ヒューマンエラーの対策として有効なポカヨケについて仕組み、種類、事例を、掲載しました、工場、研究所でのヒューマンエラー 防止対策にお役に立ててください。
更に『お金のかからない安全衛生~ヒューマンエラーの改善』については下記の記事を参考願います、工場等での安全衛生事故に役に立ちます。
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2024年版 トヨタ式ポカヨケ対策【音声解説】
トヨタ式ポカヨケ対策の解説動画です。
3分で分かる! ポカヨケとは? 概要解説
ポカヨケとは、製造業やサービス業などにおいて、人間が作業を行う際に起こりうるミス(ポカ)を未然に防ぐための仕組みや装置のことです。
ポカヨケの目的
- ヒューマンエラーの防止: 人間の注意力や判断力の限界を補い、ミスによる製品不良や事故を防ぎます。
- 品質の安定化: 製品品質のばらつきを減らし、安定した高品質な製品を提供します。
- 生産性の向上: ミスによる再作業や不良品の発生を減らし、生産効率を向上させます。
- 安全性の向上: 作業者の安全を確保し、労働災害を防止します。
ポカヨケの仕組みの例
ポカヨケの仕組みは様々ですが、代表的なものとして以下のようなものが挙げられます。
- 形状の確認: 部品の形が異なる場合に、組み付けられないようにする。
- 色の識別: 色の違いで部品の種類を判別し、誤った部品を使用できないようにする。
- 位置決め: 部品を正確な位置に設置できるよう、ガイドや治具を用いる。
- 数量の確認: 部品の数を確認し、不足や過剰を防ぐ。
- 順序の確認: 作業手順を間違えないよう、表示や指示書を用いる。
- センサーによる検知: 異物混入や寸法誤差をセンサーで検知し、アラームを鳴らす。
ポカヨケのメリット
- 人材不足への対応: 熟練工の減少や人材不足に対応し、誰でも同じ品質の製品を作れるようにします。
- コスト削減: 不良品発生による損失を減らし、コスト削減に繋がります。
- 顧客満足度の向上: 高品質な製品を提供することで、顧客満足度を高めます。
ポカヨケの導入事例
- 自動車製造: 部品の組み付けミス防止、塗装ムラ防止など
- 電子部品製造: はんだ付け不良防止、部品の誤挿入防止など
- 食品製造: 異物混入防止、計量ミス防止など
- サービス業: 金銭授受ミス防止、注文間違い防止など
ポカヨケを導入する際の注意点
- 現場の意見を聞きながら導入する: 現場の作業者から意見を聞き、使いやすいポカヨケを導入することが重要です。
- 定期的な見直しを行う: 改善点を見つけ、常に最適なポカヨケを維持することが大切です。
ポカヨケは、製造業に限らず、様々な分野で活用できる手法です。 ヒューマンエラーを減らし、品質向上を目指す上で、ポカヨケは非常に有効な手段と言えるでしょう。
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ポカヨケとはどういう意味?
「人間は間違いをおかす動物で、ポカミスを起こしやすい動物であるといわれ、ポカミス対策(ポカヨケ)が必要である。
ポカヨケは、英語ではフールプルーフ(fool proof=「バカ」 「防ぐ」 )といい、ヒューマンエラー(人間のミス)が起こったとき、それが事故につながらないように、設備的または運用上の防護対策である。
中国語では防错、万无一失、防呆と呼ぶ。
ポカヨケ対策の目的
製造業においてポカヨケ対策をする目的は下記の3点です。
生産性の向上:不良品を低減して生産量を増やす。
製造工程の品質の向上:製品製造工程からできるだけ早く不良品を取り除き流通を防止。
安全確保:現場の作業員の安全を守り、労災を防ぐ
ポカヨケ対策は、次の2点を達成する為に優先にして設計されます。
- 不良品が発生しないこと
- 不良品が流失しないこと
ポカミスの原因&対策
ヒューマンエラーの種類【ポカミスはなぜ起こる?】
ポカヨケ対策を考える上で、「なぜヒューマンエラーが発生したのか」原因を追求することが再発防止に役立ちます。
まずヒューマンエラーの発生は次のように分類できます。
ミステイク:Mistake
見間違い、聞き違い、勘違いなどのミスは人間の認知システムの特性によって不可避的に発生する。しかし、それは認知システムに欠陥があるためではない。人間の認知システムはコンピュータのように入力情報を処理して、認識、決定というアウトプットを出力する。目や耳はセンサーである。
