品質コスト cost of quality 【イラスト図解】
英語:cost of quality 中国語:质量成本
品質コストとは
品質管理活動や品質保証業務の遂行に付随して発生するコスト(予防コスト,評価コスト)と,これらの活動ないし業務が不完全であったためにメーカーが支払う損失(内部失敗コスト,外部失敗コスト)の総称をいう.
品質コストあるいは品質のコスト(cost of quality)という概念は,アメリカでは1950年代の始めごろから既に用いられていた.一般にPAF法として知られる上述の品質コストの分類法も,既にそのころから提唱されていた.
品質コストは,コストという貨幣的なスケールを用いることによって,ビジネスの共通目標である利益数値に関連付けて品質を認識する.
とはいえ,それは個々の製品やサービスの品質をダイレクトに評価するものではなく,むしろこれらの品質を維持・向上させるために企業が推進する品質管理活動や経営そのものの質を費用対効果という側面から判定しようとするものである.
すなわち,経営管理者の多くは,経験的かつ直感的に品質管理活動の重要性を認識しつつも,当該活動の成果を明示的に説明し得る指標をもち合わせてはこなかった.
そのことが,しばしば欠陥予防への対応を遅らせ,ひいては重大な品質トラブルを招く誘因の一つとなってきたことは否めない.
品質コストというスケールを用いれば,コストといういわば経営者にとって日常的なスケールを通じて,ゆえに彼らにとって理解が容易であり,かつ説得力ある形で,不良品質の発生を防止することがいかに企業の利益の増大に直結するかを明らかにすることができるのである.
引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会
関連記事:シックスシグマ
わかりやすく 品質コスト
品質コスト(cost of quality)とは、顧客のニーズを満たし、維持するためのコストをいう。
品質コストは、予防コスト、評価コスト、内部失敗コスト、外部失敗コストに分類される。
つまり、予防コスト、評価コスト、内部失敗コスト、外部失敗コストは品質コストの一部である。
この分類はPAF法(prevention-appraisal-failure approach)によるものである。予防コストや評価コストは、品質保証活動に要するコストということである。一方、内部失敗コストと外部失敗コストは、予防コストや評価コストとは性質が異なり、品質保証活動に問題があったことで発生した損失コストという意味である。
品質コストの内容をまとめると以下のようになります。
適合関連コスト | 予防コスト | 品質問題が発生しないように対策するコスト 例:品質計画・工程管理・品質保証・品質管理システムの設計・実施など |
---|---|---|
評価コスト | 品質基準を満たしているかを確認するために必要なコスト 例:検査・点検の作業・品質監査など |
|
不適合関連コスト (不良コスト) |
内部不具合コスト | 品質基準を満たさない製品に対して発生するコスト 例:品質基準を満たさない製品の製造原価・廃棄コストなど |
外部不具合コスト | 品質基準を満たさない製品を出荷してしまった際に発生するコスト 例:顧客からのクレーム対応・リコール・機会損失など |
品質コストを低減する
下図は製造品質と品質コストの関係を示したものです。横軸が製造品質、縦軸が製品単位あたり品質コストを示し、品質コストを合計したものを総品質コストといい、(1)式で計算します。
総品質コスト=予防コスト+評価コスト+失敗コスト・・・・・・(1)
製造品質が悪いときは、総品質コストの構成は失敗コストと評価コストが大半を占め、予防コストはわずかです。予防コストに関連する活動を充実させて製造品質がばらつかない製品を製造すると、予防コストは若干大きくなりますが失敗コストと評価コストは減少します。それには、コア技術対応型の設計・開発方式を実践することです。
そして、失敗コストと評価コストがゼロになり、品質コストが予防コストだけになれば、製品の適正品質を追求して原価を作り込むことができます。
品質コストレポート quality cost report
品質原価計算を具現化するモデルであり,品質コストに関する分析結果を経営管理者に伝えるための報告書のことで一定期間(月次又は四半期)ごとに作成される.
品質コストレポートの形式には特に定型化されたものは存在しないがPAF法に従って品質コストを予防コスト,評価コスト,内部失敗コスト,外部失敗コストごとにその発生額と内訳,更にはトータルコストや売上高に占める割合などが示されるのが一般的である.
経営管理者は,その結果を時系列的に追跡することで,品質改善につながる有用な情報を入手することができる.
まとめ
品質コストの削減には、各社特有のビジネス形態や日々変化する市場環境を捉えた品質戦略とTQM活動の着実な積み重ねが必要です。具体的にはクレームやコンプレインの管理・分析・失敗コストの正確な把握、設計手法の改善、プロセス全体を俯瞰した情報活用による予兆監視などです。
ブックマーク