品が設計で指示されたとおりに作られているかに関する品質である、この品質は規格・図面に対する適合で実現されるが,量産製品にあっては商品全体の統計的品質が問題になる。
アフターサービスの品質は商品を使用する際の技術指導,故障した際の修理,消耗部品の補給など商品の販売の後で発生する顧客の要求に対応できる能力である。100%故障のない商品が理想であるが,これを実現するためには商品の価格がきわめて高価になる場合,商品によっては多少の不良が市場で発生しても高価な商品を市場に供給したほうが全体としては好ましい場合がある。しかし個々の顧客においては自分の購入した製品が不良であることは許容できるものではない。この不満足を軽減するためには,迅速、的確なアフターサービスが必要で,この処置が適切である場合は顧客の不満が解消するだけでなく,顧客側での再度の商品の購入においてリピートオーダー(再購入)を得ることすら可能になる。
製品およびサービスの性能,使いやすさ,信頼性,安全性,および,顧客が負担するユーザーズ・コスト(user’s cost)の低減は顧客において常に存在する要求である。
これに関する改善は市場からの有無に関わらず供給者は常に心がけなければならない。
市場での競争がある状況では,この改善が絶え間なく行われているかどうかは供給者の市場での競争力、ひいては獲得する利益に大きな違いをもたらす。
品質とは? 英語:Quality
工業製品の品質の概念は,以前は「規格への適合の程度」であったが顧客の要求の多様化にあって,現在は「要求への適合の程度」に変ってきている。これは画一的な規格では,それへの適合では必ずしも顧客の満足を得ることはできないからである。さらに社会・環境への影響を考慮した社会的品質の概念が生まれてきている。
品質とは何か?
品質とは、製品やサービスが、顧客の期待や要求を満たす程度のことを指します。
より具体的に言うと、製品の機能性、信頼性、耐久性、使いやすさ、安全性、美しさなど、様々な要素が組み合わさって品質を構成します。
品質の視点
顧客視点: 顧客が製品やサービスに対してどのような価値を求めているのかという視点です。
製造者視点: 製品やサービスの設計、製造、販売における品質管理の視点です。
社会的な視点: 法規制や倫理的な観点からの品質評価です。
品質の重要性
なぜ品質が重要なのでしょうか?それは、品質の高い製品やサービスを提供することで、
顧客満足度向上: 顧客の期待に応え、リピーターを増やすことができます。
競争力強化: 競合他社との差別化を図り、市場での優位性を確立できます。
企業イメージ向上: 高品質な製品やサービスを提供することで、企業のブランドイメージを向上させることができます。
品質の基準
近代的品質管理活動は当初製造と検査から始まった。この段階においては品質規準は製品が規格に合致していることであった。すなわち
品質:規格に対する合致度
Quality conformance to standard
とされたのである。しかし品質管理の発展とともに品質の概念は拡大してきており、上にのべた品質の概念は現在の品質の概念の一部にしかすぎない。工業製品では品質の基準として,規格が用いられる。
しかし,製品およびサービスの品質の良し悪しを定める一般的規準は,規格ではなくそれらが顧客の要求に合致しているかどうかである。
すなわち
品質:要求に対する合致度である。製品またはサービスを提供する活動は,顧客があって初めて成立するものであり,顧客の要求に対する合致を得て,初めてその活動は有効なものとなる。要求に合わないものは不良であり,これを生産し販売することは,それ自体ロスである。
規格の作成にあたって顧客の要求を十分に把握することは供給者にとってきわめて大切なことであるが
①顧客の要求は多岐にわたるのが普通である、顧客にとっては好ましい商品でも別の顧客にとっては不満足な商品となることがある。
②顧客の要求品質の多くは潜在的で,顧客においても要求品質が何かが十分わかっていないことすらある。
③競争商品がある場合は,品質の良し悪しは競争商品との比較により相対的に定められる。
等々の難しさがある。
IS09000規格では品質は次のように定義されている。
品質:
あるものに存在している固有の特性の集まりが要求を満たしている程度。
品質管理(QC)の具体的な方法
品質管理には、主に3つの方法があります。
- PDCAサイクル
- QC7つ道具
PDCAサイクル
PDCAサイクルとは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)という4つのサイクル(繰り返し)によって、業務管理を継続的に改善する手法のことです。
- 計画:実績や予測を基にした業務計画の作成
- 実行:計画の実行
- 評価:業務と計画が合っているかの評価
- 改善:計画に合わない部分を調査して改善
上記の4つを順番に行って1周すれば、「最後のActionを次のPDCAへとつなげる」といったように、繰り返して行うことで品質の改善を進めていきます。
PDCAサイクルの考え方は、国内規格・JISや国際規格・ISOにも用いられています。
QC7つ道具