コンピューターとの大きな違いは、情報が不完全でもあいまいでも、前例や状況、文脈を手がかりにしてとりあえずのアウトプットを出してくれることだ。そうでなければ、人類は生存競争を生き延びられなかった。
ミステイクは人間の素晴らしい証知能力の副作用である。
スリップ(錯誤):Slip
スリップ:意図した動作は正しかったのに、意図しない動作のミスをおかしてしまうのがスリップである。慣れた動作は体が記憶している。何かしようと意図が形成されるとその意図を実現するのに適当な動作のパターン(心理学では行為のスキーマと呼ぶ)が活性化し動作を開始するきっかけ(「トリガー」=外からの刺激、前の動作の終了)とともに行為スキーマが実行される。
この過程の中で、いつも動作のトリガーとなっている刺激か来ると意図がないのに動作してしまったり(例=もっと上の階に行こうとしていたのに自分のオフィスかある階でエレベータのドアが開くと降りてしまう)
意図の形成から後の動作はほとんど無意識に遂行されるために、十分に意識しないで体を動かす(あるいは動いてしまう)からミスを起こすのである。しかし、意識しながら動作をすると動きが遅くなるしスムーズにつながらない。あらゆる熟練作業は意図だけを意識すれば後は勝手に体が動く。そうでなければ仕事にならない。
つまり、行為のスリップも行為の熟練に伴う副作用なのである。
ラプス(失念):Lapse
記憶には覚える段階、覚えた情報を保持する段階。そして、覚えている情報を取り出す(思い出す)ステップがある。
覚えられない。覚えたのに忘れてしまった。思い出そうとしても思い出せないという失敗はそれほど問題ではない。
事故に結びつきやすいのは思い出すことを忘れてしまうというラプス「失念」である。行うべき行為の予定をいったん記憶し、それを忘れたわけではないのに適切なタイミングで思いだせないのが失念である。
連絡のし忘れ、引き継ぎ事項の漏れ、最後の手順のやり忘れなどは重大事故につながっている。
しかし、必要な時に自発的に全てことを思い出す為にはメモやタイマー、チェックリストなどで頭の外側に記憶をとどめておく工夫が必要である。
工場におけるヒューマンエラー対策とは
工場では次のようなヒューマンエラー対策として様々な取り組みをしています。
- 業務の単純化・平準化:覚えやすく忘れにくいシンプルな業務にし、属人的にしない
- 作業環境の整備:工場内を集中力を保ちやすい温度・湿度、確認しやすい明るさを保つ
- 作業者のスキル向上:教育・訓練を実施して従業員のスキルを上げる
- 確認の習慣づけ:熟練者でも手順を守り確認を徹底する
- コミュニケーションの強化:ルール違反をしにくい風土を作る
ポカヨケの由来、語源
ポカヨケはトヨタ生産方式の基本概念の一つであり、ポカヨケの基本コンセプトは新郷重夫氏が創案しており、新郷氏の著書により日本国外でもポカヨケは広まり、結果Poka-yokeとして製造業の分野では国外でも通じる言葉となった。
当初は「バカヨケ」と呼ばれたが、当時の女性のオペレータが「私はそんなにバカですか!」と泣き泣き訴えたそうで、すぐに「ポカヨケ」に言い換えたのとの事です。
「ポカ」とは、うっかりミスやぼんやりミス、さらには早合点、ミスなどを自働的に「ヨケル」という意味のことばで元々は囲碁・将棋の世界で、通常は考えられない悪手を指すことを「ポカ」と呼ぶんでいのが由来です。
“Poka-Yoke(ポカヨケ)”とは、日本語で「うっかりミスの防止」を意味する言葉で、1960年代に自動車製造業界で使われはじめました。ポカヨケというコンセプトは、品質工学の技術者である新郷重夫氏によって構築されたものです。
新郷氏は当時、コンサルをしており、名古屋の山田電機でプッシュボタン作業の組み立てる際にバネを入れ忘れるといったミスの問題を検討していました。解決策は、スイッチ組み立ての作業工程を改善し、2つのステップで成り立つようにするというものでした。
1. 2つのバネをバネホルダーに置くことでそれらのバネを入れる準備を行う。
2. その2つのバネをバネホルダーから取り出し、スイッチに入れる。
改善後、スイッチを組み立てる工程は長くなるが製造中のミスをなくすことが可能となり、結果としてより質の高い製品を生産することができるようになった。
ポカヨケは、現在でもソフトウェアインターフェースにおいて使われています。
例えば無料のホームページ作成ソフト「WordPress(ワードプレス)」には、間違って記事を削除してしまうことを防ぐ機能が用意されています。
