QC工程表は品質保証の基本となる文書ですが、一から作ると多くの時間がかかります。この記事では、AIのコーディングツール「Claude Code」を使って、初心者でもQC工程表の下書きを効率よく作る方法を、準備から完成まで順番に解説します。

全体の流れ
- 材料を準備する (10分)
- Claude Codeを起動する (5分)
- ルールを決める (5分)
- 工程表の骨組みを作る (10分)
- 中身を充実させる (20〜30分)
- 確認・修正する (20分)
- 仕上げる (10分)
STEP 1:材料を準備する
Claude Codeはあなたの工場の工程や規格値を知りません。渡す材料が多いほど、出来上がりの精度が上がります。
① 作業用フォルダを作る
例:デスクトップに「QC工程表作成」フォルダを作成します。
② 手元の資料を入れる
あるものだけで大丈夫です。元の資料ではなく、必ずコピーを入れてください。
| 資料 | 使い道 |
|---|---|
| 工程の流れがわかるもの(工程フロー図、作業手順のメモ) | 工程の順番 |
| 図面・製品仕様書 | 品質特性と規格値 |
| 作業標準書 | 作業内容と管理ポイント |
| 検査記録・チェックシート | 測定方法、頻度、測定器 |
| 既存のQC工程表(他製品のもの) | 書式の見本 |
| 過去の不良・クレーム記録 | 重点管理項目の洗い出し |
③ 資料がない場合
メモ帳に箇条書きするだけでも十分です。
製品:ブラケットA(SPCC t2.0) 工程: 1. 材料受入 2. シャーリング切断 3. プレス抜き 4. 曲げ 5. バリ取り 6. 溶接(ナット2個) 7. 外観・寸法検査 8. 梱包・出荷 重要寸法:穴ピッチ 50±0.1、曲げ角度 90°±0.5° 過去の不良:バリ残り、ナット溶接不良
STEP 2:Claude Codeを起動する
- Claudeデスクトップアプリを開く
- 「Code」タブを選ぶ
- クラウドではなくローカル(自分のPC)を選ぶ
- 「QC工程表作成」フォルダを指定する
STEP 3:ルールを決める(CLAUDE.md)
最初に次の指示を入力します。CLAUDE.mdは、Claude Codeが毎回守るルールを書いておくファイルです。
指示文の例
このフォルダにCLAUDE.mdを作って、以下のルールを書いてください。 - 回答と出力はすべて日本語 - 元の資料ファイルは絶対に書き換えない - 成果物は「出力」フォルダにExcel形式で保存 - 規格値や数値は資料にあるものだけを使い、不明な場合は「要確認」と書く - 推測で埋めた項目は黄色で塗る
⚠ 特に重要なルール
特に重要なのは「規格値を推測で埋めない」ルールです。AIは空欄をもっともらしい値で埋めることがあるため、このルールでそれを防ぎます。
STEP 4:骨組みを作る
① 資料を読ませる
指示文の例
このフォルダの資料をすべて読んで、 製品名・工程の流れ・品質特性・規格値をまとめて教えてください。 まだファイルは作らないでください。
内容が正しく読み取れているか確認します。間違いがあれば「工程4は曲げではなくタップ加工です」のように訂正します。
② 書式を決める
指示文の例
QC工程表をExcelで作ってください。列は以下にしてください。 工程No/工程フロー記号/工程名/使用設備/管理項目/品質特性/ 規格値/測定方法・測定器/頻度/サンプル数/記録様式/担当/異常時の処置 A3横で印刷できるようにしてください。
既存のQC工程表があれば、次のように頼むと社内様式に合わせられます。
「既存QC工程表_製品B.xlsx」と同じ書式で作ってください。
STEP 5:中身を充実させる
一度にすべて頼まず、項目ごとに分けて頼むのがコツです。
管理項目の洗い出し
各工程で管理すべき項目を、「製品の品質特性」と「工程条件 (プレス圧、溶接電流など)」に分けて提案してください。
重点管理の設定
過去の不良記録を見て、不良が多い工程の管理項目には「重点」マークを付け、 頻度を上げる案を出してください。
異常時の処置
各管理項目について、規格外れが出た時の処置 (停止→連絡先→選別→原因調査)を簡潔に書いてください。
STEP 6:確認・修正する(最も大切)
Claude Codeが作った表は下書きです。必ず人が確認してください。
確認チェックリスト
- 工程の順番は実際の現場と合っているか
- 規格値は図面・仕様書と一致しているか(1つずつ照合)
- 測定器は実際に工場にあるものか
- 頻度は現場で実行できる現実的なものか
- 黄色(推測)の箇所をすべて確認・修正したか
- 「要確認」が残っていないか
修正の頼み方
工程3の検査頻度を「1回/ロット」から「初品・終品・2時間ごと」に変更してください。
工程6のナット溶接に「押し込み強度 500N以上(月1回破壊試験)」を追加してください。
可能なら、現場リーダーや品証担当にも見てもらいましょう。
STEP 7:仕上げる
指示文の例
仕上げをお願いします。 - 表の上に製品名、品番、作成日、版数、作成・承認・確認の押印欄を追加 - 重点管理項目は★マークと太字 - A3横1枚に収まるように調整 - 改訂履歴シートを追加
うまくいかない時の対処
| 症状 | 対処 |
|---|---|
| 内容がずれている | 「工程表を作る前に、理解した内容を箇条書きで説明して」と確認を挟む |
| 一般論ばかりになる | 自社の資料や過去の不良記録を追加する |
| 書式が崩れる | 「印刷プレビューの状態を確認して調整して」と頼む |
| 作業が混乱してきた | /clear でリセットし、要点だけ伝え直す |
注意点
- 最終責任は人にあります。QC工程表は品質保証の基本文書です。AIの出力をそのまま正式版にせず、必ず確認・承認の手順を通してください。
- 顧客の機密図面を扱う場合は、社内ルールや顧客との契約を事前に確認してください。
まとめ
最初は1製品だけで試してみましょう。うまくいったら「この工程表を見本に製品Cも作って」と頼むだけで、他の製品にも横展開できます。
Claude Codeは「下書きを速く作る道具」です。現場の知恵と人の確認を組み合わせることで、QC工程表づくりの負担を大きく減らせます。
関連記事:
コメント