QC7つ道具は、品質管理を行う際に現象を数値や定量で分析するための技法です。問題が可視化されることで、誰にでも理解や説明がしやすくなる利点があります。
文字通り、7つの道具(分析ツール)を使うことからQC7つ道具と呼ばれています。以下は、QC7つ道具で利用される分析ツールです。
- グラフ:適切なグラフによって直感的に状況を把握できる
- チェックシート:確認事項や要点を抜粋した図表形式のシート
- ヒストグラム:データの分布を可視化するための棒グラフ
- パレート図:不良項目や機械別不良数がわかる複合グラフ
- 特性要因図:問題の抽出に適しているツールで、「魚の骨図」とも呼ばれる
- 散布図:関連する2種類のデータを点の集合で示した図
- 管理図:時系列で工程データを示す折れ線グラフ
QC7つ道具でデータを分析・整理を行うことで、製造現場の問題が「見える化」されます。つまり、不良の原因や問題点、傾向や状態などがわかり、改善へとつなげることができるのです。
関連記事:QC七つ道具|QCストーリー
品質グレード | ファースト・クラス,エコノミー・クラスの区分
品質がよいということと,グレードが高いということは別の事柄である。グレードとは同じ機能的使用を意図する商品について,異なった要求に対応するために商品が備えてえている特性である。たとえぱ飛行機のファースト・クラス,エコノミー・クラスなどの区分である。
旅客機のもっとも重要な品質は目的地に安全に予定どおり到着すること」である。この要求への対応ではファースト・クラス,エコノミー・クラスで差はない。
飛行機の中で過す数時問の快適さに関する要求への対応が異なるのである。
要求に対する合致度という観点からは高価なものでも不適切な品質のものがある。
また逆の場合もある、たとえば個別の要求に対応できない豪華なホテル,大きすぎる高級車,ゆき届いたサービスを提供する民宿,狭い道路を楽に運転できる小型車.不特定多数の買い手を想定した商品では,顧客によってその要求の違いが大きい場合は商品ですべての顧客の要求を満たすことは困難となる。
この場合は商品の機能や性能にいくつかのグレードを設け,商品を系列化して多くのくの要求を満たすことが試みられたり,特定の要求を持つ顧客にだけ的を絞って仕様が設定される。
品質保証と品質管理の違い
品質保証と品質管理は、どちらも製品やサービスの品質に関わる言葉ですが、その範囲や目的が異なります。
品質保証(QA: Quality Assurance)
定義: 製品やサービスが、顧客の要求を満たすことを保証するための体系的な活動です。
目的: 製品やサービスのライフサイクル全体を通じて、品質が確保されるようにするための仕組み作りです。
範囲: 製品開発の企画段階から、製造、販売、アフターサービスに至るまで、幅広い範囲を対象とします。
特徴:
顧客視点が強く、顧客満足度向上を目的とします。
品質に関する計画、実施、検証を行い、品質システム全体を管理します。
品質マニュアルの作成や、ISO9001などの国際規格への適合などが含まれます。
品質管理(QC: Quality Control)
定義: 製品やサービスの品質を一定に保つための活動です。
目的: 不良品や不良サービスの発生を防ぎ、品質の安定化を図ります。
範囲: 主に製造工程が中心ですが、近年ではサービス業などにも広がっています。
特徴:
検査、測定、統計的手法など、具体的な手法を用いて品質を管理します。
QC7つの道具(パレート図、ヒストグラム、チェックシートなど)が代表的な手法です。
要素 | 品質保証(QA) |
品質管理(QC)
|
目的 | 品質システム全体の確立 | 不良品防止 |
範囲 | 製品ライフサイクル全体 | 製造工程中心 |
手法 | 計画、実施、検証 |
検査、測定、統計的手法
|
視点 | 顧客視点 | 製造者視点 |
具体例
品質保証: 新製品の開発において、顧客の声を聞き取り、製品仕様を決定し、製造過程における品質管理体制を構築する。
品質管理: 製造ラインにおいて、製品の寸法を測定し、規格値から外れている製品を検出する。
品質保証&品質管理どちらが重要か?
品質保証も品質管理も、製品やサービスの品質確保に欠かせない活動です。どちらか一方ではなく、両方をバランス良く実施することが重要です。
品質保証が、品質に関する土台を築く役割を果たすのに対し、
品質管理は、その土台の上で具体的な品質改善活動を行います。
品質保証と品質管理は、似ているようで異なる概念です。それぞれの役割を理解し、適切に組み合わせることで、より高い品質の製品やサービスを提供することができます。
まとめ
品質は、製品やサービスの総合的な評価です。
QCは、製造工程における品質管理活動です。
QAは、製品のライフサイクル全体を対象とした品質保証活動です。
これらの概念を理解することで、より効果的な品質管理体制を構築することができます。
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おすすめ 品質管理 参考文献:
品質管理のための統計学 ~生きた実例で理解する~ (現場の統計学)
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