ポカヨケの目的は、エラーをすぐに検出して修正できるようにプロセスを設計し、ヒュマンエラーを排除することです。
ポカヨケの考え方
しかしどんなにマニュアルを整備し、環境を整えたところで、ヒューマンエラーをゼロにするのは不可能です。
製造業では、物理的にミスが発生しない仕組み、ミスを発見しやすい仕組み、ミスの影響を最小限にする仕組みづくりを追求をしています。
ポカヨケの基本的な考え方
- 人がミスしないようにする
- 人がミスしたらすぐ発見されるようにする
- 人がミスしたらときに、影響範囲をできる限り少なくする
トヨタ生産方式のポカヨケ
トヨタ生産方式のポカヨケの定義は下記の内容あり、『発生防止のポカヨケ』と『流出防止のポカヨケ』の2種類があります。
ポカヨケとは工程内に設置されて、作業者のウッカリミス(ポカ)を避けて(ヨケ)くれる仕組みのことです。作業者は 標準作業通りの一連の作業をするだけでいいのです。このポカヨケにより工数を一切かけずに全数検査が可能になったため、価格競争力を減ずることなく、品質を格段に向上させることに成功したのです。
ポカヨケには、「不良自体を発生させないポカヨケ(発生防止のポカヨケ)」と「不良は1つ作ってしまうが、それを発見しそれ以上の不良を発生させないポカヨケ(流出防止のポカヨケ)」の2種類に大別されます。
またもう1つの分類としては、電気を使用するものとしないものに分けることができます。電気を使用するものは、毎日始業時にポカヨケの機能が有効に動くかどうかチェックしなければなりません。しかし電気を使用しないものはその必要がないので、まったく工数がかかりません。もちろん電気を使用しないポカヨケの方が優れているのは言うまでもありません。引用先:トヨタの生産方式に関して
参考資料:全図解トヨタ生産工場ポカヨケのすべて
フールプルーフ、フェイルセーフとポカヨケの違いは?
フールプルーフは、人間の操作ミスを防ぐための機能のことを指します。
ポカヨケもヒューマンエラーを防止する機能です。
欧米では、Fool Proof(フールプルーフ)と呼ばれていたので、日本では直訳して「バカヨケ」と呼んでいましたが表現方法が悪いのでポカミスを避ける意味の『ポカヨケ』に変更になりました。
一方、フェイルセーフは、何らかの故障が発生しても、システムが正常に機能し続け、安全に停止できるように設計された機能のことを指します。 つまり、故障が発生した場合でも、システムが安全に動作し続けるようにすることが目的です。
英語版 poka yoke動画
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スペイン語 poka yoke動画
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検査の分類 ~ポカヨケシステムの歩み
新郷重夫氏は不良率を下げて品質を向上させる品質管理の検査方法として昔からある選別するだけの「分別検査」、“不良情報をフィードバックして再発防止する” 「情報検査」、そして“ミスが発生した時点で対策し不良を造らない“ポカヨケを用いた「源流検査」があるとした。
【検査の分類】
①分別検査:不良を見つける検査(Judgment Inspection System)
②情報検査:不良を減らす検査(Informative Inspection System)
③源流検査:不良を造らぬ検査(Source Inspection System)
分別検査:不良を見つける検査
英語:Informative Inspection System
過去そして現在でも多くの向上で用いられている検査、目的は「加工の終わった製品を“良品と不良品”に区別する検査」全数検査、抜き取り検査もこの方式。
この検査は「次工程、お客様に不良を送らない」という意味では有効な方法であるが如何に正確に検査しても「工場自体の不良率を下げる」ことには寄与しません。
抜き取り検査方式の欠点:
抜き取り検査方式の場合も「検査工数を低減する」には有効であるが同じく「工場自体の不良率を下げる」には寄与しません。
最終検査の欠点:
工場では製品の全数検査を最終工程で行っていますが時間軸で考えるとアクションが遅れます、その工程で検査した方が素早いアクションが出来ます。
AI検査の欠点:
