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原価

原価
原価
  1. 原価 cost  【イラスト図解】
    1. 原価とは
    2. 原価の分類
    3. 原価の計算

原価 cost  【イラスト図解】

英語:cost                    中国語:成本

原価とは

「製品の生産,販売及びサービスの提供のために,消費される財貨・用役の貨幣価値.」(Z 8141)
原価という言葉の本来の意味は,「犠牲」である.

つまり,経営目的を達成するために犠牲となった,若しくは消費された経営資源をさすが,より厳密にいえば,これを貨幣価値的に測定したものが,通常,我々がいうところの原価ということになる.

もちろん,上記の経営目的は決して一様ではないが,民間企業であれば,すべての目的は利益に関連付けられなければならないし,それは企業にとっていわば社会的な使命であるといって過言ではない.そうであれば,原価はいわば「利益を生み出すための犠牲」にほかならない.

損益計算書に示されるコストは過去における数値であるが,もちろん過去における経済資源の消費だけが原価として認識されるわけではない

一般に,過去の時点で実際の消費に基づいて把握された原価は過去原価又は実際原価と呼ばれる.

これに対し,将来の時点を対象とするものは未来原価と呼ばれ,その代表的なものとしては,標準原価や予算原価がある.

また,原価が貨幣価値的に測定されたものであるとしても,実際の現金支出を伴うもの(支出原価)だけに限定されるわけではない.すなわち,経営資源をほかの用途に振り向けた場合に得られる利益をもって原価と認識する場合もある.これは,機会原価と呼ばれる.

上述のように,原価は単なる支出とは異なり,利益の獲得に貢献するものでなければならない.もし,ある支出があって,それが利益に結び付かない場合には,原価とはいわずに損失(loss)と呼ばれる.

もっとも,原価と損失を明確に区別するのは困難である.というのも,損失の多くはさまざまな費目の中に埋もれており,その発見白体が困難なことが多いからである.

引用先:クォリティーマネジメント用語辞典 日本規格協会

原価の分類

製造原価の主な分類には、形態別による分類方法、直接費と間接費による分類方法、変動費と固定費による分類方法の3つの方法があります。

形態別による分類方法

原価は、形態別に「材料費」、「労務費」、「経費」の3種類に分けられます。それぞれの概要は下記のとおりです。

名称 概要
材料費 ・製造に必要な原料や資源の仕入、部品や消耗品などに関する原価
・原料費、購入部品費、消耗品費、消耗工具備品費などの項目がある
労務費 ・製造にかかる賃金や給与、雇用で発生する諸費用などに関する原価
・賃金、給与、賞与、退職給付費用、福利厚生費などの項目がある
経費 ・製造に必要な設備や備品、それらの減価償却費用、電気代など、材料費・労務費以外の原価
・減価償却費、電力料、修繕費、諸経費などの項目がある

原価を計算するときには、上記の3つの原価を合計して計算します。

直接費と間接費による分類方法

原価は、製品を製造する視点から、「直接費」と「間接費」にも分類できます。

名称 概要
直接費 ・ある製品に使われたことが特定できる費用
・材料や部品などが該当する
間接費 ・ある製品に使われたことが特定できない費用
・さまざまな製品で使用される設備の費用などが該当する

直接費と間接費はさらに形態別に分類でき、全部で6種類となります。

直接費が「直接材料費」、「直接労務費」、「直接経費」で、間接費が「間接材料費」、「間接労務費」、「間接経費」です。

変動費と固定費による分類方法

原価は、製造ラインや設備の操業度での分類も可能です。操業度とは、設備や製造ラインの稼働の程度を示しています。

製造ラインや設備の操業度により金額が変化する原価を「変動費」、変化しない原価を「固定費」と呼びます。

名称 概要
変動費 ・製品の生産量により金額が変動する費用
・原料費や消耗品費などが該当する
固定費 ・製品の生産量にかかわらず、常に必要となる費用
・労務費や減価償却費などが該当する

原価を変動費と固定費に分類して計算すると、製造ラインの操業度や生産量別の原価が把握できます。

原価の計算

原価計算は、商品やサービスを提供するコストを把握し、適切な利益を得るための大切な手段です。

原価計算の目的

原価計算の実施により、主に下記のような項目を把握できます。

原価の無駄の把握
サービス原価の把握
損益分岐点の把握

原価計算を実施すると、原価の構成とその費用を把握できます。どの部分にどのくらいのコストがかかっているかを把握すれば、無駄な部分、削減可能な部分を見つけることが可能です。

原価の無駄を把握し、原価削減を実施できれば、ひいては企業全体の収益率アップにつながります。

また、原価計算は製造業だけでなく、人材をリソースとするサービス業の原価計算にも適用可能です。サービス原価の把握により、自社が提供するサービスやプロジェクトにかかる費用を可視化できます。

さらに、原価計算は事業の損益分岐点の判断に有益な情報を与えます。

製品1個あたりの原価を正確に把握することで、販売価格をいくらに設定するとどれだけの利益が生じるか知ることが可能です。損益分岐点を押さえておけば、事業の採算を正確に判断できます。
原価計算の方法

原価計算は、下記の3つの原価計算を段階ごとに行っていきます。

1. 費目別原価計算
2. 部門別原価計算
3. 製品別原価計算

 

1.費目別原価計算

費目別原価計算は、原価を材料費・労務費・製造費の3つの形態別分類を、それぞれ直接費と間接費の2分類、計6費目に分類し、集計する段階です。

名称
直接費 直接材料費 スマートフォンの製造の場合は、ICチップやタッチパネルディスプレイなどの部品、レアメタルやプラスチックなどの材料
直接労務費 製造ラインで稼働する人の人件費など
直接経費 特殊な部品製造の外注費用など
間接費 間接材料費 設備稼働に必要な燃料、輸送費など
間接労務費 事務作業といった製造に間接的に関わる人の人件費など
間接経費 複数の製品に関わる設備費用や人件費など

費目別原価計算では、製品製造で使われたさまざまな費用を、上記にしたがって分類します。

2.部門別原価計算

部門別原価計算は、費目別原価計算で集計した費目別の原価を部門別に割り当てる段階です。

部門別に原価を算出すれば、費用の発生責任を明確にし、各部門でいくら費用を使っているか把握できます。

なお、間接費はどの製品に使用しているか明確にできない性質上、各部門に「配賦(はいふ)」します。配賦とは、稼働時間や電力使用量など合理的な割合で各費用を按分することです。

3.製品別原価計算

製品別原価計算では、1製品ごとの原価を算出します。1製品ごとの直接材料費、直接労務費、直接経費を計算し、各部門の間接費を配賦すれば、1つの製品を製造費用の可視化が可能です。

上記のような原価計算を行うためには、材料や部品にかかる支出をはじめ、日々の業務での支払いの把握が必要です。しかし、膨大な請求書や領収書をすべて確認し、会計ソフトで仕訳する作業は多くの手間がともないます。

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