最近は画像認識技術が飛躍的に進歩しAIを活用すれば精度の高い検査は可能であり漏れ不良ゼロを容易に達成することはコストを無視すれば可能ですが同じく「工場自体の不良率を下げる」には寄与しません。
情報検査:不良を減らす検査
英語:Judgment Inspection System
情報検査とは「不良が発生したら、その情報を発生した工程にフィード・バックし、アクションを行い改善することにより、再発防止をする検査」のことである。
この検査を用いれば徐々に不良率が低減できる。
この検査には三つの方式がある。
①管理図方式(SQC方式) Static Quality Control System
②順次点検方式(SuC方式)Successive Check System
③自主点検方式(SeC方式) Self Check System
管理図方式(SQC方式)
SQC方式とは「推定統計学に基づいた管理図を使用して管理限界外に異常が発生したらその情報を発生工程にフィードバックしてアクションを行い改善し、事前に不良の発生を防止する」。
規格限界線:製品の機能を要求許容限界線、規格値±許容値で表現される。
管理限界線:統計量の値がかなり高い確率で存在する範囲を締める限界、通常は2σ管理限界線が用いられる。
【68–95–99.7 ルール】
正規分布において、平均値を中心とした標準偏差の2倍、4倍、6倍の幅に入るデータの割合の簡略表現である、不良率を推定するときに活用される。
正規分布の場合、
1σ 区間におさまる確率→ 約 68.27%
2σ 区間におさまる確率→ 約 95.45%
3σ 区間におさまる確率→ 約 99.73%
であることが知られています。
管理図の欠点:
「不良率を減らすためには,まず,品質の現状を知り,これにアクションを加えなければ,効果は発揮されない」
しかし“管理図法”では「異常のチェックは抜き取りで行われる。よって異常を抽出できる確率は,“全数抽出”に比べて,はるかに低い。
しかも,一般に行われている“管理図方式”では「異常の抽出から,アクションの実施までの“時間的な距離”は,相当間隔があるのであるから,改善されるまでに相当,長い時間が必要となり、その間に,かなりの“不良現象の発生”が起こる。
又、現場に利用される管理図として“不良率の管理図”いわゆる“P管理図”というものがある、これは「従来,発生している不良率から異常値を除去して普通の状態での不良率の数値”を推測統計学に基づいてサンプルを抜き取って管理限界を設定する管理方法である。
このような方策を採用すれば,
・従来以上の不良率の発生を防止することができる。
しかし、逆説的に言うと不良があっての管理図であり、「不良率をゼロにする」という積極的な考え方ではなく消極的な方法である。
順次点検方式(Su CS :Succssive Check System)
新郷氏はSQC方式の欠点をカバーする点検方式として次工程の作業者が検査し、不良が発生時は即時、前工程に連絡し、対策改善できるようなシステム「順次点検方式」を考えポカヨケを用い松下電器のテレビ工場で実施、絶大なる効果を上げることに成功した。
順次点検方式の方法は下記のとおり。
①全数検査 実施
②不良品 判定は第三者が行う。
③不良発生時、ただちに発生工程に連絡、アクションを実施。
ポイントは「検査は客観的でなければならない!」
自主点検方式(Self Check System)
不良のフードバックとアクションを早める為には加工者が全数検査すれば良いが“検査は客観的に判断する”原則に反しており、ポカミスの発生する恐れがある。
しかし、新郷氏は”ポカヨケ”を用いて自主点検すれば自工程で不良が検知でき、即座にフードバックできると考えてコンサル先の向上に導入して効果を上げた。
この検査のポイントは「不良を自工程で発見し、確認できること」
源流検査:不良を造らない検査
英語:Source Inspection System
新郷氏は源流検査というのは「“不良を発生した結果”によって,フィード・バックとアクションを行うのではなく,“不良を発生させる原因の条件のミズを発見して,その“ミスの段階で,フィード・バックとアクションを行い“ミスは発生しても”,それを“不良には転化させない”ようにするという考え方に基づく検査方式」と説明してあり
“源流検査”と全数検査”および“フィード・バックとアクションの即時対応性”とを結合することによって不良ゼロが可能としています。
そして具体的手段としでポカヨケを利用することがきわめて効果的でありと力説しています。
源流検査の優位性~ヒューマンエラー対策
不良の原因は5M+1Eであり、材料(Material)、機械(Machine)、作業者(Man)作業方法(Method)測定(Measurement)そして環境(Environment)と言われています。
しかし、現在のモノづくり技術の進歩のお陰で良い材料が開発され、マシンは高信頼性になり、作業方法も標準化され、測定の精度も向上し、環境の制御も容易になり、どの業種の製品においても以前と比較して製品の品質は向上し、不良率は低下してきていますが不良ゼロには達成できていません。
残る不良の多くの要因は作業者(Man)によるヒューマンエラーです。
ヒューマンエラーには規則性がなく、いつ発生するかわからないので推計統計学の“抜く取り方式”ではなかなか、補足する事は困難です。
作業者(Man)によるヒューマンエラーを対策するには源流検査の具体的
手段である“ポカヨケ”による全数検査が有効です。
源流検査の優位性~フードバックとアクションスピード化
源流検査では
ミスが発生⇒不良に転化しない内に原因の段階で“フィードバック”
⇒ただちに“アクション”
が可能になり、スピードが早いという利点があります。
従来の管理方式では
ミスが発生⇒“結果”として不良が発生⇒不良発生情報をフィードバック⇒アクションを開始
といった流れで処理されるのでどうしても時間が遅れてその間に不良が発生するといった事があった。
源流検査の優位性~予防保全への活用
源流検査の考え方と共通するのが予防保全(TPM)です。
設備の故障を発生する前に事前に不具合の予兆を検知してアクションをする保全の方法で”故障ゼロのマシン”にすることが可能です。
例えば軸受部に“サーミスター”を取り付けて温度が規定以上になったら自動的にマシンを停止させる。
又、スマートホンの異常高温時の“起動停止機能”も同じ発想です。
ポカヨケ装置の種類
ポカヨケ装置の種類は分類ごとに下記のような種類に区分される。
(1)検知方法別:
①識別式・・色分け、ICタグ、画像検査機
②アラーム式・・警報機、カウンター
③治具式・・ポカヨケ・ガイドピン
④接触式・・製品の形状の違いにより異常を検知する方式。
⑤定数式・・規定の回数でない時、異常と判断し検知する方式。
⑥動作ステップ式・・動作ミスを異常と判断し検知する方式。
(2)目的別:
①規制式・・異常が発生した場合、機械を停止。
②注意式・・異常が発生時、作業者の“注意を喚起する”方式。
(3)時系列別:
①事前・・ミスを発生する前に対策
②発生時・・ミスが発生時にポカヨケ
③事後・・ ミスが発生後にポカヨケ
検知方法別 ポカヨケ装置の種類
ポカミス対策のポカヨケを仕組み別に分類すると下記のようなモノがある。
識別、選別して検知
識別には、たとえば色分けやICタグ、置き場の設定がある。色分けは、良品と不良品を区別するために、ケースに色がついたものを使用する。たとえば、赤であれば不良品とする。
また最近ではICタグが用いられるようになってきた。ICタグは双方向の通信が可能なので、瞬時に情報を入力、出力できる。製品や部品の加工履歴など簡単にメモリーすることができるため、トレーサービリティの把握には、効果を発揮する。
又、選別検査も画像検査機にて精度の高い選別が現在では可能。
アラームで検知
異常が発生した場合、アラームで作業者に知らせることが大切である、センサによる警報やカウンターによる生産量の把握などがある。
治具で検知
ポカミス防止で簡単なのは、専用治具である。(ポカヨケガイドピン)
たとえば、部品をセットするに治具を使用すれば簡単に取り付けられ、段取りミスを防止できる。
接触で検知
製品の形状の違い、寸法差によって異常を検知する方式。
定数で検知
一定の回数の動作を繰り返す作業の場合、規定の回数行わなかった場合、異常と判断し検知する方式。
動作ステップで検知
一定のステップで作業を行わなければならない時、動作ミスを異常と判断し検知する方式。
ポカヨケ装置の目的別 分類
ポカヨケ装置の目的別の分類として規制式と注意式がある。
規制式
異常が発生した場合、機械を停止するとか、ロックが解除されない等の次の作業に進行をストップさせて連続して不良の発生を防止する方法。
*強い強制力があるので不良をゼロにする為には有効な手段である。
注意式
異常が発生した場合、その情報を
・ブザー警告音
・光の点滅、点灯
で作業者の“注意を喚起する”方式である。
注意式は作業者がその情報に気が付かないと異常の発生が継続してしまう欠点があるので光の点滅、点灯させる場所、位置に配慮し、警告音の場合は周囲の環境音も考慮しなければならない。
ポカヨケ装置の時系列別方式、分類
ポカヨケには時系列的に分類すると下記の3種の方式があります。
①事後対策:
製造した内容を後工程で検査し、不具合があれば、その混入を防止する方式。
②発生時対策:
不良検出センサーに相当する装置、治具を取り付けて不良発生時点でアラームを鳴らしたり、不良混入を防ぐ方式。
③事前対策:
製品製造の源流を逆上り、製造技術上の原理的対策を図って不良発生を防ぐ方式です。フールプルーフ設計がこれに該当します。
事後 ポカヨケ対策
製造した内容を後工程で検査し不具合があれば、その混入を防止する方式。
ポカヨケ事例:空の缶詰はマグネット棒に吸引されて、出荷を防止。
缶詰の充填ミス対策として空の缶は排除できるようにした。
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発生時 ポカヨケ対策
不良検出センサーに相当する装置、治具を取り付けて不良発生時点でアラームを鳴らしたり、不良混入を防ぐ方式。
ポカヨケ事例:切削加工時の異物による樹脂製品の浮き上がり検知を「エアマイクロセンサ」で検知、加工機を停止。
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ポカヨケ装置 検知センサーの種類
ポカヨケの異常を検知するセンサーとしは色々なモノがあり、大きく分けると接触式と非接触式があります。
接触式 リミットスイッチ
下記は接触式検知センサーの代表であるリミットスイッチの種類一覧表です。
リミットスイッチとは内蔵マイクロスイッチを外力、水、油、ガス、塵埃などから保護する目的で封入ケースに組み込んだものであり、特に機械的強度や耐環境性を要求されるところに適用できるように作られたスイッチをいいます。形状は横形、縦形、マルチプル形に大別されます。
【リミットスイッチの種類一覧表】
非接触式 ポカヨケ検知センサー
下記は非接触式検知センサーの代表である光電センサーの種類一覧表です。
光電センサとは、可視光線、赤外線などの“光”を、投光部から発射し、検出物体によって反射する光や、遮光される光量の変化を受光部で検出し出力信号を得るものです。
【光電センサーの検出方式の種類一覧表】
その他 ポカヨケ検知センサー
その他のポカヨケ検知センサーとしては変位センサー、金属通過センサー、液面センサ等があります。
【その他 ポカヨケ検知センサー 種類一覧表】
ポカヨケの分析手法
ヒューマンエラーの真の原因を把握しないでポカヨケ対策すると必ず
ヒューマンエラーが再発しますので「根本原因分析」RCA(Root Cause Analysis)する事が重要です。
RCAの手法には下記のような方法はあります。
①FTA(Fault Tree Analysis) 故障の木の解析
製品の故障、およびそれにより発生した事故の原因を分析する手法。
②VTA(Variation Tree Analysis) 変化の木の解析
事故発生におけるヒューマンファクターを解明するために考案された手法。
③なぜなぜ分析
⑤連関図分析
⑥特性列挙法
ポカヨケに活用される装置
現在、製造業ではポカヨケ対策にさまざまな装置が用いられています。ここではその具体例を紹介します
- 治具※:間違った手順や方法で作業ができない機能を持った専門の道具を利用する
- バーコードリーダー・RFID:コードやICタグを読んで識別し、取り違えを予防する
- IoT・AI:デジタル技術で工程を見える化・作業の自動化をする
※治具(ジグ):加工や組み立て時に部品や工具の作業位置を誘導するために使用する器具のこと、一般的にジグと呼ばれる。
ポカヨケ装置の動画事例
工場安全 ポカヨケ装置
機械回転物の中に手を入れないように、安全カバーでガードし、また安全カバーを開けると自動的に回転物が停止し、手を巻き込まれない仕組み。
セーフティレーザスキャナを使用した事例。
物流ピッキング ポカヨケ装置
ピッキングシステムでは部品の取り出しを毎回チェックでき、部品の取り間違いを警告できますので、製造不良を低減でき生産性の向上が図れます、又、ピッキングシステムを導入することで、慣れていない作業者でもピッキング表示灯の点灯順に従い段取りよく組み立て作業が行なえます。
ポカヨケ装置 トルクレンチ
ポカヨケトルクレンチは締付け回数管理で締め忘れを防止できる。
ポカヨケ装置 システム 組立作業
ポカヨケシステムを導入することで、慣れていない作業者でも表示灯の点灯順に従い段取りよく組み立て作業が行なえます。
棚から部品を取り出すとき、バーコードを読み取りした電気信号で、ランプを点滅させ、誰でも間違いなくピックアップ。
【日東工器】ねじ締め忘れ・ポカよけ
電動ドライバーを使用してのネジ締め忘れを防止するためのポカヨケ装置。
下図は車載機器や電装機器などのネジ締めの信頼性を要求される製品
の組み立てに最適の「ねじ締めカウンタ」です。
ポカヨケ装置 シャッター oneA
棚や作業台に取付ける事で、ピッキングする場所をランプ指示とシャッターの開閉により作業者に知らせます。
ポカヨケ シャッター 事例:
必要な棚以外はシャッターが開かないため、間違えたところからは取ることもなくポカミスをシャットアウトします。
バーコード・二次元コード・RFタグのポカヨケ装置の導入
バーコードや二次元コード、またはRFタグを製品・部品に取り付けることで、より正確な識別や更新作業が可能となる。
例としてRFタグを読み取ることで金型管理をシステム化できれば、金型のメンテナンス時期を把握できます。
これによりサビや汚れの発生・付着を防げるため、不良品の発生を抑えられます。
また生産管理システムと連携し、作業漏れがあった場合にも後工程に通知される仕組みにすることで、重大なミスの発生を防ぐこともできます。
AI・IoTシステムの導入
AI・IoTシステムを導入し、工具のIoT化を進めることも有効です。例えば、工具と外部端末を通信可能にすることで、作業者が自身の作業内容をデータとして確認でき、締め付け回数をカウントしたり、誤組み付けを阻止したりできます。このように、IT・IoTシステムにより作業内容を可視化することで、ミスの発生を防止できます。
AIを活用したポカヨケの対策事例
精密機器部品の製造工場Aでは下記の2つの課題ありました。
- 欠陥分類に時間がかかる
- 欠陥分類の目視が困難
精密機器部品に生じる欠陥は微細な大きさのものも多く、欠陥の種類も多種多様であることから発見が困難で、分類に非常に時間がかかるという問題がありました。そこで同社は画像認識AIシステムを導入しました。
システム導入後は、従来に比べて欠陥分類の精度を大幅に引き上げることに成功、欠陥分類に要する時間が短縮されて検査効率が向上するとともに、欠陥分類の精度が高まったことから、製造工程も大きく改善しています。
撮影された画像の欠陥分類の正解率は96.47%と非常に高く、これまでは難しかった製造工程改善への適切なフィードバックも可能となった。
まとめ
トヨタ生産方式の基本概念のひとつとして有名なのは『ポカヨケ』です。
「ミスを発生させない、不良品を流さない」という思想は工程の自動化が進んだ現在でも変わらず重要なものです。
従来は「ミスをおかさないための工夫」が主に行われていましたが、現在では「自動化・機械化によって人の手をかけない」考え方へとシフトしています。
IoTやRFIDといった技術は、この思想をさらに発展させる手段としてさらなる活用が期待されてますがどんなツールを作成しても元々は人間が設計、開発、製造したモノなので確率は低いですが必ずヒューマンエラーが潜んでいます。
具体的なポカヨケ事例集は下記を参照願いします。
関連サイト:ポカヨケ改善提案 事例集
PDF版サンプル ポカヨケ対策 Poka yoke
ポカヨケ対策のパワポ資料が無料でダウンロードできます。
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参考文献:
1.源流検査とポカヨケ・システム―不良=0への挑戦 新郷 重夫 (著)
2.ポケット図解 ポカヨケの基本がわかる本
3.ナットク現場改善シリーズ よくわかる「ポカヨケ」の本
4.全図解トヨタ生産工場ポカヨケのすべて
コメント
[…] 匠の知恵 ポカヨケ対策 Poka yoke【図解】 | 日本のものづくり~品質管理、生産管理、設備…https://takuminotie.com/blog/2019/11/15/post-18830/ポカヨケとは 「人間は間違いをおかす動物で、ポカミ […]
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